会社が成長することによって、どこにたどり着こうとしているのかを社員と共有するために必要なのが「事業計画」です。
はっきりとした事業計画を示すことで、社員の成長ステップを「見える化」することができます。すると、成長のスピードも格段に速くなります。
そこで今回は、ベルシステム24を倒産寸前から1000億円企業にまで成長させた、同社元代表の園山往夫さんの著書『勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方』から一部を抜粋し、”「計画性」を持った経営の重要性”をご紹介します。
第1回 「事業計画」は、会社の夢を計画的に実現するための物語
第2回 「中期的経営プラン」を計画性をもって実行することこそ成長への近道
第3回 事業計画書における「成長デザイン」の描き方
第4回 事業計画書を作成するべき9つの理由
第5回 「経営理念」の下に事業計画や中期経営戦略を展開
「計画性」を持った経営を展開する
「事業計画」は、泥臭い闘いを交えながらも、「勝つ」ための「知的格闘技」の物語です。
社長にとっては、全知全能を傾けて自分の「夢」、思いを実現する武器です。
初めて経営を託されるまで、私は事業部などの責任者の経験はあっても、会社全体のかじ取りの体験はありませんでした。いざ経営してみると、頭の中で考えている通りにはなかなか事業が展開しません。実績が出るたびに、ため息が出てストレスの溜まる毎日でした。実質倒産の危機状態からなかなか脱出できなかったのです。
弱音を吐くわけにいかないので、寝る時間を惜しんで一生懸命働きましたが、今考えてみると、働く時間は増えても、経営の生産性はそれほど上がっていたか疑問です。同じことを体験し、経営にもがいている社長もいるのではないでしょうか。
ところがしばらくしてから上手くいくきっかけを掴みました。
「夢」をデザインし、形とした「中期的経営プラン」を「計画性」をもって実行することこそ近道だと、はたと気づいたのです。
- 「中期戦略」展開のための「中期事業計画」を策定し
- 年度の事業に「年度計画」として逆算して引き直す
- その「年度計画」の月次の実績と月次予算を比較して
- 成果と反省を踏まえて次月の作戦を決定する
この地道だが「計画性」を持った経営を着実に実践展開しました。
このやり方が功を奏し、売上では、毎年、前年比、32%、49%、64%増と伸び、利益はそれ以上の成長を享受することができました。多額の累損も一掃できる見込みが立ち、経営危機から脱出できました。
会社の成長拡大はこの「事業計画」にあることを、経営者として身をもって体験、実践したのです。
中期の成長のターゲット(経営目標)を明示して、実績との差を物差しで測り、毎年その差を埋める術を考えていくもので、人間の脳の構造からしても、この方法が一番ゴールに早く近づくやり方です。
「事業計画書」の内容の深さ、時限を設けた作戦の有無、作戦同士の矛盾のなさ、旧態依然たる施策を変革する視点の有無、投資予算の合理的な使い方、社員の成長経路の明示などなど、事業計画書自体にその会社の潜在的成長力が表れ、これを実践することで会社は確実に成長拡大します。
新しい視点に軸足を移す
「夢」を「経営目標」の形で具体的に表現し、これを実現していくには、「以前はこうだった」という生半可な議論や姿勢など通用しません。「経営目標」実現に向けて「何をすべきか、何を捨てるべきか」の新しい視点に軸足を移す、旧態から「変わる」ことを「事業計画」が要請します。
旧態は会社の慣習や社員の体質の中に潜んでいます。旧態に安住するのが楽なので、これを変えるのは大変難しいことです。「中期事業計画」の実現を阻む大きな障害となるでしょう。
だからこそ果敢に、
- 「何をすべきか、何を捨てるべきか」の新しい視点で
- これまでの慣習や常識を疑い
- 「形」から変え
- 「仕組み」に落とし込み
- 社員の「行動」パターンを「変える」
ことを狙います。
結果として、会社の体質を「変える」ことにつながります。「事業計画」は計画のために立てるものではありません。不退転の決意をもって実現に向かって臨むためのものです。
【出典】園山征夫.勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方
第1回 「事業計画」は、会社の夢を計画的に実現するための物語
第2回 「中期的経営プラン」を計画性をもって実行することこそ成長への近道
第3回 事業計画書における「成長デザイン」の描き方
第4回 事業計画書を作成するべき9つの理由
第5回 「経営理念」の下に事業計画や中期経営戦略を展開
会社を成長拡大に導く、事業計画チェックシート
以下のページでは、企業経営において必要不可欠な事業計画書作成における、「3つの構成と10の骨子」について記載したチェックシートを公開しています。