この記事では、「営業での上手な話し方」について、高橋宗照さんの書籍『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ』よりご紹介します。
【書籍】『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ』
【著者】高橋宗照 (株)タカハシ&パートナーズ 代表取締役
営業での間違った話し方
いまだに多くのセールスパーソンが誤解していることは、「よい商品やサービスをちゃんと説明すれば、かならずお客は買ってくれる」ということです。確かに間違いではないのですが、ここで問題となるのは、“ちゃんと説明すれば”という部分です。
セールスパーソンの立場として、この“ちゃんと説明する”とはどんなことだと想像するでしょうか?
- 商品などの性能(スペック)、特長、利点
- 他社製品と比べ、自社商品の優位性
- 自社商品から得られる付加価値(メリット)
という3つのポイントといったところでしょうか?
確かに、これら3つのポイントは巷にある営業関連書籍によく出てくる内容です。
しかし、はっきり言いますが、これでは多くのお客の理解を促すことはできても、「納得」を引き出すことはできません。だから、クロージングのときに「検討しておきます」とみすみす言われてしまうのです。
営業をうまくすすめるための2つのコツ
最終局面で「検討しておきます」と言われたくなければ、最低限次の2点を常に頭に入れながら交渉に臨むべきです。
- お客を納得させる
- 必要性を引き出す
お客を納得させる
お客を納得させるために私のセミナーでもよく伝えていることですが、多くのセールスパーソンは先ほど挙げた3つのポイントをお客に知ってもらおうと必死になります。
もちろんこれも必要なことではあるのですが、それはセールスパーソンの仕事の半分に過ぎません。3つのポイントを知ってもらうという行為は、あくまでもお客に自社商品をまず理解していただく程度のことなのです。
お客は納得できなければ買わない
ここで知っておくべきことは、お客は商品を理解しても納得できなければ決して買わないし、買うために真剣に検討しようとしないという鉄則です。
あなたも経験はあるかもしれません。セールスパーソンや販売する人から「この商品の○○というところがいいんです」と言われて「はぁ、そうですかぁ……」とは思うものの、すぐに「買います!」という人は少ないですよね。つまり、そこには“その商品を買うための納得”がないからなのです。
「必要である」と認識してもらう
では、どのようにしたらその納得をお客から引き出せるのでしょうか?
その方法としては、ほとんどの場合お客にとってその商品を買うことが「必要である」と認識してもらう方法です。例えば、
- よくがんばった自分へのご褒美として買うことが、いまの私には「必要」である
- 信頼できる人から買うのが、いまの私には「必要」である
- 立場や年齢的にもこれを買うことが、いまの私には「必要」である
などなど。お客が感じる「必要性」はさまざまですが、丁寧に聞いていくことができれば「必要性」は見つかります。ただ、お客側が必要とする理由を明確に自覚している場合と、実はよくわかっていない場合があるので、ともかくまずお客に話をさせることを考えましょう。
必要性を引き出す
では、どのようにして必要性を引き出せばいいのでしょうか? 具体的なテクニックは後で話すとして、ここではその考え方をお伝えします。
そもそも顕在化もしくは潜在化している必要性をお客に話してもらうというのは難しいことなのです。「あなたは今どんな必要性を感じていますか?」と聞いたところで、「いやぁ……そう言われても」と返答に詰まってしまう人が多いでしょう。これは「必要性」という言葉があまりにも抽象的だからです。
お客自身の問題を解決する
では、なぜ人や企業はその商品を買おうと決断するのでしょうか? なぜ必要性を感じるのでしょうか?それは、その商品などを購入することで、お客自身の問題が解決できそうだと期待しているからです。そして、その期待が必要性に変わるからなのです。
ということは、私たちセールスパーソンはただただお客が思っている、感じている問題を語ってもらうことに集中し、そしてその中で出た問題を解決することに専念すればいいのです。
しかし、勘違いしてほしくないのは、お客は問題が解決できればいいのであって、あなたが売る商品やサービスが欲しいとはまったく思っていないという事実です。
「問題解決 = あなたが売る商品、サービスの購入」のように直結しません。だからセールスパーソンに商品の詳細や付加価値を説明をされてもお客の本心は「だから何?」となるだけなのです。
そこで、次のことについて集中して説明する必要があるのです。
- この商品やサービスを使って経験できるであろう出来事
- この商品やサービスを使って体験できるであろう具体的な問題の解決
あなたが説明する自社商品の特長や利点、付加価値はあくまでも、あなたの会社が不特定多数のお客を想定して説明したもの、あなたの会社が勝手に言っていることであって、お客自身が経験したい出来事や問題解決には全然関係がないということを知っておきましょう。
「ゴト売り営業」「ケツ売り営業」
この記事の冒頭に挙げた3つのポイントはまさに「モノ売り営業」の典型的な例です。だから売れないのです。売るために必要なのは、出来事(デキゴト)や問題解決(モンダイカイケツ)の方法を明確にお客に示せる「ゴト売り営業」「ケツ売り営業」なのです。
これらをしっかり意識しながら商談を進めると、あなたのトークは変わり、お客の反応もまったく変わるのがよくわかるはずです。
さいごに
記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。
「検討します」と言われても
売れる商談のしかけ