この記事では、商談を成立させるために必要な「取引先のキーマンを見つけ出す方法」について、高橋宗照さんの書籍『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ』よりご紹介します。

【書籍】『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ
【著者】
高橋宗照 (株)タカハシ&パートナーズ 代表取締役

商談を成立させる「キーマン」の探し方

商談においてネックになることと言えば、コスト、予算というお金の面が多いと思いがちですが、実は、お客が意思決定を行う際のネックとして意外にお金よりも大きい比重を占めるのが、「キーマン」「隠れキャラ」の存在です。

あなたが実際に商談を進めていく担当者自身に決裁権があるのなら問題はありません。しかし、多くの企業の場合、稟議などをあげて最終的に担当者の上司や役員クラス、または社長が最終決裁をするケースのほうが多いでしょう。

そこで問題になるのが、「その商談を実質的に決裁する人は誰なのか?」ということなのです。

キーマンを探すことが必勝戦略

実質的には“この人物”がOKと言いさえすれば稟議がスムーズに通るなんていうことはよくあります。

セールスパーソンとして、まず「キーマン」を探すことは実は予算を把握する以上に必要なことなのです。仮に商品・サービスが当初お客が想定していた額より多少高くても、そのキーマンがOKと言えばそれでいいのです。そのため、商談の初期段階からこのキーマンを探すことが必勝戦略となるのです。

キーマンを見つけ出すトークのポイント

キーマンが誰なのかを探るためには、トークで聞き出す必要があります。

商談の際に担当者が一斉に何人も登場する場合は、ここで紹介するトークは使わないほうがベターですが、常に商談相手が一人の場合は効果を発揮します。

「今回、この案件は○○さん(担当者)の一声で決まるんですよね?」
「この案件は御社の中でどのような流れを経て決まるのでしょうか?」
「普段この手の内容は社内でどのような方とご相談されているのですか?」

これらはさりげなく聞いてください。身構えて聞くと途端に相手も身構えてしまい、質問をはぐらかされてしまうこともあります。

一見すると失礼な言い方をしているように思われるかもしれませんが、案外相手にとっては失礼と感じないケースが多いようです。

そして、ここで担当者から出た内容は絶対に忘れないことが重要です。

この初期段階ではその内容を聞くだけに留めておき、商談が数回進んだところで「以前おっしゃっていた上司の方(できれば○○部長などと名指しをした方が効果的)にもぜひお会いしたいのですが、次回お会いできる機会を作っていただけませんか?」と言いましょう。

担当者の上司に会って損はない

もちろん担当者自身の裁量や意思がかなり決裁に反映されるのであれば、聞く必要はないかもしれませんが、そんなことはセールスパーソンにとってわからないことが多いものです。担当者の上司が仮に決裁権がほとんどなく無能に近い方であっても、会って得にはなっても損になることはありません。

商談の戦略として常に頭にイメージすることは、最初は担当者という下流からスタートしても、いかに早くキーマンという上流にたどり着けるかということです。

意外にこの戦略をしっかり持てないセールスパーソンは多いので、いつまでも担当者と商談を進めてしまい、商談している時間は長いが、なかなか決定打が打てないという人が少なくありません。

担当者の「頭超え」には注意

とはいっても、担当者の頭超えをするべきと言っているわけではありません。常に担当者を見ながら、上司の意向も汲み取るということです。頭超えをすると担当者の面子を潰すことになりかねないので、恨みを買うことはあっても、いいことはまずありません。

「隠れキャラ」を探る

初期段階からこのようなことを聞く理由はもうひとつあります。それは「隠れキャラ」の早期発見のためです。

例えば、担当者が属するA事業部があったとします。しかし、今回の商談には違うB事業部も関わるものの、あえて商談には出ないケースがあります。社内での力関係や予算配分などもあるでしょう。

このようにお客側の理由から、自然と「隠れキャラ」が発生することが往々にしてあります。

「隠れキャラ」が実際の商談の場には出てこなくても、存在を知ることで、「隠れキャラ」の意向を反映した提案をできるようになります。

また、この「隠れキャラ」が案外「ボスキャラ」ということもあり得るので、かならず初期段階で確認しておくべきです。

「キーマン」の探すときのポイント
・交渉の初期段階から意識する。
・トークでさり気なく聞く。
・担当者の「頭超え」にならないように注意する。

さいごに

この記事では高橋宗照さんが著書より『商談を成立させるキーマンを見つけ出す方法』について紹介しました。

POINT
バックに隠れている決裁権を持つ人を探そう
いかに早く決裁権を持つ人物にたどり着けるかが商談成立のカギになる

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

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