この記事では会社の定款を作る時に必要な「機関設計」の決め方について解説します。「取締役を増やすタイミング」「取締役会・監査役を設置するタイミング」に注目して確認していきましょう。

社会保険労務士の寺内正樹さんが著書『仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】寺内正樹 社会保険労務士。行政書士。

機関設計とは

「機関」とは、株主総会、取締役、取締役会、監査役、監査役会、会計監査人、会計参与など会社を運営する組織のことです。この機関をどのような組み合わせるかを決めること「機関設計」と言います。

「機関設計」には、どのように会社を運営していくのかという社長の思いを反映させることができます。

使われる「機関設計」は主に2種類

法律上、理論的には39種類ほどの機関設計が可能とされていますが、実際には、会社規模、株式が自由に譲渡できるかの観点で、さらに細かな分類がされ、どのような会社でも、すべての機関設計を選択できるわけではありません。

一般的には、大きく2つの機関設計に落ち着きます。

株主総会+取締役

これは、株主の集まる株主総会で会社の意思を決定し、それを取締役が実行するという最もシンプルな機関設計です

従来の有限会社に近い形態

取締役は1人でも複数でも構いません。有限会社が株式会社に統合された現在では、有限会社を新たに作ることはできませんが、この機関設計を利用することで、従来の有限会社に近い形態を作ることが可能です。

株主総会+取締役+取締役会+監査役

取締役会を設置するには取締役が3名以上必要で、取締役会が設置された場合、原則、監査役を設置しなければなりません。

つまり、この形態では、取締役最低3名、監査役最低1名の合計4名がいる必要があります

対外的な信用が高い

対外的な信用は、合議制の取締役会が設置され、さらに監査役が監督を行なうことになるため、「株主総会+取締役」の形態より高いと言えます。

最初から会社として組織的なスタートを切りたい場合各取締役の意見を取り入れた上で業務に関する決定を行いたい場合などには、設立時からこの機関設計を選択することもあります。

設立当初の企業の多くは「株主総会+取締役」の形態

会社の役員が1~3人の会社は、原則「株主総会+取締役」の形態を取らざるをえません。

実際に、私が会社設立をサポートするケースでも9割の社長は「株主総会+取締役」の形態を選択しています。これは従来の有限会社の形態でビジネスをスタートさせる社長が多いからなのです。

2種類の機関設計
  • 株主総会+取締役
    株主の集まる株主総会で会社の意思を決定し、それを取締役が実行するという最もシンプルな機関設計のこと。
  • 株主総会+取締役+取締役会+監査役
    対外的な信用が高い形態。最初から会社として組織的なスタートを切りたい場合、各取締役の意見を取り入れた上で業務に関する決定を行いたい場合に適している。

「機関設計」を変える時の2つのポイント

会社の成長とともに「機関設計」を変える

「機関設計」は会社を設立してから会社を止めるまで同じである必要はありません。その時点での会社の状況に合わせて構成を変え、組織を強化し、会社を成長させていくべきなのです。

最初は、「株主総会+取締役」という最もシンプルな状態から始まる会社がほとんどです。イベント制作会社を経営している私の友人も正にその状態から始めて、「社長1人」→「社長1人+取締役2人」→「取締役会設置+監査役1人」という流れで、機関設計を変えることにより、現在も順調に会社を成長させています。

「機関設計」を変える時の2つのポイント

ポイントは、どのタイミングで、機関設計を変えていくかということでしょう。次の2つのタイミングについて確認してみます。

  • 取締役を増やすタイミング
  • 取締役会・監査役を設置するタイミング

取締役を増やすタイミング

社員が増えれば、会社自体の規模は大きくなっていきます。それによって、1人の時より大きなことができます。1人では動かせない石も大勢の力で動かすことができるようになるのです。しかし、経営者が1人であれば、動かす方法を考えるのは1人です。

それに対して、取締役が増えることは、経営者の側に立つメンバーが増えることを意味します。それは、複数で動かす方法を考えることになるということです。1人では力任せに押すことしか思いつかなかったものが、複数で考えることで、下に丸い木の棒を置いて転がすという、より少ない労力で同じ効果を上げる方法を思いつくかもしれません。

「共に考える人が欲しくなった時」が絶好のタイミング

社長が「自分と同じ目線で会社経営のことを考える人を求めた時」こそが取締役を増やすタイミングです。

最初は、自分で思いつく方法で進めていきたい社長が多いので、逆に他の取締役を邪魔に思うぐらいかもしれません。しかし、ふと「共に考える人が欲しくなった時」が、その社長にとっての取締役を増やす絶好のタイミングなのです。

取締役会・監査役を設置するタイミング

社長を含めて取締役が3人以上になれば、「取締役会」を設置できるようになり、この時点で、原則「監査役」の設置の必要も出てきます(取締役会がなくても監査役を設置することは可能です)。

「取締役会」は、経営上、重要な業務執行に関する意思決定を迅速に行なうこと「監査役」は、取締役の業務や会社の会計が法律上適正になされているかをチェックすることが主な役割です。

「組織のほころびが目立ってきた時」がタイミング

組織として大きくなると、株主総会ですべての業務上の意思決定ができなかったり、ついコンプライアンス(法令順守)が見落とされることも出てきます。

新たな機関を設置して、役割分担をさせることで、その弱点を補うことができます。そのような「組織のほころびが目立ってきた時」が取締役会・監査役を設置するタイミングと言えます。

さいごに.定款作りのポイント

この記事では寺内正樹さんの著書より、会社の定款を作る時の「機関設計の決め方」について解説しました。

この記事のポイント
  • 主に使われる「機関設計」は「株主総会+取締役」「株主総会+取締役+取締役会+監査役」の2種類。
  • 取締役を増やすタイミングは社長が「自分と同じ目線で会社経営のことを考える人を求めた時」
  • 取締役会・監査役を増やすタイミングは「組織のほころびが目立ってきた時」

以下のページでは、「定款」を会社の成長拡大に役立つものにするためのチェックシートを公開しています。

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定款は、「書き方」より内容の「決め方」がポイントです。以下の記事では、各項目について「定款」をつくるにあたって絶対に外せないポイントを解説しています。これから新しく会社を設立する場合だけでなく、すでに設立が終わっていても現在の「定款」を再チェックしてみてください。

 

参考:定款とは?意味や作成・変更時の注意点を解説

 

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