この記事では「協調性がないことは解雇理由になるのか?」ということについて、事例をもとに解説します。人事コンサルタントの内海正人さんが著書今すぐ売上・利益を上げる、上手な人の採り方・辞めさせ方で解説している内容をもとに編集しています。

目次

  • 「協調性がない人」には2種類ある
  • 懲戒解雇に関する事例
  • 協調性がない人材への対応
  • トラブルには悲観的に準備し、楽観的に対応する
  • さいごに

内海正人

人事コンサルタント。社会保険労務士。

「協調性がない人」には2種類ある

当然ですが、職場での人間関係は大切です。しかし、「上司を尊敬すること」や「同僚といい関係を保つこと」は、仕事上の義務ではありません。

たしかに、自己主張が強い人、会話に消極的な人も中にはいます。しかし、法律違反ではないし、一定の仕事をしていれば問題はありません。しかし、協調性がないことが会社として大きな問題になることもあります。

「協調性がない人」の種類

協調性の欠如は、大きく分けて次の2つがあります。

  •  他人との関係に対して消極的
  •  他人と衝突を繰り返す

他人との関係に対して消極的

「他人との関係に対して消極的」なタイプは、問題が生じることは少ないでしょう。口数が少なかったり、人付き合いが下手なだけです。もちろん、一定の仕事はこなします。

他人と衝突を繰り返す

しかし、「他人と衝突を繰り返す」タイプは会社運営を妨げることがあります。自己主張が強かったり、上司と口論になったりと問題を起こすのです。この「他人と衝突を繰り返す」タイプの場合、「職務規律違反」「業務命令違反」などになるケースがあります。

そして、こういう協調性の欠如が引き金となった裁判もあります。

懲戒解雇に関する事例

テレビ朝日サービス事件 東京地裁 平成14年5月

  • 社員Aはささいなことから興奮し、上司や同僚を傷つける発言をする
  • 上司から注意されても反省しない
  • Aは刃物を使い、初対面の人に傷害を負わせた
  • 会社は懲戒解雇とした

そして、Aはこの処分を不服として裁判を起こしたのです。この事件は明らかにAが悪いのですが、それでも裁判が起これば、対応せざるを得ません。当然ですが、裁判になれば会社はお金、時間、労力を浪費するのです。

裁判所の判決「懲戒解雇は有効

結果、裁判所は次のような判決を出したのです。

  • Aがいると業務に支障が出る
  • Aの懲戒解雇は有効

この裁判では、協調性以外の部分も重要な判断要素となっています。ただし、協調性の欠如がこの事件の大きな引き金です。

協調性がない人材への対応

しかし、「採用してみたら、協調性がなかった」ということもあるでしょう。このような場合、具体的にどうしたらいいのでしょうか?

当然ですが、協調性の欠如は人間関係の問題です。だから、人間関係をリセットすることが重要です。それでも同じことが繰り返されるなら、本人の責任を追求できるのです。具体的には、次のような流れになります。

  • 配置転換を行い、上司や同僚を変える
  • 「配置転換の趣旨=協調性不足の改善の機会」を本人に伝える
  • 再び繰り返す場合は、再度の配置転換を実施→「最後の機会」であることを辞令などの文書に記載
  • 改善されなければ、解雇を実施

つまり、「職場を数回変更しても改善されない」となると「解雇せざるを得ない」となるのです。

ただし、この場合に重要なことがあります。それは、

  • 周囲との関係が悪化した状況
  • 業務に支障をきたした具体的な内容

などを記録し、裁判等に備えることです。これは会社を守るために、必ず行なっておくべきことです。

トラブルには悲観的に準備し、楽観的に対応する

多くの会社でのトラブルが起こるパターンは、次のようなものです。

  • 口頭で本人に伝える
  • みんなで頭を悩ます
  • 問題が大きくなる
  • 解雇を実施し、トラブルになる(裁判になる場合もあり)

だから、裁判になったとしても証拠資料がないのです。

多くの社長は、「いや、うちの会社ではそこまでは・・・」と口を揃えて言います。

しかし、裁判を起こされてしまえばどこの会社でも同じです。

大切なことは、「最悪の状態」に備えることです。実際、佐々淳行氏(元内閣調査室長)は「危機管理の要諦は最も悲観的に準備して、もっとも楽観的に対応すること。最悪なのは、楽観的に準備して悲観的に対応すること」と言っています。

多くの人は危機が目の前に来てから準備をするのです。

「協調性の欠如」は「職場環境の問題」となります。こういう問題を放置せず、また、単なる努力でなんとかしようとせず、「法的な対応も視野に入れた準備」が必要なのです。

さいごに

この記事では、内海正人さんの著書より「協調性がないことは解雇理由になるのか?」ということについてご紹介しました。

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