チームをまとめて結果を出すために「リーダーに必要な4つのスキルとその高め方」について、クロスメディアグループの経営顧問である園山征夫さんに伺ったお話をお届けしています。

前編では、園山さんが自身の経験をもとに考える「リーダーに必要な4つのスキルとは何か?」についてお話をお伺いしました。前回の記事はこちら『リーダーに必要な4つのスキルとは?(前編)

園山さんが自身の経験をもとに考える「リーダーに必要な能力」は次の4つでした。

リーダーに必要な4つのスキル
・日常的な業務を遂行できる能力(テクニカルスキル)
・多様な人間をまとめる能力(ヒューマンスキル)
・会社のことを好きでいる能力
・概念を設計する能力(コンセプチュアルスキル)

後編では、多様な人間をまとめる能力(ヒューマンスキル)と概念を設計する能力(コンセプチュアルスキル)を中心に「リーダーに必要なスキルの高め方」についてご紹介します。

リーダーに必要なスキルの高め方

コンセプチュアルスキルの高め方

―コンセプチュアルスキルを高めるには、この概念を知って意識するしかないのでしょうか?

園山 実は、自分の部下をどう育てるかって発想をしていると伸びてきますよ。部下にいろんなタイプの人がいるので、やはりヒアリングが重要なんです。初めに「一年間であなたは何をやりたいんですか。会社としてはこういうことを考えているんだけど、どう?」というやり取りが必要なんですね。定まっていない人もいるし、やりたいことがある人もいます。それぞれの適性を見て、向いている仕事をアサインすると、本人のやる気が大きく変わってきます。これが動機づけなんです。この設計ができるかどうかですね。しかも1年も経ったら、任せた仕事の結果が出るわけですから。

求められるスキルは会社によって違う

―この4つのスキルは、優先順位などはあるのでしょうか?

園山 この4つのスキルが求められる割合は、企業によって変わります。もちろん、目標は達成しないといけない。でも、それだけではないわけです。同じ100点でも会社によって、その配分が変わってくるんです。

―園山さんの場合は、どのように評価されていたんですか?

園山 一つ目は当然として、重要視していたのは4番目のコンセプチュアルスキルです。ゴールがないから何をやってもいいんだけど、結果はすぐにでてきます。ここの力がないと、部下から“この上司のところでは新しい発想が生まれないな。自分としても新しいことはできないかも。” と思われるので、影響力が大きいんです。

信頼関係が生まれるような、仕事の任せ方ができるか

―園山さんがいつも新しいことを重要視していらっしゃるのは、このようなことと関係しているんですね。この4つのスキルというのは、実体験からくるんですか?

園山 そうです。特に2番目のヒューマンスキルが大事だということも実体験で感じたことです。このスキルは、上に立つにつれて必要になってきます。部下が増えると、仕事の範囲が広いので物事全部を知るのは難しくなります。だからこそ、任せなければいけない。その任せ方が重要なんです。そこで、信頼関係が生まれるような任せ方ができるかどうか
やってはいけないのは、言葉では“全部任せたよ”と言いながら、箸の上げ下ろしまでいちいち確認するような任せ方。これをやってしまうのは、ヒューマンスキルがないからなんです。ヒューマンスキルがある人は、“あの人はあそこで失敗するかもわからないな。その時、自分が助けよう”と考えたうえで任せるんです。

―それは、すごいですね。

いろんなタイプの部下を持つことでヒューマンスキルが成長する

園山 人間、体験しないと成長しませんから。失敗しないと成長しないんです。
だから、あえて失敗させて、本人に成長させる。その時に失敗して会社に損害を与えるとまずいから、対策は事前にある程度考えておく必要があるんです。

―ヒューマンスキルは、伸びるものなんでしょうか?

