この記事では会社の定款を作る時に必要な「本書所在地の決め方」について解説します。

社会保険労務士の寺内正樹さんが著書『仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】寺内正樹 社会保険労務士。行政書士。

本店所在地とは

「本店所在地」とは、文字通り、会社の本店の置かれる場所のことです。

本店所在地を決める2つの方法

「本店所在地」については、2つの決め方があります。それは、

  • 定款で細かい住所まで決めてしまう方法
  • 定款では市区町村(東京都の場合は23区まで)を決めておき、細かい住所については株主総会などで別途決定する方法

です。

両者の違いは、本店所在地の移転時に現れます。

定款で細かい住所まで決めてしまう方法

「定款で細かい住所まで決めてしまう方法」については、同じ市区町村内の本店移転でも必ず定款の変更が必要になります。

細かい住所は別途決定する方法

「細かい住所は別途決定する方法」については、同じ市区町村内の場合、定款は変える必要がなく、取締役会(ない時は株主総会)の決議で移転できます。

一般的には「細かい住所は別途決定する方法」が多い

社長1人の小さな会社では、どちらもあまり違いはありませんが、出資者や役員の人数が増えてくるとどちらの選択をとるかで、本店移転の決議のしやすさが変わります。一般的には、決議のしやすい「細かい住所は別途決定する方法」で定めることが多くなっています。

本店所在地を決める時の3つのポイント

「本店所在地」を決めるに当たって、以下の点を考慮していきます。

本店所在地を決める時のポイント
  •  本店所在地と実際の営業場所
  • 登記上の記載の仕方
  • 貸主の承諾

順番に詳しく確認していきましょう。

本店所在地と実際の営業場所

「本店所在地」は、本店の場所、いわば主たる営業所の置かれる場所ですが、実は必ずしもその場所で営業しなければならないわけではありません。

社長の自宅を本店所在地にする

例えば、神奈川県にある社長の自宅を本店所在地にして、東京都に事務所を借りて、実際の営業は、その事務所で行なっているということもよくあります。

なぜそのようなことをするのかといえば、その方が便利だからです。事務所を本店所在地にした場合、事務所を移転するたびに本店所在地の移転を行なう必要が出てきます。しかし、自宅をあまり動かさない人ならば、自宅を本店所在地とすることで、事務所の引越に合わせてわざわざ本店所在地を移さずに済みます。

事務所移転の際の費用や手間を省ける

特に起業当初は、会社の成長に合わせ事務所を移転することも多いので、あまり動かさない場所を本店所在地にして、事務所移転の際の費用や手間を省くのも1つの方法です。

すべての店舗を支店登記する必要はない

同様の発想で、本店所在地の他に営業の拠点を増やしたとしても、店として登記しなければならないわけではありません。例えば、全国に何百店舗という形で営業している会社もありますが、すべての店舗を支店登記しているとは限らないのです。

登記上の記載の仕方

本店所在地の場所を決めた後でそれをどのように記載するかは、実はある程度自由に決めることができます。

部屋番号やマンション名の書き方

例えば、東京都新宿区○○1丁目2番3号のABCマンション103号室を本店所在地にする場合、同じ住所でも以下のように記載の仕方を変えることができます。

A 部屋番号を書かない  例)東京都新宿区○○1丁目2番3号
B 部屋番号を書く    例)東京都新宿区○○1丁目2番3号 -103号室
C マンション名まで書く 例)東京都新宿区○○1丁目2番3号 ABCマンション103号室

他にも103号室ではなく、「103号」としたり、細かい点で考えれば、さらに様々な記載が可能です。登記されている本店所在地に郵送物を送って届かないようでは困りますが、そうではない限り、記載の仕方は社長の好みの問題です。

同一所在地で同一商号の登記は認められない

また、法律上、同一所在地で同一商号の登記は認められていないため、記載の仕方が同一所在地の判断時に影響を与えます。この時は、先に登記されている会社の記載の仕方で結果が変わります

例えば、先にAの状態で登記をされてしまうと、同じ建物でBやCの記載をしても同じ商号での登記はできなくなります。また、先の登記がBやCの状態であれば、後から登記する会社が異なる部屋番号でBやCの登記することは可能です。

貸主の承諾

さらに見落とされるポイントとして、貸主の承諾をきちんととってから本店所在地を決めているかというものがあります。自己所有の物件に本店所在地を置くのであれば特に問題はありませんが、賃貸借物件の場合には注意が必要です。

契約違反で解除となる場合もある

契約の中で会社の事務所が置かれることが前提になっていれば良いのですが、住居としてのみ使用することを前提に借りているのに、勝手に会社の本店所在地を置いてしまうと、契約違反で解除されても文句は言えません

そのような事態を避けるために、事前に貸主に話をして、会社を設置することへの承諾を受けておきます。それにより、無用なトラブルを避けることができます。

貸主の承諾がとれない場所を勝手に本店所在地にしてしまうことは危険なことなのです。

さいごに

この記事では寺内正樹さんの著書より、会社の定款を作る時の「本店所在地の決め方」について解説しました。

この記事のポイント
  • 必ずしも本店所在地で営業しなければならないわけではない。
  • すべての店舗を支店登記する必要はない。
  • 本店所在地の場所どのように記載するかは、ある程度自由に決めることができる。
  • 賃貸借物件に本店所在地を置く場合は、事前に貸主の承諾を得る

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定款は、「書き方」より内容の「決め方」がポイントです。以下の記事では、各項目について「定款」をつくるにあたって絶対に外せないポイントを解説しています。これから新しく会社を設立する場合だけでなく、すでに設立が終わっていても現在の「定款」を再チェックしてみてください。

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参考:定款とは?意味や作成・変更時の注意点を解説

 

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寺内正樹

シリウス総合法務事務所代表http://www.kaisha-teikan.com/
2002年11月より行政書士事務所を開設。2005年10月、社会保険労務士の登録も行い、企業の法務・人事労務をトータルにコンサルティングしている。中小企業の新会社法対応、会社設立には特に力を入れており、従来の業務に加え、個人情報保護法対策・プライバシーマーク取得支援などの新分野にも積極的に取り組んでいる。

Facebook:terauchimasaki


【参考】寺内正樹.
仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!