この記事では、「社員との信頼関係を築く方法」について書籍『会社で活躍する人が辞めないしくみ』よりご紹介します。

【書籍】『会社で活躍する人が辞めないしくみ
【著者】
内海正人 日本中央社会保険労務士事務所代表 / 人事コンサルタント・社会保険労務士

社長も社員もギブ&ギブ&ギブ

「仕事を与えると、自分にも仕事がやってくる」

このような話を何度か聞いたことがあるかと思います。まさに、ギブ&テイクのお話です。まず、自分から相手に仕事(利益)を与えたら、後に自分にも仕事(利益)がもらえるということです。

しかし、現実的に考えて、一回きりの利益の物々交換では、人はあなたに仕事を振ってくれる確率は少ないでしょう。

この確率を上げるには「ギブ&ギブ&ギブ」で相手に利益を与え続けるということです。利益というのは、決して金銭的な価値だけではありません。あなたが持っている情報や知識が、相手にとって大きな価値を持つこともあります。利益を与え続けることで、信用が自然と転がり込み、いずれは金銭的な利益にも結びついてくるでしょう。

会社も社員も与え続けることで信頼関係が生まれる

ここで、会社と社員の関係について考えてみましょう。会社は社員に対して、「仕事を与える」「給料を支払う」という形で「ギブ」を実践します。一方、社員は会社に対して、「(労働)時間を与える」「体を動かし労働を与える」という形で「ギブ」を実践します。

つまり、お互いがないものを与えるしくみなのです。

会社も社員も与え続けることで信頼関係が生まれ、いい関係を築くことができます。

このことを理解できる社員が多くいれば、それだけ会社にとって「人財」が多いということです。しかし、多くの経営者はこれを言葉にしないで、何となく過ごしてしまっているのです。これでは伝わりません。「会社も社員もギブ&ギブ&ギブ」ということを正しく伝えましょう。このように考えたら、会社(経営者)と社員は利害関係が相反するということでもありません。そして、正常な会社運営を心がけている経営者であれば、社員とのトラブルも起こりません。

今どきの社内コミュニケーション

アフター5のコミュニケーションが見直されています。つまり、飲みニケーションということですね。

このコミュニケーションでは会社の飲み会が、

  • 教育の場
  • コーチングの場
  • 和みの場
  • ストレス解消の場

など、重要な意味を持つ場面となります。

減少するコミュニケーション

しかし、1990年代から流行し始めたカラオケにより、以前よりも深い対話ができなくなったのです。

なぜならば、

上司「あの仕事のポイントというのは」
部下「あっ、僕の番です!」
上司「……」

という状況になるからです。

カラオケがなかった時代では、あり得ない話ですね。この状況では、会話が成立しません。表面的なコミュニケーションは取れても、深い部分までは難しくなってしまいます。

また、「裏の会議」と言われた喫煙室の存在もなくなりつつあります。

  • 喫煙者が減った
  • 建物自体で禁煙が多くなった

という理由です。

これは時代の流れです。しかし、コミュニケーションが減った要因にもなっています。

さらに、外資系企業などでよく見られますが、個人のデスクがパーテーションで区切られています。これでは仕事に集中できる一方、まわりと分断されてしまいます。これもコミュニケーションが減る一因ですね。

最近では、1階の共用スペースにリフレッシュコーナーがある場合もあります。

「コーヒーブレイク」
「内部のちょっとした打ち合わせ」
「外部との打ち合わせ」

など、気軽に人と話ができるスペースです。ここに行けば、

  • リフレッシュできる
  • 打ち合わせが気軽に出来る
  • 会議室の予定を気にせず、外部の人も呼べる

などのメリットがあります。

コミュニケーションの大切さ

一昔前は、アフター5がポイントでした。しかし、今はコミュニケーションの場を意図的に用意すべき時代です。コミュニケーションの変化により、事務所のレイアウトも意図的な工夫が必要となります。工夫といっても、多額の予算をかける必要はありません。

  • 社員の導線を意識した机のレイアウト、備品の配置の変更
  • 社員の座る位置を固定せず、フリーレイアウトにする方法
  • 社内で行なうBBQなどのイベント

などにより、コミュニケーションを活発にすることができます。

予算をかけなくても、こういうことから変化が生まれます。

「会社の雰囲気を変えたい」「社内のコミュニケーションが不足している」と感じたら、以上のことを試してみてください。必ず、変化が見えてくるはずです。コミュニケーションはとても重要です。

会社組織は人間で言えば「会社のコミュニケーション=人間の血液の流れ」です。血液が流れなくなれば、人は死んでしまいます。それは、会社組織も同じで、機能不全に陥ります。

あなたの会社は大丈夫ですか? これができないと、できる社員だけではなく、普通の社員も会社から逃げ出してしまいます。組織を硬直化させないためにもコミュニケーションを活性化する工夫をしましょう。

できる社員はコミュニケーションの大切さを理解しています。

さいごに

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

会社で活躍する人が辞めないしくみ


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