この記事では、「人事評価の目的とは何か?」についてご紹介します。人事コンサルタントである内海正人さんが著書会社で活躍する人が辞めないしくみで解説している内容をもとに編集しています。

人事評価の正しい目的を理解することで、社員がいきいきと働ける人事制度の構築を目指していきましょう。

内海正人

人事コンサルタント・社会保険労務士。日本中央社会保険労務士事務所代表。

人事評価で社員の成長を促す

多くの会社で人事評価を実施していますが、「何の目的で人事評価を実施しているのですか?」と質問すると、「賞与の査定のため」「給料の等級を決めるため」「昇格、昇給のため」と、賞与や給料の額を決めるための点数をつけるデータと回答する人事の方が多いのも事実です。

本来の人事評価の意味は社員の成長を促すことなのです。評価対象となる期間中の結果や行動にもとづいて、社員の実績を評価し、頑張った点、至らなかった点などを上司が面談で本人にフィードバックして、今後は仕事面でよりよい成長を期待する場面なのです。

評価の方法や運用のみの議論になってはいけない

この本質的な部分が欠落して、点数だけが独り歩きしているケースが多く見受けられます。こうなると、「人事評価」=「お金の査定」のイメージとなり、本来の意味とはかけ離れた状況となってしまうのです。

社員の成長がなければ、会社の成長はありえません。そのためにも社員を成長させるしくみが、今後の会社の行く末にも関わってくるのです。この意味を理解して人事評価を運用してください。この意味を理解しないで評価の方法や運用のみを議論してしまうと点数の付け方をどうするのかということがメインテーマとなってしまいます。

POINT
・本来の人事評価の意味は「社員の成長を促すこと」。
・評価の方法や運用のみの議論になってはいけない。

社員からの質問には自身を持って対応する

多くの会社が悩み、また多くの会社からご相談されることがあります。それは「社員から、なんでこの人事評価の点数なのですか? と質問されて明確に答えきれない場合はどうしたらよいでしょうか?」ということです。

社員同士で、給料の金額を比較したり、また、賞与の査定を比べたりして「どうして田中さんより私は低いのですか?」「なぜ佐藤さんより査定が悪いのですか? 具体的にどこが悪いか教えてください」と質問を受ける場合があります。一応の評価基準はあるのですが、果たしてその部分を説明しても、本人が納得できるのかが疑問です。

改善点の提案まで行う

このご相談は本当に多くの会社から受けますし、みなさんが評価で一番悩んでいるところでもあります。しかし、評価というしくみを使っている限り、社員間で確実に差が出ている部分があるのです。社員から質問を受けたら、自信なさげに対応をすると不信感を与えますし、実際の差についてはクリアにする方が本人のためでもあるのです。ここは自信を持った対応を実施してください。そして、本人のために改善点の提案まで行うのです。

そうすれば、社員としても納得度が高いでしょう。

のびしろのある社員であれば冷静に受け止めて理解します。さらに、このような社員が優秀な社員へと成長していくのです。

点数のみを重要視しない

単に点数のみが重要視されてしまうと会社の環境や人間関係を破壊するだけの人事評価ということになってしまうでしょう。点数が独り歩きしてしまい、高い、低いの評価だけでは、本来の意味が失われてしまいます。ここでは会社や上司はブレない態度が必要です。

社員からの質問への対応
・不信感を与えないよう、自信を持って対応する。
・本人のための改善提案まで行う。

まとめ

この記事では、内海正人さんが著書で解説している「人事評価の目的とは何か?」をご紹介しました。

人事評価の目的は「給与の査定」ではなく、「社員の成長を促すこと」です。この目的を見失わないように意識したうえで、評価に対して社員から疑問が出た場合にも、自身を持ってクリアな対応を心がけていきましょう。

「会社で活躍する人が辞めないしくみ」 (内海正人 著) では、今回ご紹介した内容の他にも「採用」「職場環境」「人間関係」など、様々な視点から社員を大切にする方法をご紹介しています。

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