この記事では、「BtoB事業で飛躍する「事業計画書」の外せないポイントを解説します。

ベルシステム24の元社長である園山征夫さんの著書『勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】園山征夫 ベルシステム24元代表取締役社長。

BtoB事業の要諦

受注事業の生命線とは、ひと言で言えば「信用」です。

顧客(クライアント)の課題解決に貢献し、彼らがメリットを享受する、想定していた「期待値」以上のメリットを享受する、一回のみならずそれを何回も彼らが体験することに尽きます。これが実績です。この実績の積み重ねが「信用」となるのです。

実績づくりのきっかけをどうつくるかは、結果責任を負う社長や幹部社員の洞察力にかかっている

情報のアンテナを広く高く張り巡らせて、その情報が自社のビジネスとどうかかわっていくのか洞察します。これを、チャンスと呼ぶならば、チャンスは皆に同様に来ます。それをチャンスと見なすか否かが社長や幹部社員の洞察力です。洞察した着眼点の外れは、会社に致命的な打撃を与え、当然結果責任を問われます。

キーは顧客の課長と心得る

信用も最初はクライアントの担当者からの信用となりますが、日本の中堅以上の会社ではキーは実行責任を負う課長です。このレベルが実権を握っています。現場も知り尽くし、経営層へ情報を上げる要の存在なのです。従って、「信用」の入り口の担当課長を気にして実績を積まなければなりません。

BtoB事業で成長拡大するには

チャンスをどう掴むか

政府による規制緩和、業界の常識の破たん、高齢者の増加、技術進歩と情報化の進展、競合の動向など、これらの事象をどうビジネス的に捉えるかは人それぞれです。自社のビジネスドメインの近辺でこれらの事象が今後のビジネス展開に大きな影響を及ぼす場合、それをチャンスと見なすか否かは、社長と幹部社員の考え方次第です。

「大変だ!」と思うか、「それはチャンスだ!」と思うか。これをチャンスととらえた場合、実現のための生産や人材などの用意が必要です。チャンスととらえたら「一気に体制の準備」にとりかかりましょう。

資源を傾斜的に投入するリーダーシップ

チャンスととらえビジネスを実行に移すには、自社にない資源の用意も必要です。それらを一定期間内に整合的に用意する強力なリーダーシップが問われることになります。

-「あれもない、これもない」のは当然です
-「ないないづくし」の中から、工面するのがリーダーの仕事です
-チャンスととらえた仕事で「期待値」以上の実績を上げ
-一気に「信用」につなげていく

これが成長拡大の決め手です。

私が経営を託されていた会社での最初のチャンスはNTTの民営化でした。この時、他の競合各社も存在していました。しかし、我々の方がチャンスに対する感度が鋭敏だったので、「これはチャンス」とピーンときて資源を一気に民営化に伴い発生する業務に投入できた部分が多いのです。洞察力の差とリーダーシップの差が成長拡大の決め手でした。

高収益体質に転換するには

事業から粗利益を生み出す値付けは、その企業の体質に左右されます。今日まで社長をはじめ幹部社員が築いてきた事業遂行の習慣が会社の体質となって値上げ方針にも表れています。しかも、その利益水準の体質が、会社の制度、仕組み、人材などあらゆるところに染みついています。

制度や「仕組み」から変える

体質が満足のいくものでなく、高利益水準の事業体質に転換したいのなら、これまでのやり方を変更するしかありません。

会社の制度や仕組みは、社長や幹部社員が作ったものですから、コントロール可能です。

変える意識と熱意さえあれば、変えられます。

新制度や仕組みは、それが社内に馴染み定着するには、半年から一年はかかります。この期間に耐える覚悟と忍耐を社長や幹部社員がもてるか否かがカギです。

問題は人材。簡単に入れ替えできない

この場合、一定量の新しい人材を外部から採用し、彼らも交えて事業を展開することです。

-一定量が必要です。少人数では、既存のパワーに負けて、従前の体質に染まってしまいます。
-一般的に、「値段と粗利益」を決定するのは幹部社員や営業部門です。

この人たちに新しい値決めが「当たり前」なのだと習慣づけするには、新しく入社した人たちに頑張ってもらうしかありません。反対や意地悪にもめげず彼らが頑張るには、社長のクレジットが不可欠です。社長がいろいろなことを「変える」という方針に迷いが出ないことです。

自社の生産コストに一定金額を上乗せするマークアップ方式は芳しくない

この方式は「プロダクトアウト」の値決め方式で、顧客(クライアント)がその商品に魅力を感じる値段とは無関係です。顧客が感じる価値を値付けのベースと考えるべきです。

この発想を徹底すると、顧客が評価する価値が何かを発見でき、競合と同じ土俵で闘わない高収益新商品への道が見えてきます。もちろんそれを保障できるバックヤードの支援体制など会社の制度、組織、仕組み、人材などすべてが価値創造にリンクしてきます。

さいごに

この記事では、「BtoB事業で飛躍する「事業計画書」の外せないポイント」について解説しました。

以下のページでは、企業経営において必要不可欠な事業計画書作成における、「3つの構成と10の骨子」について記載したチェックシートを公開しています。

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園山征夫

ベルシステム24元代表
84年CSKに入社。CSK創業者、故大川功会長より経営危機のベルシステム24の立て直しを託され、86年専務、87年43歳で同社社長に就任。就任早々、社員に「6つの約束」として会社の将来像を示し、94年店頭公開。99年には東証1部上場を果たし、テレマーケティング業界No.1の企業に成長させた。

 

【出典】園山征夫.勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方