この記事では、「営業のコツについて、箱田 忠昭さんの書籍『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ』よりご紹介します。

【書籍】『新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ
【著者】箱田 忠昭
 インサイトラーニング株式会社代表

セールスパーソンは、価格以外で勝負しよう

商品やサービスを販売する場面では、価格ほど相手に強烈なインパクトを与えることのできる武器はありません。

不動産も車も安ければ誰でも売れる

5000万円で売り出している都心の3LDKの新築マンションが、「特別ご奉仕価格として今なら2500万円!」となれば、どんなに不況でもお客は殺到するでしょう。もうパニックになってもおかしくありません。自動車でもそうです。500万円する新車の高級セダンが「1台限り200万円で販売!」と宣伝すれば倍率100倍を超えることは間違いありません。

価格を下げれば誰でも簡単に商品を売ることができるでしょう。でも当然ですが、度を越えた値引きは大赤字を生むだけです。これらは極端な例としても、セールスパーソンは売り上げのために、あるいはお客を引き止めておきたいという理由で安易な値下げをしていないでしょうか。

相手の心理を理解して交渉に臨む

「最後は値段だよ! あと2割引いてくれたら買うよ」と言ってくるお客に対して、価格を下げる以外に本当に打つ手がないのでしょうか。

そんなことはありません。ともすると、セールスパーソンの多くはKDD(勘・度胸・出たとこ勝負)で仕事をしています。もちろん取引に勘は必要ですし、いざというときの度胸も大事です。でもそればかりに頼っていては限界があります。

「ま、なんとかなるでしょう」
「俺が頼めばなんとかなるさ」
「後は現場で臨機応変に対応しよう」

こうした営業のスタイルでは、なかなかよい成果を収めることはできません。交渉は相手の心を読む心理戦です。お客の心理を理解すること。そして、事前の準備と交渉の場で使うさまざまな戦術を学ぶことで、あなたのセールスは飛躍的に向上します。

上手な話し方1「クッション話法」

「ウチにそんな予算ないよ」
「他社から買ってるからいいよ」

お客からの反対意見、断り文句、反論。私たちは、毎日のようにこうした反対意見や反論への対応を迫られています。

お客の反対意見、断り文句、反論を乗り越える最も良い方法はなんでしょうか。それは、ズバリ賛成することです。まず、一旦すべてを受け止めてしまうのです。間違っても、お客の反論を途中でさえぎったり、反論に反論してはいけません。意見を尊重する姿勢を見せ、同じ考え方をしていることを印象づけるのです。

まずは、お客との一体感を作ることが重要です。ソフトに相手の言うことを一旦肯定するので、これをクッション話法と呼んでいます。

例えば、二階の窓からコップを外に投げれば、地面に激突して割れてしまいます。しかし、下にクッションが用意されていたらどうでしょう。コップは割れずに済みます。ともかく、相手の反対意見に対しては、それが正しいかどうかは別として、「あなたはそういう考えを持っているのですね」というように理解を示すのです。

「おたくの商品は高いね」と言われたら、「そんなことはありません」と否定せず、「そうですね、最初のうちはそうおっしゃる方が多いんですよね」というようにヤンワリと受けるようにしてください。

肯定的な見方をしてくれる状態を作る

人は誰でも、他人に否定されるのを嫌います。そして、相手に否定されれば相手のことも否定したくなります。

「そのネクタイ、安物でしょ。100円ショップで同じような色のネクタイ売ってたよ」と言われれば、「そういうあなたもセンスないですね。ピカピカ光ってる素材のネクタイなんか、今どき流行(はや)りませんよ」と言いたくなります。

人間は感情の動物ですから仕方ありません。自分が否定されれば、相手にも否定で返したくなるのです。反対に、肯定されればどうでしょうか。相手は肯定で返してくれます。

「いいネクタイしてるね。色がいいよ。日本にはあまりないような鮮やかな色でいいね」と言われれば、「ありがとうございます。そういうあなたもおしゃれなネクタイしてますね。見るからにいい素材使ってますね。どこでお求めになったんですか?」と言いたくなります。

まずは、クッション話法で感情のミゾが生じないよう、そしてあなたに対して肯定的な見方をしてくれる状態を作るよう心がけてください。

断り文句に便利なクッション言葉

さて、セールスパーソンであるあなたは、断り文句が出た際にはクッション言葉で答えられるように、普段から練習しておかなければなりません。

どのようなクッション言葉があるでしょうか。ここに書き出してみましょう。

断り文句に便利なクッション言葉
  • そうですね、そう思われるのが普通なんですよ。
  • はい、そこのところは確かにその通りだと思います。
  • はい、どちらの会社も最初はそうおっしゃいます。
  • そうですね、確かにそういうところはあると思います。
  • なるほど、さすがに鋭いご指摘ですね。
  • そうですね、やはりその点がポイントですよね。

どのクッション言葉も、一旦は相手の反対意見に対して肯定的に受けていますね。

練習問題

クッション言葉がどのようなものかが理解できたところで、次に練習問題をやってみましょう。下記の8つの断り文句は、営業をしていると実際によく出くわす言葉ばかりです。

ではクッション話法を使って、8つの断り文句に答えてみてください。

練習問題
次の断り文句にクッション話法で答えてみてください。
問1 これは少し大き過ぎるな
問2 こんな高いものは買えないね
問3 他から買ってるのでいらないよ
問4 ウチには必要ないね
問5 他社のほうが安いよ
問6 予算に余裕がない
問7 ランニングコストがかかり過ぎるよ
問8 今のが気に入ってるんだ

どうですか、うまく答えられましたか?

