あなたがお客に見積書を提出したときや、商品やサービスの価格を提示したとき、お客は何と言うでしょうか。

「いやー安いね、ウチはお金いっぱいあるから、たくさん買うよ」と言うでしょうか。そんなことはありません。

お客はまず断ってきます。「NO」と言ってきます。

失敗したくない……、もっといいものがあるかも……といった具合に、断る理由は人それぞれありますが、とりあえず「NO」と言うのです。

”販売は断られたときから始まる”とは、生命保険のセールスパーソンで世界一となったE・G・レターマンの言葉です。

お客に断られたときから交渉のスタートと思って間違いないのです。お客の「NO」は単なる挨拶言葉と思ってよいのです。

そこでこの記事では、インサイトラーニング株式会社代表 箱田 忠昭さんが著書『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』で解説している、「価格に不満があるお客と交渉するための4つのステップをご紹介します。

 箱田 忠昭(はこだ ただあき)

日本コカコーラの広告部マネージャー、エスティ・ローダーのマーケティング部長、パルファン・イヴ・サンローラン日本支社長を歴任。昭和58年、インサイトラーニング株式会社を設立。現在代表取締役。プレゼンテーション、ネゴシエーション、セールス、時間管理等のコミュニケーションに関する専門家として、企業人の教育研修に専念。インサイトラーニング株式会社

目次

価格に不満があるお客と交渉するための4つのステップ
1.プラン(Plan)作戦計画を立てる
2.エンカウンター(Encounter)相手との関係作り
3.アグリーメント(Agreement)折衝して合意する
4.リレーションシップ(Relationship)交渉後の関係持続

価格に不満があるお客と交渉するための4つのステップ

価格交渉を進めるための4つのステップは、各ステップの頭文字をとってペア(PEAR)サイクルといいます。

例えば、私がエアコンを購入したいと思い、近くの家電量販店に買い物に行くことにしたとします。

まずは事前に、インターネットで売れ筋商品の情報を調べたり、お目当ての商品のホームページを閲覧して、価格、機能、サイズなどを確認します。そして、家電量販店のチラシ広告を見て、おおよそのメドを立てて買い物に向かうのです。

向かった先の家電量販店の店員との話し合いが始まります。いきなり「まけてよ」などとは言わず、世間話をしてその場を和ませ、良い関係ができるように努めます。

ここで、互いにいい人だなと思えば、話し合いはスムーズに進むでしょう。

次の段階は商談となります。特に価格面でいかに安くしてもらうか交渉を行うわけです。やっと折り合いもついて私は購入を決心します。

最終段階としては、購入後の配送はどうするのか、設置やアフターフォローについて話し合いを行うことになります。

このように価格交渉を進めるためには大きく4つのステップがあることがわかります。

では、次にこのステップを具体的に見ていきましょう。

1.プラン(Plan)作戦計画を立てる

まず、交渉の前に計画を立てるということです。よく「段取り八分」といわれるように、事前に周到な計画を立てて交渉に当たるべきです。

「私の経験からいって、まあ何とかなるでしょう」「あとは現場対応で何とかします」ではいけません。

お客との交渉を甘く見てはいけないのです。交渉の場は真剣勝負です。相手も自らの生活をかけて交渉に当たるのですから、こちらとしてもいい加減な対応はできません。

しっかりした交渉プランを立て、十分な準備をして交渉に当たってください。

例えば、事前にロールプレイングなどをして、普段から練習しておくことです。そうすることによって自信を持って事に当たることができます。

仮に想定していなかった断り文句が返ってきたとしても、応用力を利かせて何とか乗り切ることができます。

ウィリアム・オスラーによれば、「事前に周到なプランを立てておいたとき、不思議なことに物事は予期した方向に行くものである」というのです。

セールスパーソンとして、お客と価格交渉を始める第一歩は「計画を立てる」「事前準備をする」とうことです。このことは、しっかりと頭の中に入れておいてください。

2.エンカウンター(Encounter)相手との関係作り

良い人間関係がなければ交渉はうまくいきません。

当事者同士が出会い、交渉の雰囲気作りを行い、より良い人間関係を作り上げるということです。

例えば、あなたが前々から車を購入したいと思っていたとします。

新車価格300万円のハイブリッド車ですが、この際中古でもいいから何とか手に入れたいと思っていた矢先、たまたま仕事の途中で通りかかった新宿の路上で、一人の男性から声を掛けられました。革ジャンにサングラス、髪の毛を茶色に染めた20代前半の男性です。見るからに怪しいという雰囲気がします。

その男性から、「ちょっと、そこの人。今話題のハイブリッド車の中古を50万円で買わない?」

こう言われたらどうしますか? 買いますか?

買いませんよね。なぜなら、あまりにも不自然でうまい話ですし、第一この男性を信用できません。

では、今度は古い友人から電話があって、「実はさ、今度車を買い替えようかと思っていて、今乗ってるハイブリッド車を150万円で業者に売ろうかと思ってるんだ。お前車を探してるって聞いたけど、買わない?」

こう言われたらどうですか?

「買う、買う。そんな安くていいの? 来週持ってきてよ」となるでしょう。

私たちは知らない人とはどんなに良い条件でも取り引きしたくないのです。

つまり、価格交渉に先立つ良い人間関係作り、雰囲気作り、これがとても重要なのです

3.アグリーメント(Agreement)折衝して合意する

いよいよ、ここからが交渉スタートです。話し合い、駆け引き、軌道修正、譲歩、妥協といった具体的な交渉のテクニックを駆使するわけです

事前に練習してきた交渉のテクニックを使って、お客の断り文句を受け、話し合いを進めるのです。

4.リレーションシップ(Relationship)交渉後の関係持続

セールスパーソンの仕事は、事前に計画を立て、お客との良い関係を構築し、そして交渉に臨んで価格を決定する、だけではありません。交渉の後の実行、契約の履行と、お互いのより良い関係の持続も大変重要な仕事です。

「その後、エアコンの調子はいかがですか?」
「今度新しい洗濯機が発売になりました。買い替えはいかがですか?」

こうしてお客のアフターフォローを行い、次の交渉に備えるのです。

価格交渉とは、こうした4つのステップを永続的に繰り返していくことをいいます。

価格に不満があるお客と交渉するための4つのステップ
1.プラン(Plan)作戦計画を立てる
2.エンカウンター(Encounter)相手との関係作り
3.アグリーメント(Agreement)折衝して合意する
4.リレーションシップ(Relationship)交渉後の関係持続

(『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』をもとに編集)

 

『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』
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