「キャリアコンサルタント」という仕事をご存じでしょうか? 経営コンサルやITコンサルなど、経営に強い一般的なコンサルタントとは異なり、働く人のキャリアに関するサポートを行う専門家が「キャリアコンサルタント」です。

主に働く人の悩みを聴き、「人」に寄り添うことで問題を解決していきます。キャリアコンサルティング(カウンセリング)を行い、働く人の心に巻き起こるさまざまな問題を未然に防ぐことから、企業のお医者さんとも言われるそうです。

今回は国家資格である「キャリアコンサルタント」の資格取得をサポートし、キャリアコンサルタント自身のキャリアについていち早く目を向けてきたキャリコンシーオ―の取締役である津田裕子氏への取材をもとに、企業における「聴き役の重要性」ついて解説していきます。

「人」でこじれる会社経営

近年、若者の離職率が問題になっています。若手社員の入社3年以内の離職率は3割以上といわれており、中小企業においてはさらに高くなる傾向があります。

また、若者に限らず、多様な年齢層の社員が業務の中で感じる上司に対する不満を筆頭に、給与や労働環境に対する不満、さらにはやりがいや未来の自分への不安など、さまざまな想いを抱えながら仕事をしています。その「気持ち」をないがしろにすると、会社は「人」を失う結果になり、経営そのものがうまくいかなくなってしまいます。

社員が経営者や上司、社内の誰にでも意見を言えることができる状態は、社員の心身の健康を保つだけでなく、経営全体から見ても必要不可欠です。逆に「人」のことでこじれ、問題が発生する企業は、単純な従業員の問題の域を超えて、経営全体を大きく左右する危険な状態だと言えます。

「聴く人がいる」環境整理

「人」でこじれてしまうという問題を防ぐには、やはり社員がいつでも気持ちを言えるような相手(=聴き役)がいる環境が必要です。社内で聴き役を作るための取り組みをいくつか紹介していきます。

風通しの良い環境づくり

まずは、社員同士風通しのよい環境づくりをすることが先決でしょう。大きくコストをかけずとも、取り組めるものになります。

  • アンケートを定期的に行う
  • メンター制度を導入する
  • 挨拶を積極的に行う
  • オフィスのレイアウトを見直す

「風通しの良い環境」になれば、話を聴いてくれる体制がつくられ、徐々に社内での意見交換が活発になっていくでしょう。これにより、意見のすれ違いで業務に支障をきたすようなことなどもグッと減っていきます。

とはいえ、いくら風通しのよい職場といっても仕事に対する不満は上司や先輩には話しにくいでしょう。しかし、そういった不満が社内の問題を解決するきっかけになることもあるため、津田氏は企業として「中立な立場で仕事の話を聴いてくれる人」を置くべきだと言います。それがセルフ・キャリアドックという取り組みです。

セルフ・キャリアドックを活用してみる

セルフ・キャリアドックとは、キャリアコンサルタントが人の観点から企業を健康にするという取り組みで、具体的にはキャリアコンサルタントが経営者や従業員との話を通じて企業の「人に対する課題」を聴き出し、改善を図ります。

経営者によくある「従業員に強く言えばやめてしまうかもしれない」という思いから言えていないこと、逆に従業員の「これを言ったら社内での待遇が悪くなってしまうかもしれない」からと言えないでいること。この間にキャリアコンサルタントが入り、時にはアンケートやセミナーを活用しながら、橋渡しをしていくのがセルフ・キャリアドックとなります。

また、キャリアコンサルタントはキャリアプラン作成のプロであるため、従業員のキャリアの目標意識を高め、計画的な能力開発に取り組むことにより、仕事をする中で継続的な成長を促し、働くことのやりがいや満足度の向上につながるといった効果も見込めます。

最近では、外部のキャリアコンサルタントにお願いするだけでなく、会社の人事部や管理職層がキャリアコンサルタントの資格を取るケースも増えているそうです。他にも、規模の小さい中小企業であれば、経営者自らが資格を取って社員のケアを行うこともあるそうです。

国家資格としてのキャリアコンサルタント

前述の「キャリアコンサルタント」という資格は誰でも取ろうと思えば、気軽に取れる資格です。※受験資格有

経済・社会環境が急激に変化する中で、

「自分の職業人生をどういうものにしたいか」

「それを実現するためにはどうするか」

「また現在の変化にどう対応すべきか」

ということを自ら考えていかなくてはならない状況になってきています。そうした生涯を通じた職業の選択、職業生活の設計、能力の開発・向上が「キャリア」であり、キャリアに関する相談に応じ、サポートを行うことを「キャリアコンサルティング」と言います。

人材の流動化が進み、キャリアも多様化していることから、キャリアについて悩みを抱える人も増えています。そういった流れから、「キャリアコンサルタント」は平成28年度に厚生労働省から国家資格認定を受けています。

現在全国で6万人を超えるキャリアコンサルタントですが、政府は令和6年度までにキャリアコンサルタント資格者を10万人に増やそうとしています。着々と人材の供給が増えていますが、それを上回るくらいに今後キャリアコンサルタントの需要は増えていくでしょう。

代表者様からのメッセージ

「きょう、どんな気持ちで帰りたいですか?」

私たちのキャリアコンサルティングは、そんな問いかけからはじまります。

キャリアコンサルタントにとって最も重要なのは「傾聴」です。まずはその人の言葉を聴き、想いを引き出すこと。会社という環境下で、「何でも話せる相手」という存在は稀有だと思います。だからこそ、我々キャリアコンサルタントが社員の皆様の潤滑油となることで、会社の社内環境を整えるだけでなく、社員一人ひとりの人生を豊かにしていきたいと考えています。

我々は資格としても、職業としても、「キャリアコンサルタント」自身のキャリアについてサポートする体制を整えています。会社の「人」に関する問題がありましたら、何でもいいのでまずは我々にお話しをお聴かせください。お待ちしております。

資格を取るためには受験資格である150時間以上の養成講習受講(修了)または実務経験3年以上の経験や、学科、論文や面接などの試験を突破しなければなりません。試験やその後の「キャリアコンサルタント」のサポートを行う機関として、キャリコンシーオ―を活用してみてはいかがでしょうか。

 

津田 裕子(Hiroko Tsuda
CARICON.CO(キャリコン.シーオ―) 取締役
会社URL: https://caricon.co/
大阪府大阪市西区西本町1-9-16サンシステム西本町3F