この記事では、「相手の心理を引き出す方法について、高橋宗照さんの書籍『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ』よりご紹介します。

【書籍】『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ
【著者】
高橋宗照 (株)タカハシ&パートナーズ 代表取締役

お客のネックになりやすい「経営の6要素」とは?

「経営の3要素」という言葉があります。これはヒト、モノ、カネを指していて、経営をまわすためには最低限これらの要素を考える必要があるというものです。しかし、これだけ変化の速度が速くなった昨今においては、この3要素ではどうも足りないと私は思っています。

そこで、私はコンサルティング先やセミナーなどでは「経営の6要素」という言い方で、さらに、ジカン、カンキョウ、ジョウホウを加味しています。カンキョウは「環境(エコ)」と「マーケット」の両方を意味しています。

経営の6要素
ヒト(人)・モノ(物)・カネ(金)・ジカン(時間)・カンキョウ(環境)・ジョウホウ(情報)

これらはどれが不足しても経営はうまくいかない要素です。言い換えれば、商談を進める中で、お客にとってのネックにもなりやすいものです。

ジカン(時間)

例えば時間ひとつとっても、お客にとって時間はどの程度大切なのか? 急いでいるのか? 割合ゆっくり考えているのか? など、必ず企業なりの理屈があります。

しかし、その理屈というのは外部のセールスパーソンからはわかりにくいものなのです。

カンキョウ(環境)

また、あなたが売りたい商品やサービスは環境(エコ)に配慮されているのか? 仮に「環境に配慮する必要なんてないし、値段さえ安ければいいでしょ」とホンネでそう思っていても、今の時代、なかなか公言しにくいものです。それほど環境を考えることが、企業が存続する上で必須要件となってきています。

ジョウホウ(情報)

さらに、お客は現在どのようなマーケットの開発をしているのか? 既存のままでOKという企業もあるでしょうが、ほとんどはマーケットの新規開拓に必死に取り組んでいます。これはあなたの会社も同じでしょう。

情報という面を見てみても、あなたが営業をする上でお客のいろいろな情報を知りたいと思うのと同じように、お客の会社も自社の商品・サービスを売るため、開発するためにいろいろな情報を欲しているのです。

あなたは、お客のこれら6要素について把握しているでしょうか?

お客の意思を引き出す方法

「ただ売れればいい」「お客が欲しいと思うモノを提供さえすればいい」という時代は終わっています。セールスパーソンの一番の武器にもなりうるこの6つの要素について情報収集をすることが重要なのです。そこで、交渉の初期段階からこれらを常に把握できるように行動しましょう。

「なぜ?」「どうして?」「~なので」「なぜならば」という問いかけでお客の意思を引き出すのです。しかし、あまりあからさまにこのように聞くと、嫌がる人も多いです。

だから、セールスパーソンはお客の言動から自分自身へ問いかけて、答えを導き出すという情報収集のやり方をするのがいいでしょう。そして、情報収集のときは必ず「客観的な事実」「主観的な事実」に分けて整理することをおすすめします。

では、商談における「客観的な事実」「主観的な事実」を見てみましょう。

客観的な事実

あなた以外の部外者でもわかる可視化されやすい事実です。

「そうです」「いいえ」「○○についてこう思う」など、お客が実際に発した言葉や、お客から渡された資料・データ・サンプル・イメージ図などの目で確認できるものです。

また、多くの人がその事象を見て聞いて、同じ様に類推できることも含まれます。

例えば、“商談中、お客があくびをした”ことから「商談がつまらない」「興味がない」のでは? とか、“商談中、お客がさかんに時間を気にしていた”ことから 「次の予定を気にしている」「早く帰ってほしいと思っている」のでは? というのが同じように類推できることです。

主観的な事実

お客が言ったことなどから、あなた自身の感性で予想できることです。

例えば、「それについては少し時間をください」とお客が言った際、顔の表情から立場上とても困っているように感じたというケースの場合、言葉は客観的事実ですが、その表情から類推できることは主観的な事実です。

セールスパーソンは「困っている」と感じても、本人は「迷惑だ」と思っているかもしれないし、単にトイレに行きたいだけだったかもしれない。これはセールスパーソンの経験やセンスによってまったく異なる場合があります。

主観的な事実と客観的な事実を混同しない

ここで気をつけるべき点は、「主観的な事実」はあくまでもセールスパーソン自身が感じた事実であって、客観的な事実ではないことを認識するということです。

多くの若手セールスパーソンがこの部分を混同してしまう傾向があります。最初のうちは経験者や上司などに確認してもらうのが一番でしょう。どうしてもセールスパーソンは希望的観測や「たぶんこうだろう!」という妄想を抱きがちなところがあります。

POINT
客観的な事実
あなた以外の部外者でもわかる可視化されやすい事実。お客が実際に発した言葉や、お客から渡された資料・データ・サンプル・イメージ図など。
主観的な事実
お客が言ったことなどから、あなた自身の感性で予想できることです。

さいごに

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

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