この記事では「就業規則の必要性」について解説します。

社会保険労務士の寺内正樹さんが著書『会社のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】寺内正樹 社会保険労務士。行政書士。

「就業規則」があると会社に不利?

会社を構成するメンバーが増えていくことで、小さな組織は徐々に複雑化していきます。それぞれの役割や担当がより専門化していき、社内での序列や位置づけが決まっていくことになるのです。

こうして会社は、個々の長所を活かし、相乗効果を生み出せる「企業」になっていきます。

就業規則とは

「企業」として、集団の秩序やまとまりを保ちながら活動していくためには一定のルールが必要です。それが、会社で働くためのルールである「就業規則」です。

「就業規則」には作成・届出の義務がある

法律では、常時10人以上の従業員を使用する場合は、「就業規則」を作成し、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。

就業規則に対するイメージ

しかし、この義務が課されていることを知りながら、積極的に「就業規則」を作ろうとしている経営者は意外に少ないというのが現状です。理由は、大きく3つあります。

  • 就業規則を作るのが面倒だから
  • 今まで就業規則がなくても特に問題がなかったから
  • 就業規則を作ると会社が不利になると思っているからです。

つまり、就業規則を作るメリットを感じられていないわけです。

確かに、就業規則作成・届出義務の根拠となっているのは、「労働基準法」という法律です。これは、労働者を保護するための法律で、だからこそ就業規則は「労働者保護」のためだけに作られているというイメージを持っている人もいます。

就業規則が持つ「会社保護」機能

しかし、「労働者保護」は、就業規則の持っている一側面に過ぎません。ルールを作るということは、行動基準としての境界線を作ることでもあります。つまり、ルールによって会社という組織の一員として許されることと許されないことの「線引き」を行なっていくのです。

例えば、どんなスポーツでも試合をするためのフィールドがあります。そして、その境界線を越えると、バスケットボールやサッカーであれば、試合が中断したり、バレーボールやテニスであれば、得点が入ったりと、何らかのペナルティが課せられます。

このようなペナルティが与えることができるのは、そこにルールで基準が設けられているからです。この境界線を越えたらペナルティがあるからこそ、選手たちは、決められたフィールドの中で試合を行なっているのです。

基準がなければ社員の行動は統制できない

会社も同様に、何らかの基準がないと社員の行動を統制していくことができません。ルールという境界線があるからこそ、それをはみ出してしまった人に対して、何らかの対応を行ない、場合によってはペナルティを与えて、会社に損害が生じることを防止していくことができるのです。

ですから、就業規則は「労働者保護」だけでなく、「会社保護」という機能も合わせ持っています。

企業として動くためには、ルールの「共有」が必要

この「会社保護」の観点から考えると、法律上の義務がない従業員が10人未満の会社であっても、会社を「企業」として動かしていこうと思うならば、なるべく早めに「就業規則」を作っておいた方が望ましいと言えます

組織を構成する人数が増えれば増えるほど、ルールを作ってから浸透するまでに時間がかかります。ですから、社員が少ないうちに「就業規則」を作って、それをルールとしてなじませて、会社の風土を作っておきます。その方が、社員が増えてからルールを作るより、より早く、より深く、より労力をかけずに、社内に広めていくことができるのです。

雇用契約書と就業規則の違い

しかしあなたは、会社で働くためのルールなら、すでに「雇用契約書」で決まっているのでは? と思うかもしれません。確かに、「雇用契約書」にも労働時間、賃金など会社で働くにあたって必要なことが記載されます。しかし、「雇用契約書」と「就業規則」には、実はある決定的な違いがあります。

就業規則には「公開」の義務がある

それは「公開」が義務付けられているか否かです。「雇用契約書」は、会社と社員との1対1の「約束」の要素が強いため、その内容が公開されることは通常ありません。だからこそ、個々に内容を変えた細かい条件を定めることのできる部分もあります。

それに対して、「就業規則」は公開が義務付けられているため、会社の全社員共通のルールという意味合いが強くなるのです。ルールを共有することで、社員の間に共通の認識が生まれ、全員が同じ方向を向き、同じ目的のために動くことができるようになります

このように「就業規則」は、会社が「企業」として動いていくためには、必要不可欠なルールなのです。

さいごに

この記事では寺内正樹さんの著書より、雇用契約書の「就業規則の必要性」について解説しました。

この記事のポイント
  • 就業規則には、社員の行動を統制し、会社に損害が生じることを防止する力がある
  • 社員が少ないうちに「就業規則」を作ることで、より早くルールを浸透させることができる
  • ルールを共有することで、社員が同じ方向を向き、同じ目的のために動くことができるようになる

 

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