この記事では、「経営理念の作り方」を紹介します。コピーライターとして活躍する川上徹也さんが、著書『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』で解説している効果的な方法です。

5つのステップを実践すれば、社員の心に響き、社内にしっかりと浸透する経営理念を作ることができるはずです。

経営理念の必要性

経営理念とは

経営理念とは、企業活動の方向性を示す、基本的な考え方想いを表現するものです。

参考:経営理念とは?意味と必要性をわかりやすく解説

経営理念の必要性

「経営理念」がきっちりとしていれば、経営方針や色々な場面でブレがなくなり社内への浸透も速くなります。これはとても大事であると同時に難しい部分です。

建て前だけのものならば誰でもつくれますが、人の心を動かす「経営理念」を見つけるのは容易ではありません。

いくらいいことを言っても、使われている言葉が手垢にまみれた言葉であればどうでしょう。よほどうまい発信方法を取らない限り、人の心に入り込むことはできません。

経営理念のつくり方5ステップ

心に響く経営理念を作るには、次の5ステップを実践するのがおすすめです。

  1. 「実現させたい願望」を書き出す
  2. 「絶対にやりたくないこと」を書き出す
  3. 会社の置かれた状況を分析する
  4. 社会的意義とする合わせる
  5. 「これでいける!」と思うところまで作り直す

それぞれのステップを確認していきましょう。

1.「実現させたい願望」を書き出す

まずは、「あなたの会社やお店で実現させたい願望」をとことん書き出しましょう。

「とにかくお金を稼ぎたい」「会社を大きくしたい」「美人秘書を雇いたい」「上場したい」「自社ビルを持ちたい」など、欲の塊のようなものでもかまいません。思いつくまま書き出しましょう。

ただし、従業員がいる場合は、できるだけ全員と話し合って、意識を共有化した方が効果的です。

2.「絶対にやりたくないこと」を書き出す

続いて、「あなたの会社やお店で絶対にやりたくないこと」を書き出してみましょう。

値下げはしたくない。下請けはイヤだ、こちらから営業に行きたくない。何だっていいです。本音でエゴの塊になって、思いつくままに書いていきましょう。

これも従業員がいる場合は時間がかかったとしてもみんなで話し合いましょう。

ふたつのリストを見比べてみてください。

「実現させたいことリスト」だけでなく「絶対やりたくないことリスト」も書き出すのは、訳があります。「実現させたいことリスト」だけでは、あなたがそれを心の底から実現させたいことなのかわからないからです。

「実現させたいこと」でも、その前に「やりたくないこと」が立ちはだかっていては、気持ちがあっても心がついていかない状態になりがちです。本音では「実現させたいんだけど、やりたくないなあ」って気持ちなってしまうのです。

「実現させたいこと」が「やりたくないこと」を我慢してまでやりたいことなのかをはっきりさせるためにも、ぜひ両方のリストをつくってください。その両方をすり合わせることで、自分の本当の欲望が見えてくると思います。

3.会社の置かれた状況を分析する

次にあなたの会社やお店の置かれた状況を分析します。

あなたの会社やお店の「強み」と「弱み」を色々な側面から徹底的に書き出してください。

4.「社会的意義」とすり合わせる

ここからが一番大切な部分です。

あなたの会社やお店の「強み」に「社会的意義」という要素を組み合わせてすり合わせてください。

「社会的意義」というのは、何か「社会に役立つこと」もしくは「社会をよくすること」のような意味です。

「強み」をうまく使って「社会的意義」のあることをすることで、「自分の欲望やエゴ」を満たすことができないかを考えてみるのです。

式にするとこんな感じです。

「強み」×「社会的意義」=「自分の欲望やエゴ」

さらに考えてみてください。「強み」と「社会的意義」を掛け合わせたことで、あなたの「欲やエゴの塊」以外に何か社会に役立つことはないでしょうか?

再び式にするとこんな感じです。

「強み」×「社会的意義」=「自分の欲望やエゴ」+「何か社会に役立つ」

ここまで探し出したらば、「自分の欲望やエゴ」を取り除いてみましょう。自分の心の中だけにしまっておくのです。するとこんな式になると思います。

「強み」×「社会的意義」=「何か社会に役立つ」

これを文章化したものが、世間に表明する、あなたの「志(ミッション)」です。

このように、つくる過程で「自分の欲望やエゴ」という要素を通すことにより、キレイゴトだけではない、リアリティのある「志」が生まれてきます。

「志」が長すぎるかなと思ったら、より短く伝わりやすくスローガン化してみましょう。

5.「これでいける!」と思うところまでつくり直す

ここからはイメージです。

あなたの会社やお店の「志(をスローガン化したもの)」を書いた大きな旗が、大空にひらめいている姿を頭に思い浮かべてみましょう。

その旗は、他人から見て、目立っていると思いますか?

その旗は、どこかで見たようなものではないですか?
その旗は、手垢にまみれた言葉が使われていませんか?
その旗は、他人からの共感を得ることができると思いますか?

無理かもと思ったら、もう一度「志」をつくり直しましょう。

もう一度リストに戻って、ギリギリと考えるのです。

たとえば、「弱み」が「強み」に変わらないか? など視点を変えることも大切になってきます。

そして考えたものをまた旗に書いてみて・・・

「これでいける!」と思うところまで繰り返してください。

まとめ.

「志」「経営理念」ができたら、あとはそれに向かって行動していくだけです。

実現させるために、あなたの会社やお店がやれることはないか、考えてみてください。

そして外部に向かっても「志」「経営理念」とそれに向かってチャンジし続けている姿をどんどん発信し続けましょう。それが心に響くものであれば、社員も取引先も消費者も、きっと支持してくれるはずです。

近い将来、あなたの会社やお店の「志」や「経営理念」は、必ずや現実のものとなっていることでしょう。

社員のモチベーションが上がる、経営理念を浸透させる6の方法では、明確にした経営理念を社内に浸透させていく方法をご紹介しています。社員のモチベーションの低下や、社員間のコミュニケーション不足を感じる方は、是非チェックしてみてください。

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川上徹也

湘南ストーリーブランディング研究所代表http://kawatetu.info/
フジサンケグループ広告大賞制作者賞、広告電通賞、ACC賞など受賞歴は15回以上。『一行バカ売れ』(KADOKAWA)『自分の言葉で語る技術』(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数。

Facebook:kawatetu Twitter:@kawatetu


【参考】川上徹也.
価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