この記事では、「公表していない数字を知る方法」について解説します。この内容は、内海正人さんが著書『誰からも「取引」したいと言われる会社の条件』の中で解説している内容をもとに編集しています。

取引先が公表していない数字まで把握することで、取引していい会社かどうか見極めましょう。

岩松正記

税理士。東北税理士会仙台北支部所属。山一證券の営業、アイリスオーヤマの財務・マーケティング、ベンチャー企業の上場担当役員、税理士事務所勤務を得て、10年間に転職4回と無一文を経験後に独立。開業5年で102件関与と業界平均の3倍を達成し、現在は紹介のみを受け付けるスタイルで活動している。

取引先の事業規模を知る重要性

相手先の事業規模を知ることは大事なんです。なぜならば、事業規模は取引相手の信用力の目安なのは間違いないからです。

ぶっちゃけ、デカイ会社が潰れにくいのは事実。だから、相手はそこそこの規模にあれば、契約を取るのは大変かもしれませんが、当然にこちらとの取引も大きくなるかもしれないし、支払いも入金も心配ない。

だからどこでも大手と取引したいと思うのは当然で、そのために営業があるようなものです。

取引先が上場企業の場合

上場企業であれば、その決算の数字は公表が義務付けられていますので、誰でも簡単に売上高や財務状況など会社の数字を入手することができます。

手っ取り早いのはYahoo!ファイナンスなどの会社情報ですが、EDINETという有価証券報告書の閲覧サイトや個々の企業のホームページに記載しているIR情報を見るといいでしょう。

IRとは

IRというのはインベスターズ・リレーションの略で、投資家向け情報ということです。上場企業はその株が取引市場で売買できる条件として、会社の数字を公表しなければならないのですね。

非上場企業の場合

だから逆に上場していない会社の場合、数字を見つけるのは大変苦労する、というよりかなり難しい。

そういった株式未公開企業や中小零細企業の数字は、帝国データバンクや東京商工リサーチといった情報収集専門の会社から「有料で」入手することができます。

公告を利用し、無料で情報を手に入れよう

実は今の会社法では、すべての株式会社はその決算数字を開示つまり公表しなければならないことになっているのです。それが「公告」。

公告は官報や日刊紙、ホームページ上で行います。官報というのは国の広報紙ともいうべきもので、法律などの公布や国等の諸報告や資料を公表するもので、インターネットを使えば無料で見ることができます。

会社の規模や株主の状態などによって発表しなければならない条件が決まっていて、たとえば上場していないような会社(非公開会社)で資本金5億円未満・負債総額200億円未満までは貸借対照表、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の場合は貸借対象表と損益計算書を公告しなければなりません。

ただしここでの数字は詳細な項目まで記載されたような、いわば試験に出るようなものではなく、それ用に決められた形式になっています。

公告の問題点

ただし、公告から会社数字を探す場合の最大の問題点は、圧倒的多数の会社は官報での公告どころか公告そのものを行っていない、という事実です。

一応罰則もあるのですが、公告していない会社の摘発を法務局が行うかというと、今のところこの制度は形骸化していると言ってもいい。

我々も公告利用するのは会社の合併や分割を行う場合で、これには公告が義務付けられているため、後付けで過去の分の公告をしたりしているのが実状です。

載っていない会社数字を知る裏ワザ

理論上は公告で安価に入手できるはずの会社データですが、現実ではなかなか難しい。そこで、どうしても会社数字を手に入れるためには、ちょっとした技を使うことになります。

雑誌のバックナンバーをチェック

たとえば、その会社が取材の際に売上高などを言っている場合がありますので、雑誌のバックナンバーを調べることでそれが出てきたりします。

会社に限らず人は取材に応じる場合などは多少見栄を張ったりするものなので、非公表の数字を漏らしたりするものなのですね。逆に言えばそういう数字は多少色が付いている可能性はありますが、それでもひとつの目安にはなります。

同じようにインターネットの検索で「会社名 売上高」をやってみるのはもちろんのこと、「会社名 億円」「会社名」「利益」など、用語を変えて検索してみても引っかかってくる場合があります。

求人情報をチェック

その他、意外と気づかれないのが求人関係のネット情報や雑誌です。

求人誌には、とにかく人を雇いたい会社なり事業所なりが掲載されているわけです。当然に、それぞれは良い人材を求めている。だからできるだけ自らを良く見せたくなるのは人の常で、自社のアピールとして売上高や利益、従業員数などが記載されていることがあります。

もちろん、調べたい相手がすべて求人しているわけではありませんから、これで図星のところを探すのはなかなか難しいのですが、外部から相手の様子をうかがうことはできるものです。自分の取引先や開拓しようと思っている先が人材を募集しているようでしたら、一度求人誌を眺めてみてください。

そもそも会社数字は個人で言えば収入のようなものなので、中小零細企業ではあまり公表したくないものです。逆に言えば、公表できることは誇らしいことなのですね。堂々と数字を公表できるような会社になれば、取引先から選ばれるのはもちろんのこと、取引先を選べるようにもなるに違いありません。

会社数字の調べ方
●上場企業の場合
・Yahoo!ファイナンス
・EDINET
・IR情報
●非上場企業の場合
・情報収集専門会社で購入
・公告
・雑誌
・求人情報

まとめ

この記事では、内海正人さんの著書より「取引先が公表していない数字を知る方法」についてご紹介しました。

会社数字は取引における重要な指標です。ここでお教えしたテクニックを駆使して、効率的な取引を目指しましょう。

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