この記事では、「整理解雇に関わる問題点と対象者の条件」について解説します。この内容は、内海正人さんが著書『今すぐ売上・利益を上げる、上手な人の採り方・辞めさせ方で解説している内容をもとに編集しています。

「整理解雇とは何か」や「整理解雇対象者の条件」について知っておくことで、トラブルを未然に防げるようにしましょう。

整理解雇とは

整理解雇とはリストラのことです。リストラとは、会社の経営上の問題で社員の雇用を斬ることです。

参考:「解雇」3つの種類と手続きの進め方

しかし、一言で整理解雇(リストラ)といっても会社の状態で2つの種類に分かれます。

倒産や会社整理等によるもの

会社の倒産の場合は、事業を続けることが不可能になっている状態です。

よって、すべての社員を解雇しなければなりません

事業の縮小、部門の閉鎖等によるもの

事業の縮小、部門の閉鎖等で整理解雇を行うと、一部の社員が会社に残り、一部の社員は解雇されるという状況になります。

したがって、誰が解雇されるかが大きな問題となります。

会社の倒産で浮き上がる問題点

会社の倒産で問題になるのは、解雇予告手当の支払いです。経営環境の悪化により資金がなくなってしまう場合がほとんどなので、毎月の給与の支払いが滞ることもあります。

通常の給与の支払が厳しいのに解雇予告手当が支払えるのか?

倒産が計画的であれば、解雇予告手当ではなく、解雇予告対応しましょう。しかし、倒産は突然やってきます。このような場合は、給与の未払いや解雇予告手当の未払いが問題になるケースが多いです。給与は債権として一般債権より優位です。だから、甘く見ないほうがいいです。経営者個人の財産の処分まで検討する可能性があります。

実施時に抑えるべき「整理解雇の4要件」

また、事業の縮小などで整理解雇(リストラ)を実施する場合は要件があります。

これは、一部の社員を残して、一部の社員を解雇することになるので、そのために客観的で合理的な理由が存在しなければなりません。

その4つの要件が次の記載の通りです。

  1. 業務上の必要性
  2. 解雇回避義務
  3. 選定基準の合理性
  4. 社員に対する説明・協議

ひとつつずつ確認していきましょう。

1.業務上の必要性

「業務上の必要性」とは、会社が整理解雇を行わなければ存続できないような状態が明確です。しかし、整理解雇が会社の運営上やむをえない場合も認められています。

つまり採算の悪い部門を切り離すことによって、会社の収益が大きく改善されるということで、小さい金額の「業務上の必要性」が認めらます。従って、「経費節減のため」というような理由だけでは整理解雇は認められない場合が多いです。

2.解雇回避義務

「解雇回避努力」とは、整理解雇を行う前にそれ以外の対策をどのようにやって来たかを問うことです。

だから、「経営をどのように立て直すか?」がポイントとなるのです。そして、どう対策を講じて努力してきたのかが問われます。具体的には、次のようなことが考えられます。

  • 経費の節約
  • 遊休土地等の売却
  • 社員の配置転換・出向
  • 労働時間の短縮
  • 一時帰休
  • 有期雇用者の雇い止め
  • 昇給の停止
  • 賞与のカット、不支給
  • 役員報酬の削減
  • 社員の給与カット
  • 新規採用の中止
  • 中途採用の中止
  • 希望退職者の募集
  • 勧奨退職

まずは、社員に対して影響の少ないものから選択していきましょう。そして、順々にその影響の大きいものを実施することになります。だから、先の具体例を全部行うということではありません。会社の規模や業種の違いにより、具体的に何を実施するかはそれぞれの会社の事情によりますが、影響の度合いは検証されます。

3.選定基準の合理性

次に選定基準の合理性を見てみましょう。

これは、整理解雇の対象となる人についての基準です。合理性という言葉がポイントとなります。この基準は、会社が主観で勝手に「Aさん、Bさん」と選べないようにしています。つまり、「客観的で合法的な基準で社員を選択しなくてはならない」ということです。キーワードは「客観的」です。客観的とは数字に表現できるものを基準にしなさいということを遠まわしに言っています。

具体的には、次のようなことなどです。

  • 年齢
  • 勤続年数
  • 人事考課
  • 営業成績

また、人間性も加味しないといけません。

これに対して、「単なる年齢で対象者を選んだ」「有給休暇の取得率がポイントとなった」ということは、法律に抵触する可能性が高いです。

数字を基準に選んでも、差別的な取扱いはいけません。

4.社員に対する説明義務

次に「社員に対する説明義務」を見てみましょう。

社員に対する説明や協議とは、「整理解雇の必要性や方法、時期などを社員と十分に話し合ってきたか? 努力を怠らずに説明責任を果たしたか?」ということです。

このことについては、明確な基準があるわけではありません。

しかし、説明会をするならば、業務で出席できない社員のために説明会を複数回開催するなどの配慮がないといけません。

どれだけ社員が納得、同意したかがポイントになります。このような手続きは必ず書面で記録しておきましょう。

記録を必ず控えてトラブルを防ぐ

以上、4つの要件をクリアしてはじめて解雇通告が可能となります。

記録を必ず控えてトラブルの回避に努めましょう。

とはいうものの、会社の規模や業種、業態によって個別の事情があるので、「必ず行わなければいけない」ということではありません。できる限りの努力を行わなければならないということです。

さいごに

この記事では、内海正人さんの著書より「懲戒解雇に関わる問題点と対象者」についてご紹介しました。

書籍『今すぐ売上・利益を上げる、上手な人の採り方・辞めさせ方』では、今回ご紹介した内容の他にも退職、リストラなどについて、リアルな実例と法律をもとにわかりやすく解説しています。

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