この記事では「年収が上がる時間の使い方」を、秘書育成コンサルタント 永田美保子さんの著書『年収10倍アップの時間術』よりご紹介します。

【書籍】『年収10倍アップの時間術
【著者】永田美保子 
秘書育成コンサルタント

自信や覚悟が悩む時間を減らす

自分の行ったことを反省したり後悔したりしてクヨクヨと思い悩んでしまう人は少なくないと思います。ごく普通の行動パターンです。

しかし、仕事を通して役員たちの姿を見ていると、思い悩むということがほとんど見受けられないのです。悩む時間が限りなくゼロに近い、少ない状態を保っているのだと思います。

悩む時間が少ない、とはどういうことなのでしょうか? たとえば、いくつかの選択肢から一つを選ぶ際にどうしようかと「悩む」ことはほとんどありません。なぜかと言うと、決定を下すために自分の決めた基準が常にあって、その基準に照らし合わせて速決しているからです。

決断が早すぎるからといって、決して気分でいいかげんに選んでいるわけではありません。もし、自分なりの基準を適用できずに判断できない場合は、そのためのリサーチをしてセールスデータなど過去の業績、評価といった確かな裏付けをとって決定します。

さて、一度何かを決断した後の役員たちには何が起きるのでしょうか。そうです、決定事項に従って行動するのです。新事業の契約でもなんでも決断したら迷わずに先へ進む、そうして集中することによってますますいい結果が生まれることになるのです。非常にシンプルな考え方です。

エグゼクティブたちを見ているともともとの行動パターンに「悩むという選択肢」がないので矛盾がないということがわかります。AにしようかBにしようか考えている状態というのは、彼らに言わせると、悩むのではなくて検討する、リサーチする、という言い方になります。部下が何かを相談してもズバリと明確な答えを出してくれて、その瞬間に目の前の霧がすっきりと晴れるような思いをさせてくれるのがエグゼクティブたちのマジック(問題解決)だと思ったのは私たち秘書だけではないはずです。

たとえば、こんなことがありました。

社内の重要な会議に使用する会議室が、他の重要な会議や監査対応と日程がバッティングしてしまい、どうしても使えないので他の場所を探さなくてはならなくなったのです。参加人数が多いため、社外会議室を探すのが困難であろうことを、この会議の責任者の役員がちょうど別の会議から戻って自分のオフィスの席に着いたときに、恐る恐る申し出ました。

すると、「ああ、それは大丈夫です。毎年会議が重なる時期だから、僕は実は今年からやり方を変えることにしたのです。今回は顔を合わせずに電話会議対応で大丈夫になりましたから」と説明されました。

結局、その電話会議の通知をメールで送り、5分ほどでセッティングは完了。秘書の間で1時間くらい会議室のオプションについて思い悩んでいたのはなんだったのだろうとあっけにとられるほどでした。

この事例では、役員は、今年からこの会議では話ができればいい、顔を合わせなくていいというシンプルな決断をし、次の段階で、話題は会議の内容についての話に移っていました。このことからわかるように、秘書や部下が良かれと思って気をまわしすぎても、無駄足になってしまうことが時にあります。

ここで気づくことは、エグゼクティブの出す結論はシンプルであることが多いということです。ポジションが高い人に必要以上に気をつかうことは実は少なく、その人の行動の基準、ポリシーを正しく把握することが無駄のないサポートをするための第一歩なのです(もちろん、対外的なことでは、念には念を入れて準備することが求められる業務もありますが)。

また、エグゼクティブは、事業の結果を見て、予想通りにいかなかった場合に見込み違いだったと反省することはあっても、後悔することはありません。自分の信念に基づく判断で行ったという自覚があるからです。そのおかげで、常に自己肯定感を保つことができるのです。このことは、自分がしたすべての決断に責任を取る覚悟ができているからこそではないかと思います。

私たちがこのような悩まない決断の要素を自分の仕事に取り入れるなら、まず、最初に自分なりの「物事を判断するための基準」をしっかりと持つことから始めましょう。何事にも、自信と覚悟を持って取り組むことによって無駄に悩まず、後悔せず、自己肯定感を上げることを実現できるのです。

Point
止まって悩むのではなく、動きながら考える

オーダーメイドのスーツはまとめて3着作る

私は製造業やIT系サービス業での仕事経験が長かった関係で、上司である駐在員の、ビジネスカジュアルと呼ばれる「エリ付きシャツとズボン」のスタイルを見慣れています。

そんな、ややカジュアルな上司たちも、来客や重要な会議のときは、よく似合うタイとスーツ姿で会議室に現れます。こういうとき、スーツ姿が似合うというのはシャキッとしていいものだな、とつくづく思います。

