大手に比べて、小さい会社に有利な経営手法の1つに地域密着経営があります。
この記事では、島倉大輔さんが著書『大手とケンカしても負けない、 経営逆転のヒントあります。』で解説している「小さい会社の武器となる地域密着経営」をご紹介します。
島倉大輔
株式会社マーキュリーコンサルティング 代表取締役、経営コンサルタント。 中小・ベンチャー企業の経営者を対象に、「会社の発展」と「人生の成功」を実現するための支援を行なっている熱血硬派の経営コンサルタント。過去に支援してきた会社は全国延べ1,000社以上。あらゆる業界で勝ち組企業を生み出している。
中小企業は、地域密着経営で逆転を狙え
地域密着というと聞き慣れた言葉で新鮮さがありませんが、実はこの言葉こそが小さい会社が勝つための切り札なのです。
大手のショッピングセンターや家電量販店が進出してくると地域の小さい会社は軒並みやられてしまいますが、本当の意味での地域密着経営ができていれば、いくら大手が進出してもまったく影響を受けることはありません。むしろ、大手の会社と比べられることで、小さい会社の地域密着経営がクローズアップされることになるので、かえって有利に戦うことができるでしょう。
大手は地域密着するのが難しい
小さい会社にとって地域密着は大手に勝つための最強の武器になるのですが、それは大手が地域密着を実施するのが難しいからです。
経営理念に地域密着を掲げている大手の会社はたくさんありますが、ほとんどの会社が言っているだけ。本当の意味での地域密着経営を実践している大手の会社はないのです。
地域密着をはかるには、営業時間外の対応が求められることもあります。また、商品も「売ったら終わり」ではなく、むしろ「売ってからがはじまり」で、商品の設置から使い方の説明、部品の交換、故障対応など、きめ細かな対応が必要になります。
しかし、大手は営業時間外の対応ひとつとってみてもコンプライアンスや労働組合との調整などクリアしなければならないハードルが高いですから、地域密着を実践するのが極めて難しいのです。
その点、小さい会社はスピーディーな対応と機動力が得意ですから、状況に合わせて柔軟に、かつ迅速に対応することができます。ですから、小さい会社は大手が苦手とする地域密着で勝負すべきなのです。
指名買いされるぐらいでなければ地域密着とは言えない
では、地域密着をはかるには具体的にどのようなことをしたらよいのでしょうか。何人かの社長に聞いてみたところ、次のような答えが返ってきました。
- お客さんの要望にすみやかに対応すること
- 地域の方限定の割引やサービスをすること
- 地域の行事や活動に積極的に参加すること
- 会社や店舗の前の掃除を徹底すること
- お店の前を通る地域の方に挨拶をすること
確かにどれも正しいのですが、考えてみてください。これらはすべて大手のショッピングセンターや家電量販店ではすでにやっていることばかりではないでしょうか。ですから、仮にこれらのことをしたとしても大手と同じ位置に立ったというだけで、大手に勝つための決め手にはなりません。
小さい会社が目指すべきは、大手がすでにやっている形だけとりつくろった地域密着ではなく、地域に根づいた超・地域密着経営です。
「○○○が欲しいんだけど、大手の○○○で買おうかな、それとも地元の○○○で買おうかな」ではなく、「○○○を買うんだったら地元の○○○しかないよね!」「地元の○○○にしか頼めないよね!」というように、地域の人たちから指名買いされるぐらいでなければ地域に密着しているとは言えません。
地域密着するということは市場シェア100パーセント、地域の市場を独り占めするぐらいでなければダメなのです。
まとめ
この記事では、島倉大輔さんの著書より「小さい会社の武器となる地域密着経営」をご紹介しました。
大手の会社は、コンプライアンスや労働組合との調整などの関係で、地域密着経営を実現するのが簡単ではありません。一方、小さい会社はスピーディーな対応と機動力で地域密着経営を実践しやすいはずです。その強みを活かして、地域の人に指名買いされるくらいの地域密着経営を実現し、会社の成長を目指していきましょう。
『大手とケンカしても負けない、 経営逆転のヒントあります。』では、今回ご紹介した内容の他にも、小さな会社が業績を伸ばすためのヒントをご紹介しています。