この記事では企業のデータ分析に欠かせない「Zチャートの見方」について、アイエイエフコンサルティングのコンサルタント 平井明夫さんと石飛朋哉さんの共著書『データ分析できない社員はいらない』よりご紹介します。
Zチャートとは?
Zチャートとは、「月々の売上」、「売上累計」、「移動年計」の3 つのデータをそれぞれ折れ線グラフで表したもので、「Z」のような形となるためZチャートと呼ばれています。
Zチャートでは月々の単純な売上の変化だけではなく、今年の売上累計(= 売上累計)と直近1年の売上累計(= 移動年計)の2 つの累計を同時に見ることができます。これによって月ごとの微妙な売上の変化や、季節的要因による微妙な売上の変動を吸収することができ、現在の売上の傾向を明らかにすることができます。
例えば、図1のような単純なグラフには、月々の変動や季節的な変動が含まれてしまっているので、売上が伸びているのか伸びていないのかの判断が難しくなっています。
図1 単純なグラフ
これを、図2のようにZチャートにすると、移動年計が右肩上がりになっていることから、少しずつですが売上が伸びてきていると判断できます。
図2 Zチャート
Zチャートを作る時に必要な3つのデータ
Zチャートを作るには3つのデータが必要となります。
- 月々の売上
- 売上累計
- 移動年計
月々の売上
月々の売上高です。
売上累計
月々の売上を積み上げたもので、その月の売上にその月の前の月までの売上累計を合計した値となります。月々の売上が一定の場合には45度の直線のグラフとなり、売上が減少してきている場合には弓なりの弧を描きます。また、売上が増加してきている場合には、逆に、お椀型の弧を描きます。
例えば、a. 毎月の売上が一定の場合、b. 売上が増加してきている場合、c. 売上が減少してきている場合の3つのケースの売上累計のグラフを比較すると図3のようになります。(年間の売上高の合計値は同じとします。)
図3 売上累計グラフのパターン
移動年計
その月の売上に過去11カ月分のデータを加えた、その月の直近1 年分の売上の累計値となります。季節変動などが吸収され、大まかな傾向を把握することができます。移動年計が横ばいであれば現状維持、右肩上がりであれば増加傾向、右肩下がりであれば減少傾向にあることを示しています。
移動年計は図4のように計算します。
図4 移動年計の計算
Zチャートの3つのパターン
Zチャートの形は大きく3つのパターンに分かれます。それぞれのパターンからどういった売上傾向となっているかを判断することができます。
- 横ばい型
- 成長型
- 衰退型
横ばい型
現状維持で前年から当年にかけて特に変動がない状態です。もっともきれいな「Z」の形のグラフになります。
図5 横ばい型のZ チャート
成長型
前年と比較して売上が伸び、増加傾向にある状態です。移動年計が右上がりのグラフになります。
図6 成長型のZ チャート
衰退型
前年と比較して売上が下がり、衰退傾向にある状態です。移動年計が右下がりのグラフになります。
図7 衰退型のZ チャート
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さいごに
この記事では「Zチャートの見方」について解説しました。
記事の内容について詳しく知りたい方は、『データ分析できない社員はいらない』(平井明夫・石飛朋哉 著)をお読みください。
データ分析できない
社員はいらない
平井明夫
DEC(現、日本HP)、コグノス(現、日本IBM)、日本オラクル、アイエイエフコンサルティングにおいて、一貫してソフトウェア製品の開発、マーケティング、導入コンサルティングを歴任。特にBI (ビジネスインテリジェンス)を得意分野とする。
石飛朋哉
「情報活用を経営力に」を命題にBI の布教活動に勤しむが、”分かりやすいか””伝わるか”と、日々苦悶しながら過ごしている。
【引用】平井明夫・石飛朋哉.データ分析できない社員はいらない