欧米人男性の上司は、比較的長身で体格のいい方が多かったのですが、みなさん出張も多く、日本に持ってくるビジネススーツにはそれぞれこだわりがありました。

一番多いパターンは自分の出身地でまとめて仕立てて、駐在先の日本に持参する、というパターンでした。また、日本での任期中にお気に入りのテイラーに巡り会えた方は、時間を作ってまとめてオーダーする方も少なからずいます。一番驚いた例は、駐在中、一度に3着のオーダーメイドのスーツを、色柄違いで仕立てた上司です。その男性上司は、香港出身の腕の良いテイラーが定期的にお得意様向けに都内ホテルで開いているオーダーメイドのセールを利用していました。

本人曰く、一度にまとめてスーツを作る理由は、

  • 体型は変わらない予定だから(ジムに通って体重管理している)
  • テイラーが自分に体型や用途に合ったオーソドックスなデザインをよくわかっている
  • 何度も依頼する手間を省き、採寸・買い物時間の短縮のため
  • 信頼関係ができており腕も確かな担当者に頼むため、品質の心配は無用

ということのようでした。

確かに、時間とお金の使い方としては、すっかり自分の好みを知り尽くしているテイラーにお任せするのはとても理にかなっていると思いました。

もし、この3着を別々の機会にそれぞれ異なったテイラーに依頼していたら、好み、用途などを細かく指示し、採寸・仮縫いなど毎回大変な時間を費やすことになりますから、その時間が大幅に短縮できたということだけでも、3着まとめて注文した分の費用は安いと感じられるのではないでしょうか。

また、オーダーメイドのスーツですから、当然、本人の身体にぴったり合ったものになりますが、そこにたどり着くまでには担当者とのコミュニケーションが円滑にいくかどうか、ストレスを感じないかなど、懸念事項は数多くあります。

たとえば、この上司の時給を考えたとき、テイラーとのやりとりにかける労力もすべて簡略化でき、満足のいく服を手に入れることができたら大変な節約になる、ということができます。機会費用という考え方をすると、この馴染みのテイラーにお願いすることによって浮いた時間で、上司は大切なビジネスに使える時間を増やすことができるわけです。大げさですが、この数時間が何万ドルかの売り上げに結びつくかもしれません。

他にも、ワインショップなど専門店で気に入った店に通って常連になり、顔なじみの担当者に好みの品物を選んでもらうと、これも時間と労力の節約となります。ある上司はワインショップ、レストランなどでも上手に「常連」になっていました。

担当者の専門知識でうまく助けてもらうことによって時間を節約し、ストレスを避ける。お店にとっても良い常連客が来てくれるということで、よりよいサービスをしてくれます。お互いの信頼関係を構築することによって可能なこの方法は、私たちも身近なところから実行できそうな、非常に賢い方法だと思います。

Point
信頼できるプロに相談するのが、結局お金と時間の節約にもなる

パッケージツアーで旅行をしない

みなさん、旅行はお好きですか?

国内旅行、海外旅行などに行く際にはパッケージツアーを利用するとお得なことが多いですよね。ホテルと航空券をセットで購入すると割安になったり、特典があったりと、なんらかのメリットがあります。また、自分でホテル、航空会社とあれこれ手配せずに旅行代理店一箇所ですべて依頼できるので、手間が省けて非常に楽な面もあります。

しかし、実は非常に忙しいはずの役員たち、特に外国人役員はまったくと言っていいほどパッケージツアーは利用せず、自分で手配するのです。その事実を知ったときは、意外だと思いました。

たとえば、日本に駐在中、ほとんどの外国人役員はせっかくの機会だからと、休暇の際は日本から近いアジア諸国をよく旅行します。アジアのパッケージツアーはオフィス近くの旅行代理店等でも多く売られていますが、彼らはまったく見向きもしません。

その理由が、役員のプライベート手配をお手伝いする過程を通して私にもだんだんわかってきました。一言で言うと、費用の問題というよりも、限られた時間を自分の責任で扱いたいから、ということです。そして、その方が結果、費用も節約できるのです。

たとえば、家族で一週間シンガポールに行くとしましょう。その手配には、いろいろな要素を考える必要があります。フライトの時間帯や座席の位置をこうしたい、家族に乳幼児がいるから機内でバシネット(ベビー用のベッド)対応をしてもらいたい、現地ではエグゼクティブ仲間から教わった好みのエリアのホテルに泊まりたい、部屋のタイプも好みのもので……など、そうした一つ一つの要素に関して、自分で選びた
いということなのです。

実は、自分でエコノミークラスの安いチケットで手配したとしても、役員たちは普段の功績で、航空会社のFFP(マイレージプログラム)で上位ステータスを得ているため、優先的な扱いを受けることができます。これはどういうことかというと、個人旅行者でも優先搭乗などの特典を適用されるということです。一番助かるのはチケット購入時に満席でもキャンセル待ちをさせてもらえるなどの優遇措置です。

