連載「経営に役立つ統計データ」第5回のテーマは「日本企業における既存事業の現状と今後の対応状況」です。

日本の経営者、自営業者が経営している会社の既存事業について、342名の経営者・自営業者にアンケートを実施し、実態を整理しました。

 3 分の 1 以上が「既存事業の売上は減少傾向」

Q.
貴社の既存事業について、最も当てはまるものを選んでください。
(複数事業を展開されている場合は、最も売上構成比の高い事業についてお答えください。)

A.

経営者・自営業者全体の 17.5% が既存事業に対して「売上は増加傾向で推移している」と回答しています。

一方、全体の 34.8% の経営者・自営業者が既存事業に対して「売上は減少傾向で推移している」と回答しています。

残りの半数弱に当たる 47.4% が「売上はここ数年一定程度で推移している」と回答しており、8割以上の企業・自営業者が既存事業の売上を上げることに苦慮していることがわかります

半数以上が「既存事業の売上を上げるのは困難」と感じている

Q.
既存事業の売上が一定、あるいは減少傾向で推移している方にお聞きします。現在の状況について、最も当てはまるものを選んでください。

※342名の経営者・自営業者のうち、既存事業が売上一定あるいは売上減少していると回答された282名が回答

A.

全体の 15.6% が「今後売上を増加していくための戦略および具体的な施策が定まっている」と回答しています。

また、30.9% が「売上はまだまだ伸びる余地はあるはずだと思うが、戦略および具体的な施策が定まっていない(何をすべきか不鮮明)」と回答しています。

売上が一定、あるいは減少している企業でも、そのうち 46.5% がまだ「既存事業の売上は上げることができる」と考えており、そのうち 3 分の 1 が具体的な施策が定まっており、3 分の 2 が売上は上げられるはずだが、戦略や具体的施策が見えていないことがわかります。

一方で、全体の 28.0% が「やるべきことをやっているはずだが、なかなか売上が伸びない(既存事業を伸ばすのは厳しいと感じている)」と回答しており、また、25.5% が「売上減少傾向で推移している(このまま縮小していくと思う)」と回答しています。

売上が一定、あるいは減少している企業の半数以上が、既存事業ではこれ以上拡大は厳しいと感じていることがわかります。

以上のことより、8割以上の企業・自営業者が既存事業での売上拡大ができておらず、そのうち半数以上は今後の拡大も難しいと感じていることがわかります。

また、売上拡大ができると思っている企業・自営業者でもそのうちの3分の2は具体的な施策が見えない状態だということがわかります。

このような企業・自営業者への適切な売上拡大支援が今後必要だと考えられます。

売上増加の傾向が強いのは「従業員数 21 名以上」の企業

Q.
貴社の既存事業について、最も当てはまるものを選んでください。

(複数事業を展開されている場合は、最も売上構成比の高い事業についてお答えください。)

A.

経営者・自営業者全体では、17.5%(342名中60名)が既存事業に対して「売上は増加傾向で推移している」と回答し、34.8% が「売上は減少傾向で推移している」と回答していました。

年代別に見ると、綺麗に年代が上がるほど「減少傾向」と回答している割合が高くなっていることがわかります。

次に、就任経過期間別に見ると、就任して 10 年以上たつ企業・自営業者は半数以上が既存事業の売上減少傾向であることがわかります。

一方、経営者になってから3-5年程度が最も既存事業の売上が増加傾向であると回答している割合が高く、全体の37.5%となっています。

従業員数別に見ると、21名を超える企業では、経営者の半数が既存事業に対して売上増加と回答しています。

20-30 代、就任 3 年未満、従業員数 10 名超えると「売上増加に可能性あり」?

Q.
既存事業の売上が一定、あるいは減少傾向で推移している方にお聞きします。現在の状況について、最も当てはまるものを選んでください。
※342名の経営者・自営業者のうち、既存事業が売上一定あるいは売上減少していると回答された282名が回答

A.

経営者・自営業者全体では、15.6%が「今後売上を増加していくための戦略および具体的な施策が定まっている」と回答し、

30.9%が「売上はまだまだ伸びる余地はあるはずだと思うが、戦略および具体的な施策が定まっていない(何をすべきか不鮮明)」と回答、

28.0%が「やるべきことをやっているはずだが、なかなか売上が伸びない(既存事業を伸ばすのは厳しいと感じている)」、

25.5%が「売上減少傾向で推移している(このまま縮小していくと思う)」と回答していました。

年代別に見ると、20-30代は「今後売上を増加していくための戦略および具体的な施策が定まっている」の回答者が2割を超え、「売上はまだまだ伸びる余地はあるはずだと思うが、戦略および具体的な施策が定まっていない(何をすべきか不鮮明)」の回答者を合わせると20代は66.7%、30代は58.9%となりました。

一方、40代以上は半数以上が売上増加は厳しいと認識していることがわかります。

次に、就任経過期間別に見ると、就任後2-3年の経営者が最も既存事業で売上増加は可能だと考えている割合が高く、「今後売上を増加していくための戦略および具体的な施策が定まっている」が28.0%、「売上はまだまだ伸びる余地はあるはずだと思うが、戦略および具体的な施策が定まっていない(何をすべきか不鮮明)」が44.0%と合計で7割を超えました。

一方、経営者になってから10年以上経過している企業では、既存事業での売上増加が難しいと認識している割合が3分の2程度となっています。

従業員数別に見ると、10名以上従業員がいる企業では、既存事業でもまだまだ売上増加の見込みがあると認識している割合が7-8割となっています。

しかし、そのうちの3分の2程度は売上を上げていくための戦略や具体的な施策が定まっておらず、困難な状況であることが想定されます。

調査概要
調査母数:342名(経営者、自営業者)
調査日:2018年5月2日、株式会社クロスメディア・コンサルティング調査分析

まとめ

既存事業での売上増加が難しいと認識している企業が多い中、比較的若年層の経営者、就任して間もない経営者、ある程度の従業員数のいる経営者は、既存事業の売上増加傾向にあったり、増加していなくても今後売上を増加させていく可能性があると認識している割合が高くなっていることがります。

しかし、それでも具体的な施策までは定まっていない企業が過半数を超えているため、このような企業・自営業者への適切な売上拡大支援が今後必要だと考えられます。

今回は「日本企業における既存事業の現状と今後の対応状況」についてお届けしました。連載「経営に役立つ統計データ」では、この他にも株式会社クロスメディア・コンサルティングによる独自調査をもとに、企業の課題を発見し、問題解決につながるような情報をお伝えしていきます。
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