園山 これは伸びる。絶対伸びます。いろんなタイプの部下を持つようになると、身についてきます。能力のある人、そうではない人、得意・不得意がある人など多様な人を束ねる中で力がついてきます。実はマネージメントで一番大事なのは、能力が高くない人をいかに能力がある人と同じように仕事をしてもらうかなんです。

―能力が高くない人に・・。

園山 そう。能力が高い人に仕事をしてもらうことは、誰でもできます。だから、ちょっと能力が足りない人にいかに能力をつけてもらうか、どうやって何倍もの仕事をできるようになってもらうか、を考えることがマネージメントです。自分の部下のレベルを一年間で、どれだけ上げるのかという目標をマネージャーが持っていることが大事。

マネージメントとは、人材育成

―育てられるかということですね。

園山 マネージメントとは、一言で言うと人材育成です。人材育成っていうのは、馬を引っ張って水を飲ませるようにはできません。できることは、本人が行きたい方向に向かわせて、本人に成長させること。本人の自由度が必要なんです。どこいくかわからないので、自由を与えることはマネージャーにとって大変です。だけど、それも許容するような人間の広さがないと人は集まってきません。お気に入りの人だけ集めているのは、マネージメントではないんですよ。

―嫌いな人、苦手な人も育てないといけないんですね。

園山 ビジネスですから、嫌いとか好きとか言ってられないわけですよ。自分のところにどういう部下がくるかは、コントロールできないこともありますから。だから、会社の中で中間管理職が大事なんです。課長レベルは自分の意志で部下を決められないので、一番大変なんですよ。そこの層が育ってる会社が強い。

―部下がやりたい意思があるけども、その意思が叶えられない部署だった場合はどうするのですか?

園山 それはありえません。どこかに絶対重なる場所がありますから。100%重なるってことはほとんどないですけど。そこを部下が勘違いしていて、やりたいことと全然違うと思っていることがよくあります。そこを教えてあげるためにも話さないといけないんです。

会社に愛があるか?

―会社が好きかどうかもまた難しい問題ですよね。

園山 一概には言えないですけどね。だけど、会社が大きくなる時にはそういう人が必要になります。自分の会社に愛を持っている人が会社の経営層になってもらわないと困るんです。その社員たちが、いわば伝道師になって、社長の言葉を部下にうまく伝えていかなければいけない。まあ、これはやっぱり社長の経営や人格に賛同する人がどれだけいるかによりますよね。社長が自分のことや自分の利益だけ考えていると、社員は会いたがらないでしょう。そこの差ですよ。経営者としての器の大きさで、会社が大きくなるかどうかが決まるんです。

―そういうことなんですね。みんなが社長を慕っているとファンも増えて、伝えたいことが伝わって、より大きくなるんですね。

園山 私がよく言うのが“水は上から下に流れますよ”ということです。何か会社に問題があったら、経営者である社長の責任ですよっていうことなんです。そういう意味では、経営者は非常に重い責任があるわけです。社員を含めた社員の家族も路頭に迷わないように、責任を持たないといけないですから。

―本日はマネージメントに関して詳しくお話していただいたおかげで、よく理解することができました。ありがとうございました。

まとめ

今回はチームをまとめて結果を出すために「リーダーに必要な4つのスキルとその高め方」についてお話を伺いました。リーダーに必要な能力は、次の4つでした。

POINT リーダーに必要な4つのスキル
・日常的な業務を遂行できる能力(テクニカルスキル)
・多様な人間をまとめる能力(ヒューマンスキル)
・会社のことを好きでいる能力
・概念を設計する能力(コンセプチュアルスキル)

多様な人間をまとめる能力(ヒューマンスキル)は、信頼関係が生まれるような仕事の任せ方を意識することで高めていくことができます。また、概念を設計する能力(コンセプチュアルスキル)を高めるために必要なことは、自分の部下をどう育てるかを考えることでした。

リーダーの役割を担う方々の参考になれば幸いです。

以下のページで、過去の園山さんのインタビュー記事もご覧いただけます。
1,000億円企業の経営者、園山征夫氏に聞く!

園山征夫のビジネスコラムのご紹介

今回は2回にわたって経営をテーマに、お話をお伺いした。『園山征夫のビジネスコラム』では、経営やマネジメントについて、園山氏の20年間の経営体験を踏まえたコラムが連載されている。また、著書『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。』では仕事と人間関係の大切さを48の項目で紹介している。

 

園山征夫 著『礼節と誠実は最強のリーダーシップです。』
「信頼を得る」ことから、すべてが動き始める。部下を持ち、取引相手の格も上がりはじめる30代、40代のビジネスマンに向け、「会社のカネの使い方でわかる、あなたのマネジメント度」「礼の仕方でわかるあなたの魅力」「別れ方の綺麗さでわかるあなたの人格」「ビジネスマンとしての成功とは何か」など、仕事と人間関係の大切さを48の項目で述べていく。Amazonで書籍の詳細を見る。