この記事では、書籍『生産性マネジャーの教科書』より「マネジメント能力が向上する考え方」をご紹介します。

【書籍】『生産性マネジャーの教科書
【著者】河村庸子 
株式会社コラボプラン代表 / 本間正人 京都造形芸術大学副学長

マネジメント能力が向上する7つの”逆転の発想”

成熟したビジネス市場は複雑化し、顧客は多様化。それに対し、部下には主体性とコミュニケーション力が求められています。このようなビジネス環境で、ホワイトカラーの生産性を向上する生産性マネジャーのカギは“ 逆転の発想” です。

7つの”逆転の発想”
  • 自己評価の申告前にすべては終わっている
  • わかりやすい数値目標を設定するな
  • 目標設定シートには文章を書かない
  • 先にしゃべるな!
  • あなたは「上司」ではない!
  • 部下支援を均等に行ってはいけない
  • なんでもマネジメントしようとしていないか?

逆転の発想1 自己評価の申告前にすべては終わっている

期末に部下の人事考課を確定する前に、部下が自分の目標に対して自分なりの評価を行い、上司に申告する場が「自己評価の申告」です。その時に、期初に決めた目標が曖昧だったために部下と上司の見立てに大差が開き、部下と揉めたことはありませんか?

部下は「自分は5点満点だと思います」上司は「そうかな。そこまで高くないだろ。3点ぐらいじゃないか」と両者が食い違う状態です。人事考課は、給与・ボーナス・昇進に関わるので、お互い譲れず硬直状態になる。「できた」「できない」で言い争いになる。こうなると、時間も、気力も、人間関係も消耗します。

しかし、2人が話し合っているのは、もう済んでしまった過去のこと。自己評価の申告で揉めてから、部下をなんとか言いくるめることができたとしても、すでに出た結果がよくなるわけでも、部下のやる気が出るわけでもありません。自己評価の申告で揉めたのでは遅すぎます。日々の仕事の中での意思疎通が重要です。

逆転の発想2 わかりやすい数値目標を設定するな

多くの企業が、人事評価が曖昧にならないように「数値目標」の設定を奨励しています。例えば、「月間商談数は、前回と同様の100回」「サービス紹介セミナーは20%増しで5回」など、数値目標を設定するとシンプルに評価ができます。

しかし、数値目標を設定すると、その数値を達成するための短期的な視点に目が向き、目標の先にある“ 目的” に向けた長期的な視点が不足しがちです。

本来、達成したい目的に向けて必要な活動の“ 質” を具体化する「定性目標」のほうが、本質的な活動を促すことに向いていて、成果につながります。

逆転の発想3 目標設定シートには文章を書かない

人類は想像することで、多くの創造を成し遂げてきました。

『月世界旅行』を書いた、フランスの作家ジュール・ヴェルヌは「人が想像することは、必ず人が実現できる」という名言を残しています。

目標を達成するために役立つ想像とは、目標達成した時のイメージを五感で体感することができる具体的な想像です。目標を具体化すると、達成までの道筋・達成に必要なリソース・達成を阻むかもしれない障害が明確になります。目標達成のイメージは、目標設定シートに書かれた文章より、目標を実際に達成させる力があります。

逆転の発想4 先にしゃべるな!

「うちの部下は主体性が低くて、なんでも私が指示しないと動いてくれない」と悩んでいるマネジャーは少なくありません。

マネジャーは概して仕事ができるので、部下が自分で考える前に次々に指示や意見を出しがちです。その状態が定着すると、自分で考える前にマネジャーの指示が来ることを期待するようになります。

部下の本音を引き出すためには、まずは部下の考えを部下のストーリーで話をしてもらうことが肝心です。部下の思考パターンがわかれば、部下が何を難しいと感じ、どんな可能性を感じているのかがわかります。

部下の思考パターンを理解して、それにあった提案をするから、部下の納得感が得られ、自主性を引き出せます。先に上司の考えたストーリーを話すと、部下が上司の思考パターンを理解する場になるだけで、部下の前進には役に立ちません。

逆転の発想5 あなたは「上司」ではない!

上司という「立場力」を使って、上司が判断した答えを部下に指示・命令することが効率的だった時代もありました。今、部下に求められることは、多様な顧客の悩みを聞き、対話を通じて自主的に顧客の課題を解決することです。部下の対話力を向上させることができるのは、上司の“ 対話型” のマネジメントです。

他者と対等な立場でコミュニケーションする対話がマネジメントの主流になるにつれ、上司の「立場力」は効力を失いつつあります。これからの上司が磨くべき力は、部下の気づき・やる気・自主性を引き出す「個人力」です。

逆転の発想6 部下支援を均等に行ってはいけない

新人の時は部下支援に手間がかかりますが、ベテランになるにつれ仕事を任せられるようになります。相手によって任せる・任せないという部下支援のメリハリをつけることは、マネジャーにとっても部下にとってもメリットがあります。

仕事の経験以外にも、部下のその時の業務に対する得意・不得意、部下の上司との関わりに対する好みなどによって、支援の方法を使い分けていきましょう。

逆転の発想7 なんでもマネジメントしようとしていないか?

〈結果マネジメント〉は、最後の結果が対象なので短時間でマネジメントができますが、行動が部下任せになるので“ できる部下” と“ できない部下” のスキル格差が広がります。

一方、〈プロセスマネジメント〉は行動をマネジメントするので部下育成の効果がありますが、すべてのプロセスをマネジメントすることは不可能です。

効果のあるプロセスに絞り込み、成果につながる項目をマネジメントする方法を設計できるかどうかが、〈プロセスマネジメント〉を機能させるポイントです。例えば、「活動結果」をマネジメントするより「活動目的」をマネジメントしたほうが、部下の行動の質は向上します。

さいごに

『生産性マネジャーの教科書』では、7つの項目を一つひとつ詳しく解説しています。気になる方はぜひチェックしてみてください!

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