SFA・CRMの導入を「誰に任せるか」で悩んだ経験はないでしょうか?

SFA・CRMの導入を成功させる上で「導入プロジェクトを誰が主導するか」はとても重要です。

もし「SFA・CRMはITシステムだから……」といって情報システム部門に丸投げしてしまうと失敗する可能性が高くなってしまいます。

そこでこの記事では「SFA・CRMを情報システム部門に任せてはいけない理由」を解説します。

株式会社 MCネクストの代表取締役である早川圭一さんが、著書『SFA・CRM 情報を武器化するマネジメント7つの力』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】早川圭一 株式会社 MCネクスト代表取締役

プロジェクトの位置づけを「ITシステムの導入プロジェクト」にしてはいけない

SFA・CRMは、パソコンやモバイルを通じて利用するソフトウェアであるため、運用・保守管理を含めて情報システム部門の協力は不可欠といえます。

しかしながら、SFA・CRMの導入を「新しいITシステムの導入プロジェクト」と短絡的に考えてしまうと大変なことになります。実際に、ツールの選定から導入プロジェクトのほとんどを情報システム部門に丸投げされた結果、プロジェクトに失敗した、という企業は多数存在します。

なぜ情報システム部門に一任してしまうと失敗してしまうのでしょうか。

それは「SFA・CRMを導入すること」が、そのまま「問題解決になる」というケースはほとんどないからです。

SFA・CRMは「企業の成長、売上・利益の最大化」のために「戦略実行のPDCAサイクルを最適化すること」を目的に導入されるものです。これは裏を返せば「戦略実行のPDCAサイクルに何からの問題がある」ということです。

そして、その問題は概ね「システムに関する問題」と「マネジメントに関する問題」に分類することができます。

「システムに関する問題」とは、戦略実行のPDCAサイクルに必要な情報がしっかりと「蓄積」されているにもかかわらず、システム面に不備があり「共有」や「活用」が非効率になっている状態です。

一方、「マネジメントに関する問題」はシステム面の不備を除く問題の全てです。

例えば
・戦略そのものが不明確
・営業活動のプランニングができていない
・重要な顧客情報がどこにあるか分からない
・提案中の案件の進捗状況は担当者本人に聞かないと分からない
など、列挙すればキリがないほどあらゆる問題が該当します。

つまり、SFA・CRMの導入プロジェクトを、情報システム部門に丸投げしても成功する企業というのは、「戦略実行のPDCAサイクルの問題」が「システムに関する問題」のみであり、「マネジメントに関する問題」は存在しない、というケースに限られるのです。

これまで多くの企業のマネジメントの現場に直面してきましたが、「マネジメントに関する問題は存在しない」という企業に出会ったことは皆無に等しいです。

むしろ「システムに関する問題」よりも「マネジメントに関する問題」が山積みで深刻な状況に陥っている企業の方が圧倒的に多いと断言です。

「マネジメントに関する問題」が存在する以上、SFA・CRMの導入プロジェクトを「ITシステムの導入プロジェクト」に位置づけてはいけません。

会社全体で戦略実行のPDCAサイクルを最適化するためのマネジメント変革プロジェクトだと位置づけてください。そして、「情報システム部門に加えて、営業マネジメントそのものに責任を負う立場のメンバーが主になってプロジェクトを進めてください。

顧客や案件を管理する上で必要な情報は何なのか、営業パーソンにインプットしてもらう必要がある情報は何なのか、蓄積された情報をどのように共有し、活用したいのか……。

要は、SFA・CRMをどう使いたいのかを具体的に考えられるのは営業部門やマーケティング部門であり、これらの部門がシステム導入プロジェクトの柱となってこそ、あなたの企業にとって有益なSFA・CRMを創り上げることができる ということです。

プロジェクトの位置づけが変われば、SFA・CRMへの「投資の位置づけ」も変わってきます。

つまりSFA・CRMの導入は「ITシステムへの投資」になるのではなく、会社全体の戦略実行のマネジメント力を強化するための「人材への投資」という位置づけになるのです。

