この記事では、ビジネスにおいてビッグデータを活用するメリットや手順、実際の活用事例などについて解説します。

ビッグデータとは

ビッグデータと聞くと、なんとなく「大量のデータ」という漠然としたイメージを抱いてしまいがちです。しかし、総務省の「情報通信白書 平成24年版」の「ビッグデータとは何か」では、ビッグデータの特徴として「量的」な要素と「質的」な要素が定義されています。

「量的」な要素

ビッグデータの量は、「数十テラバイトから数ペタバイト」と定義されています。この量は、音楽で言うと20万曲以上、写真で言うと250万枚以上という膨大な量になります。

「質的」な要素

ビッグデータに必要な質的な要素は

  • 高頻度:リアルタイムデータ等、取得・生成頻度の時間的な解像度が高いデータ
  • 多様性:各種センサーからのデータ等、非構造なものも含む多種多様なデータ
  • 高解像:事象を構成する個々の要素に分解し、把握・対応することを可能とするデータ

とされています。これらの質を担保するには、前述のように「数十テラバイトから数ペタバイト」という膨大なデータが必要となります。

ビッグデータを構成する2要素

参考:総務省 情報通信白書平成24年版 「ビッグデータとは何か」

なぜビッグデータが注目されているのか

近年、ビッグデータが注目されるようになった大きな要因は、コンピューターやインターネットの発展です。それに加えて、MAやBIツールなどの情報整理をするツールが手軽に利用できるようになり、以前より多くのデータの蓄積や分析に可能になったことも要因として考えられます。

ビッグデータを活用するメリット

ビッグデータを活用することで、いままでは数値で表すことが難しかった情報も、膨大なデータ組み合わせることによって定量化することができるようになります。また、その定量化されたデータを活用することで、これまでより幅広い場面で「データに基づく意思決定」を行うことができるようになります。

ビッグデータ活用の注意点

ビッグデータを活用するときには次のような点に注意しましょう。

正しく因果関係を見出す

ビッグデータに含まれるデータどうしの相関関係を調べる際には注意が必要です。それは「擬似相関」というものが混ざっている可能性が高いからです。

「擬似相関」とは、例えば、「ビールの売り上げが伸びると水難事故が増える」といったように、直接関係ない事柄同士に相関関係があるように見えてしまうことを言います。(この場合は、気温の上昇が共通点として挙げられます)

相関関係が導き出せたとしてもそこで終わらず、目的と仮説を立てて検証し、因果関係を見つけましょう。

定性的なデータにも注目する

定性的なデータとは、「なぜこのお店でよく買うのか」に対する回答のように、数値に表せない質的な情報のことです。

データを分析する時には、数字だけを眺めていても何が起こっているのか気づけない場合もあります。そのような場合には、率直なユーザーの意見が見える定性データにも注目しましょう。

ビッグデータの活用現状と活用事例

ビッグデータ活用に対する企業の関心は高い傾向にありますが、現状として、ビッグデータの活用状況は大企業が中心になっています。

実際の活用事例

実際にビッグデータを活用している企業の事例を見てみましょう。

ダイドードリンコ

「アイトラッキング・データ」と呼ばれる、被験者が自動販売機にて商品を購入する際にどこを見て、商品を認識しているのかを表すデータを用いて調査したところ、自動販売機に対しての視線は、下段に集まることがわかりました。

ダイドードリンコは、以前まで「Zの法則」に則り、主力ブランドを左上に配置していましたが、「アイトラッキング・データ」に基づいて改善を行ったところ、売上が前年比1.2%増となったそうです。

スシロー

スシローではすべての寿司皿にICタグを取り付け、「どの寿司」が「いつ」「どれくらい」食べられたか、といったデータを収集しました。他にも、どのテーブルでどんな商品が注文されたかといったデータも収集し、毎年10億件ものデータを蓄積したそうです。

その蓄積は、需要の予測を容易にし、売上を上げたのはもちろん、食品ロスも減らすことに成功しました。

まとめ

この記事ではビッグデータ活用のポイントや事例をご紹介しました。

ビッグデータは、普通には気付けないような新しい知見をもたらし、様々な業界で売上増、コスト削減、業務効率化などの目的に活用されています。実際にビッグデータをビジネスに活用する際には目的や仮説を持って取り組んでいきましょう。