商品が売れるためには、まず商品や企業自身に対する理解を深めてもらうことがとても重要です。

しかし、商品や企業自身になかなか興味を持ってもらえず、お悩みの方も多いのではないでしょうか?

ここでは『モノを売るバカ』や『一行バカ売れ』の著者である川上徹也さんが、著書『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』で述べている「人をひきつけ、共感できるストーリー」を見つけるための5つのヒントをご紹介します。

1.マイナスをプラスに変えよう

普通に考えるとマイナスと思われるような部分にこそ、売れ続けるためのストーリーが潜んでいます。

神奈川県藤沢市にイイダ牧場という10頭ばかりの牛を飼っている小さな牧場があります。この牧場のキャッチフレーズは、「日本一小さい牧場」です。普通ならば牧場と名乗っていいの? と言えるくらい小さいことを、「日本一小さな牧場」というキッチフレーズでチャーミングな存在に見せることができています。かなり辺鄙な場所にあるにもかかわらず、お客さんが口コミで次から次へとやってきて、駐車場はいつも順番待ちです。

自分たちにとってはマイナスだとしか思っていなかったことが、他から見たらとても価値があるものだということは多々あります。

2.裏側(バックステージ)を見せよう

動物園、水族館、劇場などのバックステージツアーが人気です。

普段見られない部分を見ることができるというのは、ドキドキするし、何となく優越感のようなものもくすぐられます。またそうやって、裏を見せることでファンを増やすという効果も考えられます。

これは他の業種でも応用できると思います。

飲食店ならば厨房や倉庫、製造業ならば、工場やつくっている現場などを、お客さんに見てもらうのはどうでしょう?

また、物理的な裏側ではなく、ブログなどを使って、商品開発の裏側、会社の裏側、また業界の裏側などを見せるのも「ストーリー」を生みます。

3.体験を売ろう

あなたやあなたの会社、お店の従業員が毎日やっている仕事を誰かに体験してもらうという視点でビジネスを考えてみましょう。それ自体が利益を生まなくても、体験した人がファンになってくれる確率は高いと思いますし、そこに「ストーリー」が生まれます。

4.時間帯を変えてみよう

深夜営業の美容院やマッサージ店が繁盛しています。また、早朝英会話スクールも多くの人を集めています。

普通ならば、その時間や季節にはやっていないだろう、と思われるときに営業することは、「ストーリー」をつくります。

神奈川県の湯河原温泉旅館協同組合は、「今夜は温泉に帰ろう♪」というプロジェクトを始めました。1日しか休みが取れなくても温泉に泊まれる、というのがコンセプトです。20~24時のレイトチェックインでもオッケーにして、東京で仕事が終わってからでも温泉に向えるようにしたのです。

湯河原温泉は東京から普通電車を使っても2時間弱で行けてしまいます。なので、泊まり客が減少していたのです。でも、それを逆手に取って、会社帰りにそのまま温泉に向かえるという「ストーリー」は、なかなか魅力的です。

5.お客さんに教えよう&コミュニティをつくろう

ミリオンセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』(山田真哉著:光文社新書)に、郊外のあまり流行っていなさそうなフレンチレストランが、実は料理教室で利益を生み出し、お客さんも集めているというビジネスモデルが紹介されていました。

あなたの会社やお店で何か教えられることはありませんか?
例えば・・・

  • さかな屋だったら、「おいしい魚の見分け方講座」「魚のさばき方教室」
  • 喫茶店だったら、「自宅でもできるおいしいコーヒーの淹れ方」
  • 書店だったら、「読書の楽しみ教えます会」
  • リフォーム会社だったら、「こうすればリフォームは成功する!講座」
  • 司法書士だったら、「身近な法律講座」
  • 歯科医だったら、「むし歯予防講座」

自分ではたいしたことないと思っている知識でも、他の業界の人間から見ると「お~」と感心することも多いのです。

もっと言ってしまえば、何も教室を開く必要はありません。ただ人が集まってきてワイワイ話す場を提供するだけでもいいのです。人が集まってくれば、自然と仕事や商売に繋がっていきます。

毎週のように、大勢の人を集めて、日本酒やワインの試飲会を開くことで、値段は決して安くないのにとても繁盛している酒屋もあります。

教えることやコミュニティをつくることで「ストーリー」を生み出しましょう。

まとめ.

いかがでしょう?「ストーリー」を見つけるためのヒントに何か役に立つものはあったでしょうか?

「人をひきつけ、共感できるストーリー」を見つけ出すことで、企業や商品、サービスが長く売れ続けるものになるはずです。

(『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』をもとに編集)

『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』のご紹介

川上さんの著書『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』ではこの記事の内容の他にも、具体的な事例を織り交ぜながら、ストーリーのつくり方、活用の仕方を説明していきます。ご興味のある方は是非チェックしてみてください。詳しくはこちら(Amazon)。

 

 

 

川上徹也 著『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』
「商品」「サービス」「会社」「あなた」にいま必要な差別化戦略 世の中はいろいろな商品・サービスで溢れていますが、不況の今の世の中で売れ続けているのは「安くて品質の良いもの」ばかりです。ユニクロしかり、プライベートブランド商品しかり。しかし、小さな会社が、品質にこだわり、いいものを作り、なおかつそれを大企業よりも安く売る。さらにブランド力のない小さな会社なので広告にもお金が必要です。こんなことをしていたら、小さな会社はたちまち潰れてしまうでしょう。 この本では、そのような数多くの小さな会社が、商品・サービス、また企業自身に、「人をひきつけ、共感できるストーリー」を組み込むこみ、ファンを作ることで安定した売上をあげる差別化戦略を紹介します。具体的な事例を織り交ぜながら、ストーリーのつくり方、活用の仕方を説明していきます。Amazonで書籍の詳細を見る。