この記事では「営業部門のデータ分析について、データ分析、IT活用を得意とするコンサルタント 平井明夫さんと石飛朋哉さんの共著書『データ分析できない社員はいらない』よりご紹介します。

営業データの分析手順

営業部門におけるデータ分析は、売上を増やすためのデータ分析手法を組み合わせて行うことになります。例えば、アウトドア用品メーカーの営業企画担当者が、販売促進提案書を作成することを想定します。この場合のデータ分析は、以下の手順で行います。

データ分析の手順
  1. Zチャート分析で事業部別の売上の傾向を分析する
  2. ファンチャート分析で伸び率の高い製品を見つけ出す
  3. ABC分析で販促する重点管理対象の販売店を特定する

分析結果のまとめ方

これらのデータ分析の結果を効果的にまとめることで、説得力のある販売促進提案書が作成できます。販売促進提案書は、以下の3つのパートから構成されます。

販売促進提案書の3つのパート
  • 販促対象事業部の選定理由
  • 販促対象商品の選定理由
  • 販促対象販売店の選定理由

販促対象事業部の選定理由

効果的な販促をするには現状を正しく把握し、どういった商品に対して販促を実施すべきか検討する必要があります。

まずは、事業部別の売上の全体的な傾向を把握するために、Zチャートを利用します。

参考:Zチャートとは?見方を理解して売上の傾向を把握する

図1では、Zチャートによる分析の結果、3つの事業部のうち、自転車用品事業部だけが売上を伸ばしていることがわかったため、この事業部を重点的に販促対象とすることを説明しています。

図1 自転車用品事業部自転車用品事業部

図2 登山用品事業部登山用品事業部

図3 キャンプ用品事業部キャンプ用品事業部

販促対象事業部の選定理由の例

わが社の3つの事業部のうち、自転車用品事業部が順調に売上を伸ばしてきている。この機に大きな販促を実施し、シェアの拡大を狙っていきたい。

販促対象商品の選定理由

ある事業部の売上が伸びているからといって、やみくもに販促を行えばいいというものではありません。効果的な販促を行っていくためには、どの商品が売上を伸ばしているのかを特定する必要があります。

そこで、ファンチャートを使って各製品の伸び率の比較を行い、どの商品が売上を伸ばしているのかを調べます。

図5では、ファンチャートによる分析の結果、「ウェア」と「シューズ」の売上が伸びが著しいことがわかったため、これらの分野に対する販売促進活動を強化していくことを説明しています。

図5 自転車用品事業部
製品別売上伸び率
自転車用品事業部 製品別売上伸び率

販促対象商品の選定理由の例

自転車用品事業部の中で「ウェア」と「シューズ」の売上が著しく伸びている。来期はこの分野の販促を強化し、自転車用品事業部の一層の成長に繋げていきたい。

販促対象販売店の選定理由

販促の計画を立てるためには、販促対象の商品だけでなく、数ある販売店のどこをターゲットとするかを決めなければいけません。そこで、パレート図を使用してABC分析を行い、どの販売店で販促を行うべきかを提案するために、重点管理対象となる販売店を調べます。

参考:ABC分析とは?重要度の高い商品を見つける方法

図6では、ABC分析の結果、上位5つの販売店で売上の8割をカバーしていることがわかったため、これらの販売店に絞って販売促進活動を実施していくことを説明しています。

図6 販売店の売上高に対するABC 分析販売店の売上高に対するABC 分析

販促対象販売店の選定理由の例

自転車用品事業部の売上は上位5つの販売店で8割をカバーしているため、この5つの販売店に絞って販促を実施する。

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ぜひ、貴社の経営分析にもご活用ください。

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さいごに

この記事では「営業部門のデータ分析」について解説しました。記事の内容について詳しく知りたい方は、『データ分析できない社員はいらない』(平井明夫・石飛朋哉 著)をお読みください。

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平井明夫

DEC(現、日本HP)、コグノス(現、日本IBM)、日本オラクル、アイエイエフコンサルティングにおいて、一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。特にBI (ビジネスインテリジェンス)を得意分野とする。

石飛朋哉
「情報活用を経営力に」を命題にBI の布教活動に勤しむが、”分かりやすいか””伝わるか”と、日々苦悶しながら過ごしている。


【引用】平井明夫・石飛朋哉.
データ分析できない社員はいらない