この記事では、「事業計画を立てるときに必要な考え方」を解説します。

ベルシステム24の元社長である園山征夫さんの著書『勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】園山征夫 ベルシステム24元代表取締役社長。

事業計画で社長の夢を計画的に実現する

人間誰でも夢があります。人は夢を実現するためにこの世に生を受けたのだと言っても過言ではないでしょう。経営者諸氏も、「この事業を立ち上げて、○○の分野でナンバーワンになりたい」などの夢を持っておられるでしょう。

ところが、多くの社長の夢は、想定した通りに実現しません。

その最大の理由は、夢がデザインされたものになっていないからです。単なる夢のままで終わっていて、その夢をいつまでにどの程度の規模で実現するのか、そのために今は何をやるべきなのか、社長の思いがデザインされていなければ実現は不可能です。

米国ヒューストンのコンパック社(今は合併されて、この名前はありません)を訪問した時に担当者からこんな話を聞きました。ロッド・キャニオンなどの創業者たちが最初のパーソナルコンピュータのアーキテクチャをレストランで話し合っている時、傍にいたテッド・パパジョンがそれをナプキンの上にメモ書きし、これが何年か後に実現したのです。

私も、自分の夢を描きました。初期の頃は、ノートや手帳の中に貼ったポスト・イットなどに細切れにデザイン案をまとめていましたが、ある段階で「事業計画書」の中で整合的にデザインしました。

実は、これが会社の成長拡大の入り口です。

何かにデザインしないと、成長のイメージは固まりません。頭の中だけで考えていると、思考の論理的展開をスッ飛ばして、スタートからいきなりゴールに到達するような錯覚に陥りやすいのです。紙に落とし込むことで、必ず時間の概念や手段の選択に思い至ります。

社長のデザインした夢が、私利私欲にまみれたものでもいっこうにかまいません。「おれはたくさん金を儲けたい」という単純なことでもいいのです。なぜなら、会社の成長と共にその思いは変貌をきたしてきます。会社が成長するには社員や顧客や取引先など、多くの関係者の協力が必要です。あなたの私欲にまみれた夢も、社会性を持ちたくさんの人の賛同を得られるものに変わっていくでしょう。お金儲けしたいという夢は、「上場」という格好の良い言葉に変わるかもしれません。

社長は自分の夢をペンで書きだしてください。貴重な夢が心変わりで雨散霧消しないためです。

  • 社長の思いや志、夢を、飾らないでください
  • 脚色しないまま、それをデザインしてください
  • 自分の言葉で、具体的に書いてみてください

「事業計画」は、夢を計画的に実現する物語で、

  • 「夢」や思い、志が形になっています
  • 「形」が数字になっています
  • 「形」になった中期計画の数字や戦略が、実行計画として設定されています
  • 実績数字や施策を目標と比較できる仕組みを持っています
  • 修正行動を速やかに起こすことを要請する理にかなった仕組みになっています

「事業計画」の趣旨と内容を会社全体に浸透させるには忍耐強い努力が必要ですが、絶対にへこたれないでください。「事業計画」に会社が成長拡大する理が潜んでいるからです。

経営環境が厳しい時代の事業計画

販売価格、賃金など社会のあらゆる価格と称するもの全体が下がる。これがデフレの時代です。残念ながら我々は体験しました。人口、特に生産年齢人口の減少が続き有効需要が継続的に不十分である限り、今後も体験すると思います。

この時、自社の売上や利益が下がるのも当然と受け止めるか否かが分かれ目です。絶好の商機、チャンスと見る視点が重要です。

低成長時代は自社の「商品の実力を試される時」です

インフレの時代は、物価をはじめすべてが上昇傾向で、膨張していても成長と勘違いすることもあります。ところが、デフレの時代には、そのような勘違いを受け入れる余裕が消費者側にありません。顧客は厳しい要求を出します。需要が少ない中での競争となり、入念に作戦を練らないと、いっぺんに競争に負けてしまいます。