そういった、自分の責任でじっくり選んで決めたい貴重な休暇なので、「旅行代理店に依頼してすべてお任せ」ということは、たとえ多少の割安感があってもまったく考えられないことなのだろうと思います。

また、万一、急な仕事の都合でのキャンセルの際も飛行機・ホテルを個別に手配しているので、キャンセル時の損失がそれぞれのキャンセルポリシーにしたがって最低限で済むことは大きなアドバンテージです。さて、パッケージツアーの場合のキャンセルポリシーはどうだったでしょう。一般的な海外旅行の場合、旅行開始日の前日から起算してさかのぼって30日目にあたる日以降3日目にあたる日までは旅行代金の20パーセントがキャンセル料となります。

自分で個別にホテル、フライトを手配している場合はどうでしょうか。

ホテルは宿泊日の3日前まではほとんどのホテルでキャンセル料がかからないでキャンセル可能ですし、フライトは国内航空会社のウェブサイトによると、東京〜シンガポール間のエコノミークラス・ペックス運賃で、フライト出発前に取り消しの連絡を行った場合、2万円の手数料で払い戻しが可能とのことでした(フライトの変更は不可)。

つまり、急な予定変更がありうる役員が、キャンセル料をできるだけ心配せず、自由な旅程を楽しむ方法としては別々に自分で手配する方が意外にもメリットがあるということです。むしろ直前の変更やキャンセルの可能性が大いにある役員にとっては自分で手配する旅行の方がトータルで見てお得であるという結論となります。

こういった一連の動きを見ていると、休暇の旅行といえ、自分の責任でキャンセルポリシーなどをよく理解した上で手配するという意志が感じられます。旅行には連れて行ってもらうのではなく、自分が欲しい結果を掴みとりに行くという意識があるのです。さらに、旅行先では自発的に動きたいため、時としてプロの手を借りることも積極的に行います。たとえば個人のツアーガイドなどは必要に応じてホテルを通じて依頼するというような具合です。

Point
計画だけは人任せにしない

出張の朝であっても身だしなみには時間を使う

私の知っている限りのエグゼクティブから受けた個人的な印象ですが、ヨーロッパ出身の方は、特におしゃれにこだわりがある方が多いように思います。

たとえば昔、こんな例がありました。

当時の上司である外国人役員と、アメリカから到着したばかりの本社エグゼクティブの二人が、泊まりがけでの関西の取引企業を訪問をした際のこと。そのときは、外国人2名だけで東京駅からの新幹線に乗っていただくことになりました。

私は、出張当日の朝、その上司に手渡す品物があったので、東京駅でお二人と待ち合わせのホームへ急ぎました。アメリカから来日中のエグゼグティブは、東京駅近くのホテル泊だったので徒歩にて余裕で10分前の到着。これで一安心です。

ところが、肝心の上司本人が駅に現れません。やきもきしていると大きなガーメントケースを片手にハンガーに吊るしたままの白いドレスシャツ2枚、もう片手にキャリーケースを引いて、まるで「クリーニング店からやって来ました」といういでたちの男性が足早に歩いてくるではありませんか。それが上司でした。もう出発時間3分前となっています。

とても明るく、「やあ、おはよう、今日は見送ってくれるのかい?」と悪びれも無くいうと、そそくさとアメリカからきた上司と新幹線に乗り込み、窓際のハンガーにワイシャツを引っ掛けると、私に明るく手を振って新幹線は出発しました。上司の自宅から東京駅までの車の手配、東京駅に着く時間、さらに新幹線ホームへの移動と、時間に余裕を持って計画したつもりでしたが、なんとギリギリの到着。

彼らエグゼクティブが男女問わず徹底しているのは、身だしなみや身支度のために徹底して時間を使うということ、それがしっかりと習慣となっていることです。男性の場合、会議当日着るスーツとシャツは着て行くのでは無く、手持ちで持って行くのがやはり一番です。そう、パリッとした姿でお客様にお会いするためです。

宿泊先でも十分な着替えの時間、万一アイロンが必要な場合の予備の時間等、無理のないスケジュールを考えておくことは必須です。常にそのための時間を確保すること、時間の余裕を持つことを習慣づける必要があるのです。

企業トップの見た目、服装は本人の自覚の問題だけでは無く、経営者として余裕があるかどうかの判断材料でもあり、また、会社のイメージにまで大きく影響します。貴重な役員の時間を服装に関することにそんなに費やすのか、と思われるかもしれませんが、会社トップの良い印象は一度失ってしまうと二度と取り返せないのです。

ですから身だしなみ対策は会社自体の信頼に関わる、貴重な時間の使い方だと言えるでしょう。言い換えると、徹底して身だしなみ、外見を整えることに時間を費やせる人は信頼されて仕事もできる人であるということも言えます。自分が相手にとってどういう立場か、役割を理解した上で適切に振る舞えるからです。

Point
朝の時間を利用して身だしなみを入念にチェックする

さいごに

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