販売の交渉は、売り手(セールスパーソン)と買い手(バイヤー)のやりとりです。

人と人とのやりとりである以上、ある程度の駆け引きは必要です。

この記事では、インサイトラーニング株式会社代表 箱田 忠昭さんが著書『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』で解説している、「交渉が有利に進む、初頭要求極大化の法則をご紹介します。

 箱田 忠昭(はこだ ただあき)

日本コカコーラの広告部マネージャー、エスティ・ローダーのマーケティング部長、パルファン・イヴ・サンローラン日本支社長を歴任。昭和58年、インサイトラーニング株式会社を設立。現在代表取締役。プレゼンテーション、ネゴシエーション、セールス、時間管理等のコミュニケーションに関する専門家として、企業人の教育研修に専念。インサイトラーニング株式会社

初頭要求極大化の法則を使え

交渉においては、初頭要求極大化の法則、つまり、大きく要求すれば大きく得られるという法則があります。まず、最初に要求する水準は高く設定すべきなのです。

POINT
・大きく要求すれば、大きく得られる

逆に言えば、最初の要求水準が低いとそれ以上のものは手に入らないのです。

例えば、あなたがマンションのオーナーで今物件を売りに出そうとしています。不動産業者に相談してみると、今の相場で3600万円から4000万円程度と言われたとします。あなたは4000万円で売りに出しますか?

譲歩の幅を多く持つ

賢明な人なら、価格交渉があることを前提に4500万円で売りに出します。

買い手がいたとしても、とんでもなく高い金額を提示したら決裂の可能性もあります。

しかし、妥結したときは間違いなくいい結果を得られるはずです。

また、ネゴシエーションセミナーなどでアメリカ人と日本人が交渉したとき、日本人はアメリカ人の予想をはるかに下回る値から交渉に入ります。反対に欧米人は初めから大きく要求してきます。

そして、結果はいつも日本人側の負けになるのです。敗因は交渉力の差というより、“初頭要求”の差によるものが大きいのです。

通常、欧米人は本当の要求額(本音)の7倍を要求してくるといわれています。それから徐々に譲歩して要求額(本音)に近づけるのです。

自動車事故などでもそうです。10万円くらいで済む修理費を、欧米人は加害者に70万円くらい請求するわけです。

そこから交渉が始まって徐々に要求を下げていき、最終的に10万円に落ち着けばよい、と考えるのです。実際のところ70万円請求したとき、ほとんどの場合10万円以上の額で妥結するのです。

これを正直に10万円しか要求しなかったらどうでしょう。相手に粘られ、値切られて、結局8万円ないし7万円で決着してしまうでしょう。

譲歩の幅を多く持っていたほうが精神的にも優位に立てる

まず、譲歩できる幅を高めに設定して、余裕をもった状態で交渉に当たるべきです。

もともと交渉は双方の譲歩により成立するものです。片一方のみの譲歩を強要することはフェアな取引ではありません。

つまり、ギブ アンド テイクの精神です。読んで字のごとくギブが先に来ています。本来、何かを得るためには、その代価を与えねばなりません。譲歩の幅を多く持っていたほうが精神的にも優位に立てます。

価格交渉でも、この“初頭要求極大化の法則”は絶対に有利な戦術です。見積もりを出す際に初めから最低ギリギリの金額、条件を出してはいけません。あらかじめ、値引きの幅をもって見積もりを出すべきなのです。

(『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』をもとに編集)

 

『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』
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