「経営をサポートしているプロフェッショナル」へのインタビュー第9回は、ミニマムリッチ®コンサルタント オフィスファーレ代表の横田真由子さんへのインタビューをお届けします。
横田さんは、株式会社ケリングジャパン(旧GUCCI JAPAN)の販売スタッフとして顧客獲得数NO.1となった経験をいかして、接客業向けの企業研修を手がけるほか、キャリア支援の活動もされています。
今回は、販売員時代にVIP客から学んだ心豊かに生きるメソッドとして、「上質なものを少しだけ持つ」という考え方について教えていただきました。
仕事や人間関係を豊かにする「ミニマムリッチ」
ー横田さんから見て、最近のビジネスパーソンはどのように映っていますか?
横田 人間関係や仕事を、早い段階でリセットしようとしている人が多いように感じます。また、もので溢れている状態が当たり前になってしまっていることで、幸福感を感じにくい人も増えているように思います。
例えば、ものを買って消費を繰り返しても満足できない人や、物もスケジュールも詰め込んでしまって余白が持てない人をよく目にします。多くの人が「足りない」という感情から解放されず、豊かさを感じることができなくなっているように感じます。
ミニマムリッチという提案
ー「足りない」という感情を解放するにはどうしたらいいでしょうか?
横田 「自分にとって本当に価値のある、上質なものを少しだけ持つこと」をおすすめします。
生きていく上で必要なものは、そう多くはありません。なので、私は「自分が大切だと感じるものを最小限もつこと」が大切だと考えています。このような「自分にとって本当に価値のある、上質なものを少しだけ持つこと」を私は「ミニマムリッチ」と呼んでいます。
ー「ミニマムリッチ」を実践するためには、どのようなことを意識すればよいのでしょうか?
横田 まずは「自分を知る」ことだと思います。「自分の好きなこと」や「心地よいこと」を大切にし、エネルギーを注いでいると成果が出やすいものです。まずは、「自分の好きなことや大切にしているもの」を知ることから始めるといいと思います。
例えば、「何をしているとき、ワクワクするか?」「どんな物を持つとモチベーションが上がるか?」と自分に問いかけてみることですね。
そして、自分が大切にしているものが見つかったら、次は自分らしいもの以外は、潔く捨てます。
例えば、「苦手な人とのつきあい」「ムダだとわかっている業務」などもそうです。両手が塞がっていては、目の前を一瞬で通り過ぎていくチャンスを掴むことができません。この「捨てる習慣」を身につけるには、ものを捨てることから始めます。「捨てる」ことは勇気がいりますが、豊かさを感じるのに多くのものは必要ありません。今まで「やめたい」と思っていた人間関係や仕事、習慣などを思いきって手放してしまえば、新しい何かを掴みとるチャンスが生まれます。
たとえば、1万円分のバッグを10個買うのをやめれば、憧れの10万円のバッグを手に入れることができます。この10万円のバッグは、あなたにたくさんのことを教えてくれるはずです。縫製の美しさ、上質な革の手触り、金具の品格、ステッチの技術など、見るだけでなく手にすることでわかることがあります。
本当に必要なものだけを持つ生活は、あなたの人生を大きく変える力があります。多くのものを次から次へと手に入れていたときとは違った満足感を得られるのです。
有限な人生を豊かにするためには、「上質なものを少しだけ持つ人生」を主体的に選ぶことです。最小限の豊かさは、毎日に充実感をもたれしてくれます。
ビジネスパーソンのキーアイテムは「スーツ」と「靴」
ー 特に「ビジネスパーソン」が意識するべきことは何かありますか?
横田 ビジネスパーソンが意識したいのは、スーツと靴です。
上質なものを身につけることで、「その品に見合う仕事をしよう」という気持ちが高まりますし、自信にもつながります。仕事には必ず「相手」がいます。上質なものを身につけて出向くことは、相手に対する敬意を形で表します。
スーツに関して言うと、3着あれば十分だと思います。この3着をメンテナンスしながら品質を保ち、ローテーションすることが経済的にもオススメです。そしてスーツは、サイズが重要です。やや細身のシルエットの方が、スタイルアップして見せてくれます。素材や仕立ての良さは、あなたの存在自体をグレードアップしてくれます。
靴は小さい面積ながら、相手の第一印象を大きく左右します。何度も修復しながら愛着を持って手入れをしている靴は一目でわかります。靴は人柄がわかるアイテムです。靴をいつもピカピカに磨いていると、ビジネスシーンでは相手からの信頼も勝ち取ることに繋がるでしょう。
- 満足感を得るには、余白をもつことが重要。
- 上質なものを少しだけ持つことで、豊かになる。
- ビジネスパーソンは、上質なスーツと手入れされた靴を持つことで、信頼に繋がる。
書籍のご紹介
『本当に必要なものはすべて「小さなバッグ」が教えてくれる』
横田真由子さんからのコメント
「上質なものを、少しだけ」という意味合いの「ミニマムリッチ」という言葉が、この本のキーワードです。私たちの時間は有限で、すべてを詰め込むことはできません。だからこそ、その大切な人生の中に、何を入れるのか大切に選びましょう。
横田真由子
株式会社ケリングジャパン(旧GUCCI JAPAN)販売スタッフとして有名人やVIP客の担当となり3年で店長に昇格。顧客獲得数NO.1となる。VIP客の物選びに女性としての優雅な生き方を学び、独自の「大人エレガンス」を実践。2004年研修講師として独立。キャリアカウンセラーとして女性のキャリア支援を行い満足度、リピート率は97%。
インタビュー
「経営をサポートするプロフェッショナル」
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