この記事では会社の定款を作る時に必要な「決算期の決め方」について解説します。

社会保険労務士の寺内正樹さんが著書『仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】寺内正樹 社会保険労務士。行政書士。

会社の決算期はなぜ3月が多いのか

個人事業主の場合、税金を計算する年度の単位は1~12月と決まっています。それに対して、会社の場合、決算期の時期は自由に決めることができます。

3月を決算期にしている会社が20%

あなたは会社の決算期というと何月をイメージしますか?この質問をすると、「3月」と答えられる方が圧倒的に多いです。

ここ10年ほどの国税庁の統計によると、3月を決算期にしている会社は20%程度あります。次に続くのは、9月、12月、6月というところで、いずれも10%程度となっています。

3月決算の会社が多いのは「株主総会対策」

3月決算の会社が多いのは、国の年度の区切りということもありますが、大企業の場合、株主総会対策もひとつの理由です。他の企業と決算期や株主総会日を合わせることで、いわゆる総会屋などの出席を少しでも減らそうとする狙いがあります。

結果、それに引きずられる形で大企業と取引をしている中小企業にも3月決算が派生している面があります。他にも、学校の卒業年度に合わせることで、新入社員を新年度の初めから雇用するという意味もあります。

「年に2回以上の決算」「末日以外の決算日」も可能

また、決算期は年1回で、締切日が末日のイメージがあるかもしれませんが、実は、年に2回以上決算をしたり、末日以外を決算日にすることも可能です。

例えば、実際に決算期を6月と12月の年2回にしている会社や、給料の締め日に合わせて20日を決算日にしている会社もあります。ただし、このようなケースはあまり多くはありません。

決算期を決める時の2つのポイント

取引先との関係で決算期を3月にしなければならないなどの明確な理由があるならば、3月決算でももちろん問題はありません。

しかし、理由もなく3月を決算期にしてしまっている会社があるのも事実です。あなたの会社に最適な設定をしていくことで、状況は大きく変わります。

最適な決算期を決める時のポイントは以下の2つです。

決算期を決める時のポイント
  • 最初の決算期は「長く」する
  • 決算期は「繁忙期」と重ねない

順番に詳しく確認していきましょう。

 最初の決算期は「長く」する

設立から最初の決算を迎えるまでは、なるべく長い方が有利です。理由は2つあります。

消費税免除の措置が最大活用できる

1つめは、消費税免除の措置が最大限活用できるからです。

消費税免除の措置は最初の「2期分」

誤解されているケースが多いのですが、この措置が受けられるのは、最初の2年間ではなく、2期分です。そのために会社の1期目の長さによって、免除を受けられる期間がかなり変わってきます。

例えば、2月14日のバレンタインデーに設立したいという会社があったのですが、最初、社長がご相談にいらっしゃった時には、3月決算にするつもりでいました。話を聞いてみると、特に3月決算にする理由があるわけではなく、一般的なイメージから3月を決算期にと考えていたそうです。そこで消費税免除の措置のお話をして、決算期を1月に設定しました。

もし3月決算にしていたとすると、この会社の第1期の長さは、2月14日から3月31日までの1ヶ月半しかないことになります。それに対して、1月決算にすると、第1期の長さは2月14日から翌年の1月31日までの11ヶ月半ということになり、10ヶ月も消費税免除の期間が変わってくるのです。

「会社設立日」は月の初めに持ってくる

なお、同様の発想で、決算日が末日と考えると、第1期目を少しでも長くするために、「会社設立日」についても工夫ができます。すなわち、月の初めに設立日を持ってくる方が、第1期目が長くなります。

例えば、同じ2月設立で1月決算でも、2月1日に設立した会社と2月28日に設立した会社とでは、約1ヶ月間、第1期の長さが異なってきます。

決算事務を先送りすることができる

2つめは、決算事務を先送りすることができるからです。

決算手続は様々な資料をそろえる必要があり、税理士に依頼をすれば報酬も発生します。会社にとっては、正直、面倒な作業なのです。

設立当初の手間と出費を抑える

設立当初は、社長が特に忙しく、少しでも出費を抑えたい時期でもあります。その時期にあえて決算事務に手間と費用をかける必要はありません。

決算期は「繁忙期」と重ねない

設立当初だけでなく、長期的に会社経営を考えた場合、自社の繁忙期を避けるという観点も非常に重要です。

私の顧問先の運送会社では、毎年、お中元とお歳暮の時期である7月、12月が最も忙しくなります。この会社はもともと6月が決算期だったため、仕事が忙しくなってくる7、8月に決算の資料を揃えるなどの準備を進める必要がありました。そこで、決算期を8月に変更することを提案させていただいたところ、繁忙期に仕事に集中できるようになり、売上も上がったというケースがありました

税金申告までの2ヶ月間に注意

このように、繁忙期と決算の準備期間が重ならないように、決算期を設定すると効率が良くなります。

その際、決算月自体ではなく、決算期終了後、税金申告までの2ヶ月間が準備で忙しくなることに注意してください。

さいごに

この記事では寺内正樹さんの著書より、会社の定款を作る時に必要な「決算期の決め方」について解説しました。

この記事のポイント
  • 「年に2回以上の決算」「末日以外の決算日」も可能。
  • 最初の決算期は「長く」することで、免税の処置を最大限活用することができる。
  • 決算期は「繁忙期」と重ねない

 

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定款は、「書き方」より内容の「決め方」がポイントです。以下の記事では、各項目について「定款」をつくるにあたって絶対に外せないポイントを解説しています。これから新しく会社を設立する場合だけでなく、すでに設立が終わっていても現在の「定款」を再チェックしてみてください。

 

参考:定款とは?意味や作成・変更時の注意点を解説

 

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寺内正樹

シリウス総合法務事務所代表http://www.kaisha-teikan.com/
2002年11月より行政書士事務所を開設。2005年10月、社会保険労務士の登録も行い、企業の法務・人事労務をトータルにコンサルティングしている。中小企業の新会社法対応、会社設立には特に力を入れており、従来の業務に加え、個人情報保護法対策・プライバシーマーク取得支援などの新分野にも積極的に取り組んでいる。

Facebook:terauchimasaki


【参考】寺内正樹.
仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!