この記事では「引越しから見極める取引先の状態」を書籍『誰からも「取引」したいと言われる会社の条件』よりご紹介します。

【書籍】『誰からも「取引」したいと言われる会社の条件
【著者】
岩松正記 税理士 東北税理士会仙台北支部所属

なぜ、わざわざ引越しをするのか

取引先が引越しをすることがあります。普通は「業務拡張のため」という文言のハガキとかが来るものですが、果たしてそうなのか、できれば確かめてみたいものです。

そもそも会社が引っ越すというのは、フロアの移転だけでなく、さまざまなコストがかかります。連絡先の住所が変わるわけですから、請求書や封筒・名刺はもちろん、法人であったら移転登記も必要になるかもしれません。その場合には税務署などお役所関係へ住所変更を届け出なければなりませんし、もし法人として許認可
を持っていれば、場合によっては単純な移転では済まされないこともあります。以前、医療関係で海外から商品を引っ張っている会社が本店を移動したところ、事業所の再認可ということで許諾が下りるまで事業が行えなかった、などということがありました。なので、本店の引越し、特に法人の場合などは、本当はおいそれとはできないものなのですね。だから、それだけのコストと労力をかけてまで移転しなければならなかった理由は何なのか、取引相手としてはじっくり観察するべきなのです。

引越しの良し悪しの見極め方

引越しを見極めるには、まずは現在のオフィスがどうなるのかに着目します。今あるのはそのまま残り、追加で事務所なり事業所なりが増えたというのであれば、それは見たまま事業拡大が真実であり、追加のコスト負担をカバーしてまでも事業所を拡大したかった、または拡大しなければならない理由があったというわけです
から、一般的にはいい引越しと言えます。これは外見上も明らかですね。では、事業所数は変わらず、単純な引越しの場合を見てみましょう。これは以下の4つの類型に分けられます。

事業所数が変わらない場合

今の場所から近くて広くなる場合は、フロアを広くしたのとほぼ同じと言えるでしょう。今の場所の近くに新築物件ができて今よりも家賃が低くてしかも広い、なんて場合がこれに当たるでしょう。

今の場所から遠くて広い場所なども、劇的に家賃が下がることがときにはあることです。それに、今の場所が実は郊外にあって大変不便で、そこから遠い中心部へ移転する、なんてのもここに含まれてしまいますから、これも一概に悪とはいえません。

交通の便で見極める

結局のところ、人が増え荷物が増えれば、当たり前ですが、オフィスは広くなる訳です。それこそが業容の拡大ですから、とりあえず、良い引越しだと言えるでしょうね。
そこで比べるのが、交通の便になります。

今を基準として近くても遠くても、今よりも不便になる場合ならば、その経営判断はいかがなものかと考えてしまいます。それが自社ビルなんかだったりすると、ちょっともったいない交通の便などを犠牲にしても自社ビルが欲しかったのだろうと察するわけです。

一方、狭くなるということは、やはり、ビジネス上は良い傾向とは見られません。もちろん、今までがムダに広かったという場合もありますが、要は経営者がこじんまりすることを受け入れたということの方が重要です。そういったマイナス方向の行動なり心理状況は、コストダウンを図るのは経営者の常とはいえ、少なから
ずビジネスに影響が出るはずです。

引越しはあくまで目安の一つに

もちろん、利便性を考えて敢えて家賃の高いところへ移転したために狭くなった、なんてこともあるでしょう。だから、こういう分類はあくまでもひとつの目安に過ぎず、やはり個別事情をじっくりと観察すべきなんですね。何かしたから一律にそうだと言い切れるものではないのは当然です。「スリッパに履き替える会社はダメな会社」なんていうのと同じで、それはそういう会社がたまたま目についたということで、100%そうだ、などとは言えません。ただ、そういう傾向があるということだから、頭の片隅にでも置いておくといい、ということなんです。

さいごに

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

誰からも「取引したい」と
言われる会社の条件


誰からも「取引したい」と言われる会社の条件

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