この記事では、「営業を成功させるために必要な「質問」とは」について、高橋宗照さんの書籍『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ』よりご紹介します。
【書籍】『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ』
【著者】高橋宗照 (株)タカハシ&パートナーズ 代表取締役
営業を成功させるために必要なこと
ここでは、有効なカウンタートークとなるので紹介しておきます。
「検討しておきます」と言われ、つい「何か問題でもありますか?」と聞いてしまうセールスパーソンは多くいます。すると、相手からは「いえ、大丈夫ですよ」「いや別にありません」という極めて無難な答えしか返ってきません。
これでは「検討します」をひっくり返し、「買います」と言わせるチャンスすらつかむことができません。
実はこの質問はもっともよくない切り返しです。「何かありますか?」と問われて、おおよそのお客の反応は次の3つです。
- 何について話したらよいかわからない
- 話すと変に突っ込まれそうなので「特にない」と回答する
- お客自身がもっとも関心があることについて回答する
しかし、これはお客が悪いのではなく、セールスパーソンの質問の仕方が悪いのです。
「何かありますか?」というのはとても抽象的で、聞かれた相手もどう判断したらいいかわかりません。ですから、ほとんどの人は「いまは何もない」という答え方をしてしまいます。
考えや意図を確認する
このようなときは、しっかりお客の考えや意図を確認できる質問をしなければなりません。それは次の6つのキーワードを含んだ質問です。これを私は「6つの不質問」と呼んでいます。
- 不満
- 不安
- 不快
- 不便
- 不都合
- 不経済(もったいない)
これらの「不質問」のキーワードを、質問する際にたった一言入れるだけで、お客の回答がまったく変わります。
例えば、求人情報誌の営業担当の場合、お客から「検討します」と言われた際に「いま御社にとって他社の求人情報誌を使っていて、何かご不満な点はありますか?」と切り返します。
すると、この質問で得られる回答は、不満点のみに焦点があたったものとなります。
例えば、求職者の応募数が思ったより少ない、求人広告のセンスがイマイチである……など、お客にとって現在もっとも不満と感じている部分にフォーカスされた回答がちゃんと出てきます。
また、交渉の初期段階でこの内容を一度聞いていた場合でも、再度確認する意味で、「今回当社の提案はそのご不満な点を解消できていますでしょうか?」とさらに確認できる、
もしくは相手が「実は……」と話しやすいような質問を投げかけることができます。
ちなみに、キーワードを変えて「不安」を使うと、こうなります。
「今御社にとって他社の求人情報誌を使っていて、何かご不安な点はありますか?」
「今回当社の提案はそのご不安な点を解消できていますでしょうか?」
最初の質問とたったひとつのキーワードが違うだけなのですが、お客側にとって最初の質問とは異なった質問として受け取られます。「不満」を「不安」に変えたことで「このまま不満ある求人広告を使っていて、将来的にあなた(御社)にとって問題はありませんか?」というニュアンスになります。
また、他のキーワードも同様に、その場面や提案したい商品・サービスに合致したような不質問にすればいいのです。
問題が顕在化される
この6つの不質問をして、現状分析された情報を得る過程で良いことがあります。
それはお客自らが現状における不満や不便さ加減などを語ることにより、不のつく感情や具合をお客が改めて実感し、また問題として顕在化させるということです。
誰でもそうですが、基本的に人は質問されたことに関して、どんなに無関心を装っても頭の中では必ず考えてしまいます。
ですが、ただ頭の中で考えているだけでは質問された内容や考えた回答はすぐ忘れてしまいがちです。
しかし、頭の中で考えたことを言葉として発せさせることで「自分はこう思っていたのだな」と、頭の中も整理され、問題がより顕在化し、認識されるようになることが多いのです。
それと前項でも書きましたが、問題点をお互いが共有できることも大きな点です。
お客自身に語らせ、お客自身が問題点を改めて認識し、その認識した内容をセールスパーソンと共有する。
こうなれば、セールスパーソンにとって問題は解決しやすくなるでしょう。
さいごに
この記事では高橋宗照さん著書より「営業を成功させるために必要なこと」を紹介しました。
『「検討します」と言われても売れる商談のしかけ』では他にも営業を行う上で注意するべき言葉や、セールスパーソンに必要な考え方などを紹介しています。
会社の売上げについて悩んでいる経営者の方や、商談がなかなかうまくいかない営業の方は是非チェックしてみてください。
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