「リーダーシップを発揮しなくてはならない」「リーダーシップをとれ」といった言葉を耳にする機会も多いと思います。
では、そもそも、「リーダーシップ」とは何なのでしょうか。
リーダーシップとは何か
リーダーシップ【Leadership】とは、日本語で「指導力、統率力」という意味です。
「指導力、統率力」と言うと、「チームのメンバーをグイグイ引っ張っていく力」というイメージが強いかもしれません。
しかし、実際にチームを率いるうえで求められるリーダーシップは、必ずしも「グイグイ引っ張っていく」こととは限りません。
チーム全体で高みを目指す
リーダーシップ開発やチームビルディングを中心に多くの企業をサポートする三浦将氏(株式会社チームダイナミクス代表取締役)は、著書『才能スイッチ』において、「リーダーシップとは、『ここではないどこか』に導く力」と述べています。
チームの現状を把握し、メンバーの状態を見極め、フォローしながらチーム全体で、チームの目標に向けて進んでいけるように導く力こそが、リーダーシップと呼べるのではないでしょうか。
リーダーシップの必要性
では、そもそもなぜリーダーシップが必要とされるのでしょうか。
「リーダーシップとは、『ここではないどこか』に導く力」という定義に基づけば、リーダーがリーダーシップを発揮しているチームは、メンバー全員が目標を共有し、目標へ向けて邁進しているチームということになります。
リーダー一人だけが、目標に向かって頑張っていても、メンバーとの関係がうまくいかず空回りすることになってしまいます。場合によっては、部下のやる気を削いでしまう場合もあります。
メンバーのやる気と能力を引き出す
メンバー全員と目標や価値観を共有することで、「各々がその目標に向かって仕事をすること」と「チームでビジョンを追求すること」がイコールになります。
その結果、必要以上の指示を出すことがなく、メンバー一人ひとりが能動的に働くこととができるようになります。
このような環境では、何か失敗が起きたときも一人のせいにするのではなく、「チーム全体で何ができたか」というということを考えることになります。
また、メンバーが臆せず挑戦に臨めたり、新たなアイディアが生まれやすくなるなど、メンバーのやる気と能力を引き出すことにもつながります。
人間関係が円滑になることで仕事もスムーズに
加えて、自主的に働けるチームでは、「部下が上司を煙たがる」「上司ができる部下を疎む」といった険悪な人間関係に陥ることもありません。
仕事の受け継ぎなどもスムーズになり、全体として向上できます。
リーダーシップを上げるには
ここからは、リーダーシップを身につけるためのポイントを解説します。
まずは、リーダーシップを発揮して結果を残した人々の例を見てみましょう。
リーダーシップを発揮し成功した人々
京セラ 名誉会長稲盛和夫氏の例
京セラの名誉会長、KDDIの最高顧問、日本航空の名誉顧問を務める稲盛和夫氏は、上から命令するのではなく、社員に対し「みんなで経営をしよう」と考えていたといいます。
そして、常に謙虚な姿勢を崩さず、集団の調和を保つことを意識してきたそうです。
そのような誠実さを持ち続けてきたからこそ、稲盛氏の功績があったのです。
参考:『なぜ稲盛和夫の経営哲学は、人を動かすのか? ~脳科学でリーダーに必要な力を解き明かす~』
青山学院大学 原監督の例
近年、駅伝で数々の功績を納めている青山学院大学で監督を務める原晋監督。
彼は学生からの提案を決して否定せず、学生たちが自主的に考え行動できるような環境づくりをしているといいます。
そうして、選手一人ひとりが個々のスキルを自ら磨いていくことが、チーム全体で良い方向へ変わっていくことにつながるのです。
箱根駅伝での4連覇はそのような組織づくりが功を奏したと言っても過言ではないのでしょう。
参考サイト:『青学・原監督「管理職の仕事は管理じゃない」 常勝軍団を率いる名将が明かす人の育て方』
対話をする
では、このようなリーダーシップを身につけるためには、具体的に何をするべきなのでしょうか。
「チーム」は様々なメンバーによって構成されます。
メンバーと目標や価値観を共有するためには、まず、対話が不可欠です。
また、メンバーの現状を把握しフォローするためにも、彼らが何を考えて行動しているのかに耳を傾けることは欠かせません。
相手への思い込みを捨てる
そして、その対話をするには、まず、相手への思い込みを捨てて、その人を認め、可能性を信じる必要があります。
「この人はこうだ」と決めつけていると、その意識は相手にも伝わってしまいます。
結果、表面的な会話に終わり、メンバーが本当に思っていることを知ることはできませんし、メンバーの能力を押さえつけることにもなってしまいます。
聞き上手になる
部下の話を聞いてすぐに話をまとめてしまうと、部下が本当に話したがっていたことを聞き逃してしまうかもしれません。
そうしたことを避けるには、うまく話を引き出せる聞き上手になることが重要なのです。
誠実であり続ける
自己開示をする
弱い部分を隠さず見せることで、安心感と共感が芽生えます。
加えて、自然体でいることにより、メンバーからの信頼が得られ、メンバーから提案がなされるなどの自主性が引き出されるのです。
利他的に動く
自らがチームのことを考えて働く姿は、メンバーに信頼感を与え、それに影響を受けたメンバー自身も、組織のために働くようになります。
そして、互いをフォローし合いながら働くことによって生まれる安心感は、やはり、メンバーの能動性に直結するのです。
まとめ
リーダーシップとは「メンバーそれぞれの能力を上げながら、全体を高めていく方向へとチームを導ける能力のこと」です。
そして、それには、メンバー一人ひとりを認め、対話をしていくことが必須です。
リーダーシップは、一朝一夕で身につくものではありませんが、意識的に行動を変えることによって実現が可能です。
指示を出すだけの孤独なリーダーから、チームとともにあるリーダーへ変わることが良い企業への第一歩と言えるのかもしれません。
リーダーシップを高めたい人が読むべき本

『才能スイッチ』では、リーダーシップを身につけるために必要な考え方が、詳細な事例をもとにわかりやすく解説されています。興味のある方はぜひチェックしてみてください!