この記事では、企業が人材紹介会社とうまく付き合っていくためのコツを、『いい人材が集まる、性格のいい会社』(佐藤雄佑 著)よりご紹介します。

リクルートエイブリック(現在のリクルートキャリア)で支社長、人事ゼネラルマネージャーなどを歴任し、現在は株式会社ミライフの代表を務める佐藤雄佑氏によって、人材紹介のビジネスモデルや、人材紹介会社との上手な付き合い方がわかりやすく解説されています。

日本における採用メインチャネルは求人広告と人材紹介

社員・契約社員といった社員としての雇用形態の採用においては、求人広告と人材紹介というのが二大採用チャネルです。

求人広告はリクルート、マイナビ、enジャパン、インテリジェンスといった求人広告媒体を持つ企業にお願いすることになりますし、人材紹介はこちらも大手ではリクルート、インテリジェンス、JACといったところをメインに、エグゼクティブクラスなのか若手なのかといったレイヤー、業界、職種などに特化した人材紹介エージェントを活用している会社が多いのではないでしょうか。

これらパートナー企業との付き合い方はとても大事です。特に中小・ベンチャー企業においては、求人広告に載せてもなかなか欲しい人材が受けてくれず、結果として人材紹介をメインチャネルとして使っている企業が多いのが実情だと思うので、人材紹介エージェントとの付き合い方がとても大事です。

人材紹介のビジネスモデル

人材紹介のビジネスモデルは、企業から求人をお預かりし、フィットした候補者をご紹介して、内定、決定し、入社したところで成功報酬として年収の30〜35%相当の額をコンサルティングフィーとしていただくというビジネスです。

なので、人材紹介を依頼した時点では費用が発生することはなく、あくまで決定したときのみ費用が掛かるという意味では、求人を出す企業側としてはお金を払って採れなかったということがないので費用リスクのないモデルです。

ただ、ここでお話したいのはお金が無駄になる費用的なリスクはありませんが、その分お金を払っていないので、成果が出なかったとしてもなかなか文句が言えませんし、アクションに対してもブラックボックス化することが多いです。

ちなみにわかりやくすく求人広告と比較すると、求人広告の場合、媒体に求人広告を掲載して、それに対して応募があるかどうかということなので、プロセスがとてもクリアなのに対し、人材紹介の場合、一般的には求人内容を依頼し、それを求人票に書き起こし、そこからエージェントは求職者に案件を紹介していきますが、紹介者が来るまで企業はそのプロセスについてはわからないことが多いです。

私はリクルートでこの人材紹介のビジネスに10年以上携わってきて、痛感しているのはこのビジネスはまさに人が介在するビジネスであるからこそ、間に入る人によって成果が大きく変わってくるということです。だからこそ、人材紹介エージェントとの付き合い方が大事になってくるわけです。

人材紹介エージェントとの上手な付き合い方

では、どのように人材紹介エージェントと付き合っていくのがいいのでしょうか。

大手、中小、専門的なエージェントなど違いはありますが、付き合い方としては大きく変わらないと思うので、総論としてお話します。

大事な点は大きく分けて3つで、「パートナーとして付き合うこと」「応募者にとっての自社を受ける理由を伝えること」「コミュニケーション頻度」です。

パートナーとして付き合うこと

1つ目のパートナーとして付き合うというのは、業者として付き合う事の逆の意味で使っています。エージェントの方を外部の人だと置くのではなく、内部の人だと思い、できるだけしっかりと背景や組織状況など情報共有をしていくことで、エージェント側もいろいろと提案ができます。その結果、当初とはイメージが違うけどとてもいい人材の紹介だったとか、別のポジションで採用できたとか、うまくいくケースが多いです。

応募者にとっての自社を受ける理由を伝えること

2つ目の応募者にとっての自社を受ける理由を伝えるというのは、まさに自社の性格の良さを伝えていけばいいと思います。もちろん、会社概要・事業内容も大事なのですが、中小企業においてここだけで差別化できて、自社に応募がたくさん来るということはないので、少し俯瞰して見たときに、自社で働く意味、やりがいが何かというのをエージェントに伝えます。そして、エージェントの方が自社の良さを理解してくれて、ファンになってくれたらご紹介が出てくる確率はかなり高まります。

コミュニケーション頻度

3つ目のコミュニケーション頻度はとても大事です。多くのエージェントはいろいろな案件を抱えて動いているので、その中で優先順位が下がってしまうとなかなか紹介も出てきません。そうならないためには、優先して自社の活動をしてもらえるように、細かく進捗共有などをしながら、コミュニケーション頻度を保つことが必要です。アナログなことかもしれませんが、人間が介在するサービスだからこそ、こういった地味なアクションが大事ですし、効果があります。

人材紹介というビジネスモデルが、成功報酬という課金形態になっているので、エージェントは成果が出ないとお金がもらえません。なので、採用に本気であり、成果が出そうだということをちゃんと伝えていくことも重要です。

人材紹介エージェントとの付き合い方のポイント

さいごに

この記事では、人材紹介会社との上手な付き合い方について解説しました。詳しい内容を知りたい方は『いい人材が集まる、性格のいい会社』をお読みください。

いい人材が集まる、
性格のいい会社


いい人材が集まる、性格のいい会社

書籍『いい人材が集まる、性格のいい会社』では、今回ご紹介した内容の他にも、働きがいを備えた、多様な働き方が可能な会社を実現するための方法が紹介されています。「いい人材が集う会社にしたいが具体的に何をしたらいいのかわからない」と悩んでいる経営者の方は是非チェックしてみてください。

AMAZONで見る

 

佐藤雄佑

株式会社ミライフ 代表https://www.miraif.co.jp/
2016年、株式会社ミライフ設立。働き方変革事業、戦略人事コンサルティング事業などを展開している。事業構想大学院大学 プロジェクトディレクター、米国CCE,Inc 認定GCDF-JAPAN キャリアカウンセラー、NPO法人ファザーリングジャパン会員。

Facebook:yusuke.sato.716

 

【参考】佐藤雄佑.いい人材が集まる、性格のいい会社