販売の交渉は、売り手(セールスパーソン)と買い手(バイヤー)のやりとりです。

人と人とのやりとりである以上、ある程度の駆け引きは必要です。

この記事では、インサイトラーニング株式会社代表 箱田 忠昭さんが著書『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』で解説している、「交渉を有利に進めるための、情報に対する考え方をご紹介します。

 箱田 忠昭(はこだ ただあき)

日本コカコーラの広告部マネージャー、エスティ・ローダーのマーケティング部長、パルファン・イヴ・サンローラン日本支社長を歴任。昭和58年、インサイトラーニング株式会社を設立。現在代表取締役。プレゼンテーション、ネゴシエーション、セールス、時間管理等のコミュニケーションに関する専門家として、企業人の教育研修に専念。インサイトラーニング株式会社

情報を持っている者が勝つ

孫子の言葉に「敵を知り、己を知らば、百戦して危うからず」とあります。

あるいは「スパイに使うほど有効な金の使い方はない」(フランソワ・ド・カリエール)というように、交渉においては情報が重要なカギとなります。

お客の情報があれば戦をコントロールできます。戦わずして勝つことも可能なのです。

お客の手の内をこちらがすべて知っていて、なおかつ相手がこちらのことをなにも知らない場合、こちらが断然有利になります。

例えば、あなたが家電量販店に冷蔵庫を買いに行ったとします。

販売価格27万円と書かれた冷蔵庫を指差して「現金で払うので、ここから2万円まけてください」と言ってもまけてくれるはずもありません。

しかし、近所の商店街にある電気店で冷蔵庫の在庫を持てあましている、しかもメーカーに対する支払期日が明日で、手持ちの資金、現金不足に深刻に悩んでいる、という情報をあなたが持っていたらどうでしょう。間違いなく、あなたは現金払いをちらつかせることで相当の値引きを得ることが可能でしょう。

逆にこちら側の情報、例えば、「今使っている冷蔵庫が壊れてしまって、中の食べ物が腐っている状態。しかも明日お客さんがくるので、ビールを冷やしたり、スイカを冷やしたり、いろいろと食べ物を用意しないといけない。どうしても今日中に配達してもらいたい」という事実を電気店の主人が知っていたらどうでしょうか。

おそらく電気店側の交渉時の立場はかなり有利になるはずです。

POINT
・相手の情報を得よ、自分の情報は隠せ

そして、その情報を集める時期は早ければ早いほど有利であり、また手に入れやすいものです。

まずは、じっくりと事前の調査でできる限り相手の情報を集めることです。

業界他社の担当者から情報を集めるのもいいでしょうし、同じ会社の別の担当者から情報を集めるのもいいでしょう。または、以前その会社に勤めていた人や、取引関係にある会社からの情報も貴重です。

また長期的に情報を収集することも忘れてはいけません。新聞、業界紙、刊行物はもとより、インターネットの情報なども、普段から意識して収集しておくようにしましょう。

いずれにせよ、あらゆる機会、コネを使って優位に立てる情報を集めましょう。

また、交渉中に相手から情報を得ることも可能です。上手に質問し、聞き出すのです。

良いセールスパーソンは聞き上手、質問上手です。ペラペラしゃべりまくるセールスパーソンはかえって嫌われます。

「購入時期はいつごろをお考えですか?」「ご予算はどのくらいですか?」「通常こういった商品の場合、どなたがお決めになるのですか?」など、具体的な質問で情報を入手するのです。

POINT
・セールスパーソンは、聞き上手、質問上手になろう

(『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』をもとに編集)

 

『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』
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