の記事では「営業を上手くすすめるための信頼関係の作り方」を解説します。

経営コンサルタントの高橋宗照さんが著書『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】高橋宗照 (株)タカハシ&パートナーズ 代表取締役

お客との約束を守るポイントを知る

お客から「検討します」のような断り文句を言われないためにも、セールスパーソンはお客と信頼関係を構築しておく必要があります。

そもそも「検討しておきます」とお客の口から出るということは、そのお客との間に信頼関係や人間関係がまだできていないのです。

人間関係を構築するために必要な要素は、セールスパーソンへの信頼性の高さです。もちろん人柄や愛嬌、話がおもしろいなどという部分もありますが、それよりもまず信頼性を優先するお客が圧倒的に多いです。

私は経営者と会って話をさせていただく機会が多くありますが、経営者がみな口を揃えて言うのが、次のような話です。

人柄はとてもいいが、仕事にはルーズで信頼性に欠けるセールスパーソンAと、一方、人柄はあまりよくないが、仕事はきちんとしていて信頼性が高いセールスパーソンBのどちらを選ぶかと言われたら、まったく迷いなくセールスパーソンBを選ぶという経営者がほとんどなのです。

約束を守る=信頼性

では、企業におけるほぼ絶対的なキーマンである経営者が言う信頼性とは、セールスパーソンのどこを見て、感じて評価しているのでしょうか?

それは、“約束を守る”ということに尽きます。言われたことを正確なやり方で履行できるということです。

例えば、

「アポイントの時間は絶対に守る、遅れない」
「○時に報告・連絡をしますと言ったら、必ずする」
「納期を守る」
「やると言ったら必ずやり遂げる」

など、いくつか挙げられます。

そして、その中でもとにもかくにもまず「時間に正確である」ことをクセづける必要があります。

私たちは、電車の到着が2分遅れても謝罪の車内放送が流れる国で営業をしているという現実を知るべきです。これはどちらがいいとか悪いとかではないですが、他の諸外国から見たら極めて几帳面なことなのです。

こういったことが、時間は正確であらねばならないという共通認識をほとんどの人が持っていることを物語っています。

遅刻の要因を排除する

であれば、そのクセづけをするためにセールスパーソンとして行うことは、次の3つです。

アポイントの時間ギリギリに到着するような意識は捨てる
最低でも2030分前には、目的地の周辺に着く
時計は意識的に10分進ませておく

これらの行動をとれば、あなたが遅れたときの言い訳で電車や公共交通機関が遅れたことが理由になることはなくなります。

「電車が遅れてしまって・・・」なんていう言い訳は本当かウソかは関係なく、使わないことです。

そして、お客の会社にはアポイントの3~5分前(早すぎてもダメ)に訪問するということをクセづけましょう。常に電車なら1本前の電車に乗る、携帯などで路線の経路検索をする際は、必ず30分前に到着する時刻で検索する、などです。

ちなみに時間の確認はいつも携帯電話でしているというのは論外ですよ。

「やる」と言ったら必ずやる

また、約束を守るという面で、他にもやってしまいがちな失敗があります。

「○時にあらためてご連絡します」や「帰社次第メールにてご連絡します」ということを、ついつい他の用事などにかまけて忘れてしまった経験はないでしょうか?

この忘れ防止のために有効で身近なツールは、「○時に連絡」と言ったら、すかさず携帯のアラームをその時刻に設定することです。その際、メッセージも入れるとなおいいです。

それと、「後程連絡します」という場合には、その場で自分宛にリマインドメールを送っておけば、メールチェックしたとき目に入るので忘れ防止になります。

このようなことをすることで細かい約束を守ることができるようになります。実はこの細かい約束を守ることの積み重ねが信頼感を増すことになるのです。

あなたが「やる」と言ったことは必ずやること。お客へのサービスとは言い換えれば“お客との約束を守ることに他ならないからです。

タイミングがいい人になる

タイミングのよさとは、お客の要望やニーズなどに迅速に対応できることです。

売れるセールスパーソンがよくお客から言われる言葉が「○○さんはいつもタイミングよく連絡をくれるね! すごく助かるよ!」です。

連絡のタイミングのよさから始まり、お客が商品選択などに迷っていたら時間をかけずに情報の提供ができる、このようなこともタイミングのよさに含まれます。

タイミングがいいというのはセールスパーソンにとって非常に有効な武器です。

つまり、お客からすれば必要なときに必要なだけのサービスや情報を提供してくれるセールスパーソンの存在は大きいということです。

多くのクライアントや企業へのアンケート調査でわかったことですが、セールスパーソンに望むことでもっとも多かったことは、適切なときに適切な情報を提供することでした。

しかし、これをやろうと思ってもなかなか難しいのが現実です。

難しい理由は、お客が望む情報提供(報告や連絡なども含む)のタイミングはいつなのかわからないということです。

お客が「教えてほしい」「何か情報はないか?」と言ってくれればわかりますが、ここでいう“タイミングがいい”とは言われなくても欲しい情報を欲しいタイミングで提供できることなのです。

つまり、言われてからでは遅いということですね。

連絡を後回しにしない

預言者でもない限りなかなか難しいと思うかもしれませんが、私がおすすめしているいい方法があるのでご紹介しましょう。それは次のようなことです。

そのお客のことが頭をよぎったら、すぐ連絡をすること

これがクセづけされると結果的にタイミングがいいセールスパーソンになれるようです。

多くの売れないセールスパーソンの特徴を見ると、連絡などをついつい後回しにしてしまう傾向があります。

「いつかそのうち……」「会社に戻ったら……」「このやっかいな仕事が片づいたら……」など理由を勝手につけて後回しにするのです。

多くのお客がセールスパーソンに望むタイミングのよさとは、言い換えればセールスパーソンにはいつも適度に誠実な関心を持ってほしいということなのです。

タイミングよく連絡ができるのは、お客への関心の裏返しでもあります。携帯電話やメールでも「そういえば、あの件はどうなかったな?」など、少しでもあなたの関心が特定のお客に向いたときにはまず連絡してみましょう。

実際にある企業の営業力強化のコンサルティングを行った際、「お客様のことを思ったら、どんな場面でもなるべく早急にお客様と話そう!」ということを行動規範として実施してみました。

そして、しばらくした後、お客様アンケートで目立ってきた意見が「営業担当者がいつもすぐに連絡をくれたのがうれしかった」というものでした。

まさに、お客自身の口から営業担当者のタイミングのよさを支持していただける結果となったのです。

さいごに

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

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売れる商談のしかけ


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