この記事では企業の在庫管理に欠かせない「在庫回転率」の意味や計算方法について、データ分析、IT活用を得意とするコンサルタント 平井明夫さんと石飛朋哉さんの共著書『データ分析できない社員はいらない』よりご紹介します。
在庫回転率とは?
在庫回転率とは、効率性を分析する指標の一つで、一定期間(1年、半期、四半期、ひと月など)に在庫が何回入れ替わったかを示します。
回転率の値が大きいほど、入庫してから販売による出庫までの期間が短く、在庫が効率よく売上に変わっていることになります。逆に回転率の値が小さいほど、在庫として倉庫にある状態が長く、倉庫費などの保管料がかかり、売れ残りのリスクが高くなっているということになります。
ただし、在庫回転率は業種や製品などによって異なるので、消耗品の歯ブラシのようなものと耐久品の懐中電灯などを単純に比較することはできません。在庫回転率を比較する際には、その商品の特徴や売れ方を十分に考慮する必要があります。
在庫回転率の計算式
在庫回転率は、以下の計算式で求めることができます。
この式の中の売上原価は、在庫回転率を求める期間内に販売された分の売上原価の合計です。また、売上原価ではなく、売上高を使用することもあります。
平均在庫高とは?
一方、平均在庫高は、期間最初の在庫高と期間最後の在庫高を合計して、2で割った数値です。また、平均在庫高ではなく、期間末時点の在庫高を使用することもあります。
平均在庫高は、下の表のように計算します。
在庫回転期間とは?
同じく在庫の効率性を分析する指標に「在庫回転期間」があります。在庫回転期間は、在庫を何日分持っているかを示した指標で、在庫回転率の逆数となり、以下の計算式で算出されます。
在庫回転期間は、上のように日ベースで表す「在庫回転日数」、月ベースで表す「在庫回転月数」、年ベースで表す「在庫回転年数」がありますので、どの期間をベースとして算出したものなのか、値を利用するときには注意が必要です。
在庫回転期間も在庫回転率と同じく明確な基準値といったものはなく、薄利多売の業種では在庫期間は短く、利益率の高い商品の在庫回転期間は長くなる傾向があるようです。同じような商品で比較した場合は、在庫回転期間が短いものが、在庫が効率よく売上に変わっていることになります。
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ぜひ、貴社の経営分析にもご活用ください。
さいごに
この記事では「在庫回転率」について解説しました。
記事の内容について詳しく知りたい方は、『データ分析できない社員はいらない』(平井明夫・石飛朋哉 著)をお読みください。
データ分析できない
社員はいらない
平井明夫
DEC(現、日本HP)、コグノス(現、日本IBM)、日本オラクル、アイエイエフコンサルティングにおいて、一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。特にBI (ビジネスインテリジェンス)を得意分野とする。
石飛朋哉
「情報活用を経営力に」を命題にBI の布教活動に勤しむが、”分かりやすいか””伝わるか”と、日々苦悶しながら過ごしている。
【引用】平井明夫・石飛朋哉.データ分析できない社員はいらない