近年女性の社会進出も進み、さまざまな企業で女性が活躍しています。それでも女性雇用を取り巻く環境には未だ問題が多いのも事実です。家事や育児を理由に離職してしまう女性が多く、コロナ禍も相まって「家庭の問題」は企業にとっても大きな課題となっています。

そこで今回は家事をする時間がない人を煩わしい家事から解放したいという想いを掲げ、家事代行・ベビーシッター・ハウスクリーニングの事業を行っている株式会社ベアーズの執行役員マーケティング本部長 後藤晃 様への取材をもとに現代の家事と家庭を取り巻く雇用問題について解説していきます。

日本の育児の変化

「男性の育休」が大きなテーマになるなど、家事や家庭の問題が女性のものだけではないという感覚は最近になって浸透してきたように思います。実際の数値にはどのように表れているのでしょうか。

1996年時点では、家事・育児時間は夫が20分、妻は4時間33分でした。そして、2016年共働き世帯の夫の家事・育児の時間(買い物など含む)は1日46分。妻は4時間54分となっています。このように数字で見るとそれほど変化していないことが分かります。

一方で仕事などの時間(通勤時間など含む)は夫が8時間31分、妻は4時間40分となり、これを家事・育児の時間と合わせると両者の時間にあまり差がない状況になっています。

もちろん、家事・育児を手伝ってくれる夫もたくさん増えたとは思いますが、数字ではそこまで大きな変化は見られていないのです。

離職率問題

新型コロナウイルス以降ニュースでたびたび話題になっているのが、女性の離職率問題です。厚生労働省の調査によると、2018年の離職率は全体で14.6%でした。これを男女別に見ると、男性は12.5%、女性は17.1%と差があります。年代別でみると、特に20代後半から40代にかけては女性の離職率が高くなり、男女間で差が開く傾向があります。これは、20代後半から30代にかけて女性が結婚、出産・育児を理由に仕事から離れることが大きな原因と考えられます。

コロナ禍での変化

一番大きいのは、リモートワーク下での仕事と家庭の両立の難しさでしょう。従来であれば、オフィスにいるときは仕事、家では家事・育児のように時間別に行動ができていました。しかし、リモートワークではいつ育児につかなければいけないかという不安を絶えず抱えながらの業務となります。また、食事はどちらが作るのか、家事はどちらが行うのかというこれまではなかった揉め事も増えました。他にも、掃除や換気など、仕事環境の問題もあります。

労働成果の観点からも「家庭内でトラブルがあり、時間が取られてしまっていること」は問題であると後藤氏は言います。適度な余裕をもって働いた方が成果は上がります。ハイパフォーマンスは休憩時間があってのものなのです。

企業は何に取り組むべきか

こういったさまざまな家庭を取り巻く諸問題を解決するためには、まずは「家事や家庭は皆のもの」という意識が必要です。もちろん法制度や行政からの変革も必要ですが、単に女性の社会進出という観点だけではなく、仕事も家庭も広く俯瞰し、包括して「雇用を守る」ための制度を作るという意識が重要になってくるのです。

制度を工夫する

雇用を守るための制度がいくつかあります。代表的なのは「産休・育休」でしょう。主に出産と子育てに対する制度ですが、日本全体ではこの取得率が83%もあるようです。しかし、第一子の出産を機に離職する女性が50%近くいるというデータもあります。これでは企業の「産休・育休」制度には女性が戻ってくるための配慮が足りていないと言わざるを得ないでしょう。

そこで参考にすべきは、進んだ制度を導入している企業です。たとえば、「生理休暇」。体調等の理由で月に1回休暇が申請できる制度です。サイバーエージェントではこれを「エフ休暇」と称し、呼び方で申請しにくいといった女性のニーズにも対応しています。

いずれにせよ休暇などの、「仕事に配慮する」制度作りでは、単に制度を作るだけでなく、制度を使いやすい環境を整備することが重要なのです。

福利厚生を家の中まで

他にも、「家庭に配慮する」制度作りで時間を増やそうという試みはどうでしょう。事実、コロナ禍でリモート業務が増える中で、休暇や労働環境の整備だけで雇用を守るのには限界があります。そこで、福利厚生の中に家事代行やベビーシッター制度を導入して「企業が家庭を守る」という選択肢もあります。

企業が家庭に配慮することで、リモートワーク下であっても会社への帰属意識や愛着を育むことができます。また企業と雇用者、お互いのロイヤリティを保つことにもつながるでしょう。

企業がコロナ禍だからこそより一層離職率を上げないように努力しなければならないのです。企業が家事代行やベビーシッターを福利厚生制度として取り入れることは、優秀な人材を失わないだけでなく、過程全体の時間を増やすことにもつながるでしょう。

読者へのメッセージ

我々はもっと日本人に気楽に家事代行サービスを利用してほしいという想いで事業を行っております。実は、日本は世界的にも「家事」を取り巻く環境が遅れているのです。香港やシンガポールなどの諸外国では、家政婦を利用することが当たり前になっています。費用も一般の中流家庭でも利用できる価格帯で、特に香港では政府が家政婦制度を保証してくれているほどです。

日本では元々家政婦といえば富裕世帯のためのものだったこともあり、まだまだ家事代行は贅沢と思われがちです。他にも「他人を家にあげたくない」という日本人特有の「恥」意識や「家」意識も起因しているでしょう。

それらを変えていくことは確かに難しいですが、「家事代行」がもたらす効果は絶大です。女性の時間を作るだけでなく、家庭全体に見た目も、気持ちも余裕が生まれます。お客様の声で最も多いのは、サービスを利用してから「夫婦喧嘩が減った」というものです。株式会社ベアーズでは、法人向け福利厚生の家事代行プラン〜Well-beingプラン〜をご用意しております。まずは1度利用して頂き、家庭を少しでもアウトソーシングすることで生まれる豊かな生活を実感して頂きたいと思います。

後藤 晃(Kou Goto
株式会社ベアーズ 執行役員 マーケティング本部長
URL:https://www.happy-bears.com/company/info
住所:東京都中央区日本橋浜町2-1-1