マーケットが縮小傾向の中でも勝つ、「本物」しか勝負になりません。自社の商品の本物度は、商品の「切り口」をどれだけ顧客の「期待度」に合うよう鋭敏に仕立て上げるか、全社を挙げた経営のかじ取りにかかっています。

低成長時代は自社の「経営力を試される時」です

厳しい顧客の目に応える「本物」の新商品の芽を貯えましょう。事業計画に従ってそれを着実に開発し、世に出していく経営力が問われる時です。本気で取り組んでいる経営者は慌てる必要はありません。

上場も視野に入れた経営

事業を計画的に遂行すれば、上場のチャンスはどの経営者にもあります。それには、次のことを常に頭に入れて経営することです。

  1. 「夢」や思いを実現するステップとして、まず「実績」を出す
  2. マーケットに訴える「新しいビジネスモデル」を呈示する
  3. 「差異化」を図る。ビジネスモデル、商品力、技術力、顧客層、特色ある仕組みなど、ターゲットは山ほどある。特定の差異化でマーケットに新機軸をインプットする
  4. 「一点豪華主義」に即して、特定の領域や施策に資源を集中投下し、その分野でのナンバーワンを実現する

このほかにも、組織や体制の充実、情報の管理、コンプライアンスなど内部的に整備すべきことはたくさんあります。しかし、早期に上場し大きく繁栄するためには、上記の1~4のことを念頭に特定のマーケットで実績を挙げ、実績を踏まえた新しい「切り口」で「差異化」を図り、そこに資源を重点的に投入すること。これによって、証券会社や潜在的株主も魅力を感じる会社になります。

財務諸表には表示されない無形資産「ノウハウ」と「人材」

世の中、数字のルールで競争しています。しかし、数字表現の競争結果の裏側にある目に見えないもの、財務諸表には表示されない無形資産こそが本当の財産であることを忘れてはなりません。

ノウハウ

第一は、「ノウハウ」(知的財産)です。

マーケットの潮流に合った差異化された商品・製品やサービスをマーケットに出すための「ノウハウ」が財産です。社長に「あなたの会社のノウハウは何ですか?」と質問すると、意外に答えられない方がいます。自社のノウハウを意識して経営していないからです。

自社の存在価値の根源を「ノウハウ」化して蓄積し、それを商・製品やサービスの「差異化」に具体化する。この意識と行動が、普段の経営の中にあれば、大きな財産となります。

人材

第二が、「人材」です。

「人材」特に、異能、異才の「人材」こそ財産です。これも経営上意識しないと集まらないし、定着しません。

会社の創設時には、同質の人材で一気に走り出します。これが一般的パターンです。ところが、成長のある段階になると、同質人材が成長の足かせになります。新機軸や革新のためには異質人材、異能人材が必要なのです。異質混在による強烈なエネルギーの土壌が成長には必要になります。

私は、自社の人材層を「人材の動物園」と表現し、意識的に肉食系も草食系も含むあらゆる異質・異能な人材の集合体としました。このことが新しいことに取り組む原動力となり、会社の成長を支えてくれました。

さいごに

この記事では、「事業計画を立てるときに必要な考え方」について解説しました。

以下のページでは、企業経営において必要不可欠な事業計画書作成における、「3つの構成と10の骨子」について記載したチェックシートを公開しています。

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勝ち続ける会社の
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園山征夫

ベルシステム24元代表
84年CSKに入社。CSK創業者、故大川功会長より経営危機のベルシステム24の立て直しを託され、86年専務、87年43歳で同社社長に就任。就任早々、社員に「6つの約束」として会社の将来像を示し、94年店頭公開。99年には東証1部上場を果たし、テレマーケティング業界No.1の企業に成長させた。

 

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【出典】園山征夫.勝ち続ける会社の「事業計画」のつくり方