この記事では会社の定款を作る時に必要な「資本金の決め方」について解説します。
「資本金とは何か」「資本金を決める時のポイント」を確認していきましょう。

社会保険労務士の寺内正樹さんが著書『仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】寺内正樹 社会保険労務士。行政書士。

資本金とは

「資本金」とは、単純に言えば会社の規模を表す指標です。

実際は、「資本金」として出資されたお金は、会社の運営のために使われ、常にその金額が会社の中に残っているとは限りません。

ですから、「資本金」は水を溜める水槽だと考えるとわかりやすいです。水槽の中に水が溜まっていて、水を使えば減り、水が注がれれば増えます。溜まっている水がどんなに増減しても外側の水槽の大きさは変わりません。

この場合の水は、お金のことです。会社の持っているお金は変動しますが、それによって器である資本金が変わるわけではないのです。

資本金1円で会社をつくることができる

もともとは、有限会社は300万円、株式会社は1000万円という最低の資本金の金額の基準が定められていました。これは会社としてある程度の規模を保たせて、会社の債権者を保護する狙いがあったのです。

しかし、資本金はあくまで「器」の大きさであるため、会社にある実際のお金まではわからず、必ずしも債権者保護が図れているとは判断しきれない面がありました。また、IT技術の発展により少ない資本でビジネスを行なうことが可能になったため、最低資本金の規制が起業の足かせになってしまう面も出てきてしまいました

その結果、最低資本金の規制は撤廃され、会社法が施行された当時は資本金1円で会社をつくることができるということで、かなり話題にもなりました。

資本金を決める時の3つのポイント

あなたの会社に合わせた「資本金」の決定には、以下の点に注意する必要があります。

資本金を決める時のポイント
  • 資本金は少なくていいか?
  • 資本金は多いほうがいいか?
  • 許認可に関わるかどうか

順番に確認していきましょう。

資本金は少なくていいか?

資本金は1円が良い?

資本金を1円にして会社を設立することは、理論的には可能です。しかし、これはあまり良い選択とは言えません。

資本金1円ということは、当初、会社が持っているお金が1円しかないということを意味します。つまり、利益が上がるより、経費が先に出ていけば、いきなり会社は借金を背負うことになってしまうのです。それでも、会社が潰れてしまわないのは、結局、社長が会社にお金を貸して切り抜けているからです。

資本金は融資に影響を与えることがある

当初の予定より経費がかかってしまった結果ならば、仕方ありません。しかし、予めある程度の経費がかかることがわかっていて、最初から社長の個人のお金で立て替えるつもりならば、その分を見越して資本金を設定しておく方が経営者の対応としては望ましいと言えます。

なぜなら、資本金の設定については、融資の際にも影響を与えることがあるからです。融資の際には、自己の保有しているお金、いわゆる自己資金がどのくらいあるかは重要な要素です。会社の当初の自己資金は、資本金の金額です。社長が保証人になるケースも多いため個人の資金も考慮されることはありますが、原則としては、あくまで会社が持っているお金で判断されます。

100万円~300万円から始める人が多い

ですから、「資本金」は自己のビジネスの状況を考え、最初にある程度の金額の設定をしておくことが望ましいのです。少なくともある程度の売上が見込めるまでの運転資金は見ておいた方が安心です。具体的な金額は、それぞれのビジネスの状況によりますが、私の経験から考えると、100万円~300万円ぐらいの規模で始める人が比較的多いです。

資本金は多いほうがいいか?

では逆に、ただ単純に資本金を高く設定すれば良いのか、というとそれも得策ではありません。特に、従来の株式会社の最低資本金のラインである1000万円を超える時には注意を要します。

資本金1000万円未満は税金の免除がある

なぜなら、資本金が1000万円未満であれば、最初の2期分は消費税が免除される措置がとられるからです。ビジネスによっては、2期分の消費税の金額が何百万、何千万となることもあります。

新会社の設立でも利用できる

この措置を上手に利用できるかで、事業のスタートは大きく変わります。また、会社として成長してからも事業部門ごとに、独立して新会社を立ち上げるなどの対応でこの措置を利用することも可能です。

許認可に関わるかどうか

資本金が許認可に関わることもあります。例えば、建設業許可ならば500万円、一般労働者派遣事業許可ならば1つの事業所につき2000万円の資産に関する条件がありますが、資本金を設立時にこの金額に設定すれば、条件を満たすことになります。

資本金でこの資産要件が満たせないと、許可取得のために、残高証明書など別の方法で対応する必要が出てきます。資本金で許認可の条件が満たせれば、余計な手間はかかりません。

さいごに

この記事では寺内正樹さんの著書より「定款の資本金の決め方」についてご紹介しました。

この記事のポイント
  • 資本金は融資に関わる場合もあり、100万円~300万円ぐらいの規模で始める人が比較的多い。
  • 資本金が1000万円未満であれば、最初の2期分は消費税が免除される。
  • 資本金で許認可の条件が満たせれば、余計な手間がかからない。

以下のページでは、「定款」を会社の成長拡大に役立つものにするためのチェックシートを公開しています。

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定款は、「書き方」より内容の「決め方」がポイントです。以下の記事では、各項目について「定款」をつくるにあたって絶対に外せないポイントを解説しています。これから新しく会社を設立する場合だけでなく、すでに設立が終わっていても現在の「定款」を再チェックしてみてください。

 

参考:定款とは?意味や作成・変更時の注意点を解説

 

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