この記事では「遅刻による解雇はできるのか?」ということについてご紹介します。人事コンサルタントの内海正人さんが著書『今すぐ売上・利益を上げる、上手な人の採り方・辞めさせ方』で解説している内容をもとに編集しています。

遅刻によるトラブルを事前に知ることで、人材とのトラブル防止を目指しましょう。

遅刻で解雇できるのか?

先日、こんな問い合わせがありました。

「ある社員が無断で遅刻や欠勤をし、困っています。注意をすると、しばらくはよくなります。しかし、時間が経つとまた繰り返します。このような社員の対応はどうしたらいいのでしょうか? この場合、遅刻を理由に解雇できるのでしょうか?」

結論は「解雇できる場合」と「できない場合」があるということです。

働く時間や休日は就業規則で決められています。だから、無断で遅刻、欠勤にはペナルティーが課せられます。もちろん、いきなり解雇にはできません。会社のルールを決めないと、解雇できないのです。

しかし、「ルールがあればOK」でもありません。

遅刻、欠勤を理由に解雇する場合、「無断遅刻、欠勤の内容、理由の確認」「処分の決定」などの手順を踏む必要があります。そして、この処分は程度に応じて決める必要があります。

具体的には、「軽い処分」→「思い処分」→「解雇」という流れです。もちろん、解雇する場合は「適正な理由」が必要です。

これに関する理由で、興味深い判決をいくつかご紹介しましょう。

懲戒解雇に関する事例

高知放送事件、S52年1月 最高裁

あるアナウンサーが遅刻して、2回ほど番組に穴を空けました。そして、そのために解雇されました。このことが裁判になり、最高裁までいったのです。

裁判所の判決「解雇は重すぎる」

結果は、「解雇は重すぎる」という判決でした。「解雇の理由」と「処分の重さ」のバランスが悪いので、「解雇は無効」となったのです。

東京海上火災保険事件 H12年7月 東京地裁

ある社員は、何度も遅刻を繰り返していました。注意しても改善されません。当然、他の社員からも不満が出ました。そして、会社は解雇し、本人が裁判を起こしました。

裁判所の判決「解雇は有効」

結果は、「解雇は有効」となったのです。「注意し続けたのに改善されなかった」がポイントとなったのです。

2つの判決について

この2つの判決から考えられるのは、「解雇の理由」と「処分の重さ」のバランスです。

  • 軽い理由なのに処分が重い 解雇は無効
  • 軽い理由でも繰り返される 解雇は有効

ということです。

この2つの事例は、判決という形で結論がで出ました。しかし、すべてのトラブルを裁判にするのは現実的ではありません。裁判は「お金」「時間」「労力」を消耗します。だから、できるだけ避けた方がいいのです。

トラブルになる前に行うこと

  • 遅刻、欠勤などの管理のルール化(就業規則など)
    例:遅刻3回で1時間の欠勤とする
  • ルール違反でも合理的理由があるかどうか
    合理的理由と怠慢では取り扱いを変える
  • 無断遅刻、無断欠勤の証拠を残す(裁判などに備える)
    タイムカードの保存
    遅刻や欠勤の届出書、反省文の保存
  • いきなり「解雇」ではなく「指導 → 段階的処分」とする
    態度を改める「指導」をする
    段階的処分とは、「口頭注意 → 始末書 → 減給 → 自宅待機 → 解雇」など

これらを実行してください。

仮にトラブルが大きくなり、裁判になっても、以上のポイントを押さえていれば問題ありません。無断遅刻、欠勤でも解雇できる場合もあります。しかし、そのためには「ルールの整備」と「指導」が必須です。これをしないと、解雇が無効になる場合もあります。

あなたの会社では、無断で遅刻や欠勤をする社員はいませんか? 実際、上場企業などでも起こっているのが現実なのです。

繰り返しですが、「ルールの整備」と「指導」を徹底させて下さい。

まとめ

 この記事では、内海正人さんの著書より「遅刻による解雇はできるのか?」ということについてご紹介しました。

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内海正人

日本中央社会保険労務士事務所代表https://www.roumu55.com/
人事コンサルタント・特定社会保険労務士。人材マネジメントや人事コンサルティング及びセミナーを業務の中心として展開。現実的な解決策の提示を行うエキスパートとして多くのクライアントを持つ。著書に『会社で活躍する人が辞めないしくみ』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

Facebook:masato.utsumi1


【参考】内海正人.
今すぐ売上・利益を上げる上手な人の採り方・辞めさせ方