経営をサポートしているプロフェッショナルへのインタビュー第10回は、エグゼクティブ・コーチとして、企業の経営者へのコーチングを行っている和気香子さんへのインタビューをお届けします。

エグゼクティブ・コーチとして経営者と接する中で、和気さんが感じた「経営者の意思決定に欠かせないもの」について教えていただきました。

経営者の意思決定に必要なのは「自分らしいビジョン」

― 和気さんから見て、経営者はどんな課題を抱えていると感じますか?

和気 日々の経営の中で、納得して、自信を持った意思決定ができずに悩んでいる人が多いように感じます。

経営者は、戦略策定、採用、資金調達、契約書のチェックなど、大きなことから小さなことまで責任を持って意思決定をしなければいけません。しかし、判断しなければならない課題に対して、十分な時間や情報を確保することができない経営者は少なくないと思います。

自分らしい「ビジョン」「ミッション」を明確にする

― 経営者が自信を持った意思決定をしていくために必要なことは何だと思いますか?

和気 まずは、自分らしい、ビジョンやミッションを明確にすることが大切だと思います。ビジョンとは簡単に言うと「将来ありたい姿」、ミッションとは「本当に大切にしたい価値観」のことです。

会社、そして自分のビジョンやミッションを明確にして、目標、課題についてじっくり考えることで、腹落ちした意思決定をすることができるようになります。腹落ちした意思決定を積み上げていくことで、自分だけの経営スタイル、経営手法を確立していくことができるんじゃないかと思っています。

― 自分らしい、ビジョンやミッションは、どのようにして具体化していくものなのでしょうか?

和気 まずは、「こうだったらいい」という将来を想像して、ピンときたことをどんどん試すのがいいと思います。「こうだったらいい」という将来は、常識や自分の過去の考え方などの制限を外して、とにかく「やりたいと思うこと」を考えます。

具体的には、まずは「こうだったらいい」という将来を想像して絵に描いてみるのがいいと思います。幼稚園児が描くような簡単なもので構いません。次に、その将来が実現したときに、自分がワクワクするかどうかを考えてみます。

自分がワクワクすることが見つかったら、それを元に目標やアクションプランを立てて、実行と振り返りを繰り返していきます。そうすることで、自分の「将来ありたい姿」や「本当に大切にしたい価値観」つまり、ビジョンやミッションを明らかにしていくことができるはずです。

コーチングとは「対話を通して人の能力や才能を最大化すること」

― 和気さんの行っているコーチングについても教えていただけますか?

和気 私は主に、ベンチャー企業やスタートアップ企業の経営者の方向けにコーチングを提供しています。

コーチングでは特に、”自分らしさ”を大切にしています。他人の成功モデルや成功本に書いてある内容をそのまま真似しようとして続かなかった経験がある人は少なくないと思います。その原因の多くは、意思の問題ではなく、他の人のやり方が自分に合ったものではなかったからなんです。

私が実際に行う経営者の方向けのコーチングでも、自分らしい、ビジョンやミッションを明確にすることから始めます。そして、それらを実現するために短期・中期的に必要な目標を立て、それを実現するための方法を考え、実行し、ふり返るプロセスを踏んでいきます。自分らしいからこそ、頭と心の両方で腹落ちし、どんどん行動したくなり、続くのだと考えています。

また、私のコーチングでは、「引き出す」という部分もポイントにしています。ご自身の中にあるけれど、普段の思考パターンではなかなか出てこない、アイデアや考えを引き出すよう関わっていきます。ご希望があれば、私の経験から出来るだけのアドバイスもいたしますが、基本はご自身に考えてもらいます。

沢山の方に関わってきた中で、コーチングを受けに来た方から出てくる考えやアイデアの多さにはいつも驚かされます。誰の頭の中にも、実はたくさんのアイデアが眠っているのです。そして、自分の中から出てきたアイデアを元に、ご自身で考えて決断するからこそ、行動につながっていきます。

― 和気さんがコーチングの必要性を感じるようになったきっかけは何かありますか?

和気 きっかけは、ある企業で中間管理職という立場を経験したことです。上司とも部下とも上手くコミュニケーションがとれず、何をやっても上手くいかず、自信を失ってしまいました。

人間関係に、すっかり自身を失ってしまった私は、その悩みを何とかしなければならないと思って色々な本を読み、様々な自己啓発セミナーに参加しました。そのなかで、コーチングに出会ったのです。コーチングとは、対話を通して人の能力や才能を最大化し、それらを発揮するためのお手伝いをするものです。それ自体は目新しいものではないのですが、アドラー心理学の要素を取り入れたコーチングに魅了されてしまいました。「これなら自分が変われる!そして、他の人にも貢献できる!」と感じました。

「夢を持つのは当たり前。叶えるのはもっと当たり前な世の中」

― 最後に、和気さんが経営者の方へのコーチングに取り組むうえで大切にしていることを教えてください。

和気 私の夢は「夢を持つのは当たり前。叶えるのはもっと当たり前な世の中」をつくり、チャレンジする人が増えることです。

そして、チャレンジする人が増えることで、新しい企業が生まれ、既存の企業が更に成長し、付加価値の高いビジネスや雇用を生み出すことに貢献したいと考えてます。

 

この記事のまとめ
  • 経営者の意思決定に必要なのは、自分らしい「ビジョン」と「ミッション」。
  • コーチングとは、対話を通して人の能力や才能を最大化すること。

 

事業のご紹介

経営者向けコーチング。 自分らしいキャリアを歩みたい人のためのオンラインサロン。

和気さんからのコメント
コーチング・メニューは、ベンチャー企業やスタートアップ企業の経営者のためのエグゼクティブ・コース、キャリアに前向きに悩む方のためのキャリア・コース、その他、コーチングがどんなものかを実感して頂き、且つ私との相性を見て頂くために体験セッション、「心のブレーキを外す」セッションを設けております。

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和気香子

エグセクティブ・コーチ。栃木県生まれ。東京大学経済学部卒業。在学中から女優として、CM・舞台・映画などに出演。その後、ニューヨーク大学でMBAを取得して心機一転、 ビジネスの世界へ。ソフトバンク、日本コカ・コーラなど数社で活躍。華やかに見える キャリアの陰で、中間管理職として部下のマネジメントの悩みを抱え、自身も「本当に やりたいこと」としてのライフワークを模索し続ける日々を過ごす。その過程で出合っ たコーチングに魅了され、現在は、第一線で働くビジネスパーソンに対するエグセクティブ・コーチとして活躍中。大学などでキャリアに関する講義を行う他、ビジネスパーソンのためのコーチング塾、Synapseにてコーチングサロンを開催している。著書に『人の気持ちがわかる人、わからない人』(クロスメディア・パブリッシング)。JB pressで連載中。

 

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