この記事では雇用契約書に「休日」について記載するときのポイントについて、社会保険労務士 寺内正樹さんの著書『仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!』よりご紹介します。

ポイントをおさえて「休日」のルールを決めれば、大幅な人件費の削減につながる場合もあります。是非記事の内容を参考に、契約書の内容を見直してみてください。

【書籍】『仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!
【著者】寺内正樹 
社会保険労務士 / 行政書士

「休日」について記載するときの2つのポイント

雇用契約書には「休日」について記載することが義務付けられています。特に以下のポイントに注意して契約書を作成することで、人件費の削減につながる場合があります。

  • 「法定休日」と「法定外休日」を明確化する
  • 「休暇」を増やして「休日」を少なくする

それぞれ詳しく確認していきましょう。

「法定休日」と「法定外休日」を明確化する

法定休日とは

「休日」とは、そもそも労働する義務がない日であり、会社は社員に対して、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならないとされています。さらに、毎週1回でなくても4週間を通して4日以上の休日を設ける場合はそれでも良いとされています。これが法律で決められている「法定休日」です。

週休2日制の場合、1日は「法定外休日」

そして、現在は、多くの会社で週休2日制を採用していますが、毎週、土曜日と日曜日が休日であるならば、そのうち1日が「法定休日」、もう1日が法律の基準を超えて会社で決めている「法定外休日」ということになります。

法定休日と法定外休日を明確化する

法律上は、あらかじめどちらが「法定休日」、「法定外休日」であるかを決めておくところまで求められていませんが、雇用契約書などでルールを決めておくと、実際の運用がしやすくなるケースもあります

割増賃金の違い

というのも、「法定休日」と「法定外休日」はどちらも休日ですが、その日に働いた場合の割増賃金は異なります。法律上、いわゆる休日労働の割増賃金として35%以上増やして支払うことが求められるのは「法定休日」のみです。「法定外休日」は、定時の時間を超えた通常の残業代として、25%以上増やして支払えば足りるのです。

しかし、このことを知らずに「法定外休日」でも35%の割増で支払っていると、もともと「法定外休日」でも35%の割増で支払うルールだととられかねません。

そこで、日曜日を「法定休日」、土曜日を「法定外休日」などと明確にルール化すれば、余計な誤解を避け、休日労働の割増賃金で支払うのは、日曜日のみということがわかりやすく示せることになります。

100万円超の残業代を削減

先日ご相談を受けたシステム開発会社は、まさにこのケースでした。この会社では、納期が迫ると、通常、休日である土曜日・日曜日も出勤して対応することが日常茶飯事でした。そして、休日出勤した両日ともに35%割増で給料を支払っていたそうです。

しかし、「法定外休日」を25%割増で計算すると、なんと年間で100万円超の残業代が削減できることがわかりました。その会社では、社員に正直に説明した上で同意を得て、ルールを定め、今では、土曜日については、25%割増で給料を計算しています。

「休暇」を増やして「休日」を少なくする

「休日」に対して、「休暇」というものがあります。「休日」と「休暇」は、どちらも働かない日であるため、しばしば、混同して使われてしまうことが多いのですが、実は、似て非なるものです。

「休日」とはそもそも労働する義務が発生していない日であるのに対し、「休暇」は労働義務はあるけれども、それが免除されている日のことを言います。

「夏休み」は休日?休暇?

そのことを前提とした上で、問題となるのが、夏季休暇、年末年始休暇の取り扱いです。この2つの休暇に関しては、ほとんどの会社で設けられています。そして、どちらも「休暇」という名称にはなっていますが、実際に、それらを「休日」として扱うのか、「休暇」として扱うのかで残業代の金額に大きな違いが生じます。

休日の日数が増えると残業代が上がる

休日と残業には一見、何の関係性もないように思えますが、休日の日数が増えれば増えるほど、残業代が上がっていく仕組みになっています。

なぜなら、残業代は一般的に、次のように計算されるからです。

  1. 1年の暦日数(365日or366日)-1年の休日日数=1年の労働日数
  2. 1年の労働日数×1日の所定労働時間=1年の所定労働時間
  3. 1年の所定労働時間÷12ヶ月=1ヶ月平均の所定労働時間
  4. 1ヶ月の給料÷1ヶ月平均の所定労働時間=時給の金額
  5. 時給の金額×1ヶ月の残業時間数×割増率=1ヶ月の残業代

一言で言うと、1年の休日日数が増えると、逆に1年の労働日数が減り、1ヶ月平均の所定労働時間が短くなって、時給の金額が高くなり、残業代も上がっていきます。

このことを意識せずに、夏季休暇、年末年始休暇を「休日」扱いとすると、その分、残業代も上がってきてしまいます。逆に「休暇」扱いにすれば、同じ休みだとしても、休日の日数は増えないため残業代が上がらずに済みます。

「休日」のルールが人件費に大きな差を生む

社員にとってみれば、「休日」であろうと「休暇」であろうと「休み」であることに変わりはありません。しかし、会社側にとってみれば、このような些細なルールでも人件費には大きな影響を与えることになります。

休日から休暇扱いにすることで、社員の給料が大きく変わり過ぎてしまう場合には注意する必要がありますが、これから新しく人を雇うことを考えている場合などには有効に活用できます

雇用契約書に記載する「休日」の裏にはこのような意味も隠されています。

これを理解してルールをつくるかどうかで、会社の人件費に大きな差が出てきます。

さいごに

この記事では、寺内正樹さんの著書より雇用契約書に「休日」について記載するときのポイントを解説しました。

この記事のポイント
  • ポイントをおさえて「休日」のルールを決めれば、人件費の削減につながる。
  • 雇用契約書では「法定休日」と「法定外休日」を明確化する。
  • 雇用契約書では「休暇」を増やして「休日」を少なくする。

以下のページでは、「雇用契約書」を会社の成長拡大に役立つものにするためのチェックシートを公開しています。

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