この練習問題の8つの断り文句は、ごく一般的な例です。しかし、実際にお客が断り文句を言う際には、業種や業界によって特有の言い方があるはずです。あなたが日頃の営業をしていて、お客によく言われる断り文句ですね。

より実戦的な練習をする場合は、まず業種・業界の特有の断り文句を10個以上書き出してください。

そして、クッション話法で答えを考えてみるのです。頭の中で考えるだけではダメです。紙に書いて、そして実際に言葉に出して練習してみてください。

上手な話し方2「Yes – And法」

お客の断り文句をクッションで受けたら、次にどうすればよいでしょうか。

「しかし、~」あるいは、「でも、~」というように、否定語を使ってはいけません。これをよく、「Yes ― But法」といっていますが、ここでも否定せず肯定的な言葉を使うべきです。

クッションで受けた後は、「そうですね、そう思われるのはもっともだと思います。実は、~」というように、“そこで”“実は”“ところで”というような接続詞を使って、うまく会話をリードし話を進めます。

この方法を「Yes ― And法」と呼んでいます。

成功事例でお客の疑問に答える

その際、「実は、部長もご存知の田村商会の田村社長が、同じことをおっしゃっていました。ところが、今では年間2万本も購入していただいております」というように、すでに商談に成功して満足しているお客の具体例を話します。

その商品なりサービスを購入して大変喜んでいるお客の名前を出すのです。

人はセールスパーソンの言うことをなかなか信用しません。でも、第三者の証言なら信用します。ここで田村社長の名前を出すことにより、田村社長に証人のような役割をしてもらうわけです。

つまり、あなたの商品が良いということを、あなたの他に誰か言っていますか? というお客の心にある疑問を解いてあげることです。

自分の言葉で話せるように練習しておく

この第三者の証言はとても有効です。相手が知っている人物の証言や、権威のある人物の証言であればなおさらです。

つまり、見ず知らずの人の証言より田村商会の田村社長の証言のほうが説得力があるということです。

例えば「ユーザーである某大学の○○教授からは、お礼の手紙をいただいたほど気に入ってもらっています」と言えば相手は身を乗り出して聞いてくれるはずです。

せっかくクッション話法で相手の断り文句を受けても、その後に続く言葉がお客にとって興味を惹くものでなければ、続けて話を聞いてもらえません。

ですから、セールスパーソンは成功事例をたくさん用意しておき、セールストークの最中に随時お客に話ができるようにしてください。そのためには、常に情報を集める意識を持ってセールスに臨むことが必要です。

また、あなた自身が経験した成功事例だけでなく、先輩、同僚からも情報を集めることも忘れないでください。知っている成功事例が多ければ多いほど、いろいろなケースに対応することができます。

そして、集めた成功事例は自分の言葉で話ができるように、必ず普段から練習しておきましょう。

上手な話し方3「USP(Unique Selling Points)法」

次にセールスパーソンは、その商品なりサービスが、良いものであり、お客が購入に値するものであることを説明します。

「と申しますのは、品質とモノの良さという点から見ると、他社よりもはるかに良いということがお客さまにわかってもらえたからです。まず、長さが他社よりも15cm長いのです。ですから、高い天井の教室ではとても便利です。次に、特殊合金を使っていて、折れません。ですから、他社のものより10倍も長持ちします。また、握りの部分を3mm太くしました。ですから、とても持ちやすく、使いやすいのです」

このように、商品の特長や買うべき理由を3つくらい挙げます。

この手法をUSP(Unique Selling Points)といい、他社に負けないユニークなポイントを説明するのです。

買ってもらう理由 = お客の利益

ここで注意したいのは、あくまで“お客の利益”を中心に話すことです。

パソコン初心者に対してなら「このパソコンは初心者の方でもわかりやすい設計になっています。まず、ボタンが大きくて見やすく間違えることはありません。次に、ボタンひとつでインターネットに接続でき、初心者の方にも簡単に扱えます。そして、初めからワープロソフト、家計簿ソフト、イラストソフトなどがインストールされていますから、すぐにお使いいただけます」。

このように説明します。

単に「初心者の方にも簡単に使えます」というだけでなく、具体的に説明します。多くのパソコン初心者はどの点に使いにくさを感じていて、今回紹介する商品はその問題を見事に解決しています、と勧めるのです。

上手な営業の話し方3つのステップ

つまり、お客の反論に答える基本的な3つのステップは、次のようになります。

Cushion クッションで受ける
「そうですよね・・・・・」

Example 具体的な成功事例を挙げる
「実は○○さんも・・・・・」

Reason 理由を説明する
「と申しますのは・・・・・」

営業のコツを知りたい方におすすめの本

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

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売れる営業のしかけ


新版「高いなぁ」と言われても売れる営業のしかけ

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