会社規模の情報基盤へと育てあげる

SFA・CRMの導入は、会社全体の戦略実行のマネジメント力を強化する人材投資だと述べました。

「会社全体」ということは、営業部門やマーケティング部門だけでなく、経営層も含め、他の部門でもSFA・CRMを活用することを視野に入れる必要がある、ということです。つまり、SFA・CRMを導入するということは、中長期的には全社規模の情報基盤へと育てていくのです。

SFA・CRMを導入する際に「絶対にやってはいけない進め方」があります。

それは「部分的な導入」です。

例えば、3つのチームで同じ商品・サービスを提供する営業組織が構成されているとします。その中の「ひとつのチーム」にだけSFA・CRMを導入する、という進め方です。「ひとつのチーム」にだけ導入してみて、その効果を検証した上で、他のチームにも展開していく、という目論見でこのような進め方を採用するケースがあります。

残念ながら、この進め方でプロジェクトに成功する企業はほとんどありません。

この進め方を採用してしまうと、部分的な「手段の効果測定」がプロジェクトの主軸になってしまい、本質的な「目的」が見失われる可能性が非常に高くなってしまいます。そもそもSFA・CRMは「部分的に導入してみて効果を測定する」という考え方で成功するような代物ではありません。

前述の通り、「システムに関する問題」のみであれば「部分的に導入してみて効果を測定する」というスタンスでもよいのかもしれません。

しかし、ほとんどの企業の場合、「マネジメントに関する問題」の方が山のように存在しているのです。

したがって、「部分的に導入してみて効果を測定する」というスタンスではなく、正しくは「SFA・CRMを導入して自分たちに『必要な効果』を自分たちの力で生み出す」 というスタンスが必要になるのです。

このスタンスに立てば、「部分的な導入」ではなく、「問題を解決しなければならない組織への導入」「マネジメントを最適化しなければならない組織への導入」という進め方が重要になってくることが見えてくるはずです。

では「導入範囲の最小単位」について、もう少し具体的に考えてみましょう。

例えば「うちの会社はビジネスモデルの異なる大きな事業部が2つ存在します。この場合、SFA・CRMを片方の事業部で先に導入して、その後にもう片方の事業部にも導入するという進め方は好ましくないのでしょうか?」と質問されたとしたら、回答は「その進め方で問題ありません」になります。

一方で「あるビジネスを展開している6つの営業チームが存在する。SFA・CRMをその中のひとつのチームに先に導入して、その後に残りのチームにも導入するという進め方は好ましくないのか?」と質問されたら、回答は「好ましくありません」になります。

判断基準は「戦略実行のPDCAサイクルを機能させる範囲が組織として同じかどうか」です。

経営トップから他部門のキーマンまでプロジェクトに幅広く巻き込む

SFA・CRMの導入は、営業部門やマーケティング部門のメンバーが中心となって、「全社のマネジメントを変革するプロジェクト」として進めていくことの重要性をお話ししました。

つまり、SFA・CRMの導入プロジェクトは、企業文化をも変革してしまう「全社に大きな影響を及ぼす重大なプロジェクト」といえるわけです。

そこで具体的に社内のどのようなメンバーをプロジェクトに巻き込んでいく必要があるのかについて考えてみたいと思います。

①運用の柱となる営業部門から、最前線で活躍している現場のキーマンはもちろん、リーダーや管理職 にも必要に応じて参画してもらい、それぞれの意見・要望を積極的に出してもらう。

②営業以外の各部門のキーマンや管理職から、営業部門では気づかない見地の意見を出してもらう。 営業部門以外のメンバーにとってどういう情報が必要なのか、現在どのような課題意識をもっているのか。

③経営トップ層や、組織への影響力の強い社内の実力者、有識者の協力も必要。声の大きい人、社内で実行力の強い人が関わることで、このプロジェクトを意図通りに推進する力が高まる。

④もちろん、情報システム部門の協力も不可欠。①~③の声を採り入れ、最適な形になるようにSFA・CRMのシステム設計をしなければ、どんなに議論を尽くしても成功には至りません。

冒頭に述べた、「SFA・CRMはITシステムだから……」といってプロジェクトを情報システム部門に一任してしまうと失敗する可能性が高くなってしまうという意味が、ご理解いただけたかと思います。

さいごに

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

SFA・CRM
情報を武器化するマネジメント7つの力


SFA・CRM 情報を武器化するマネジメント7つの力

AMAZONで見る