経営者として会社を動かしていると「我が社でもイノベーションを起こさなければ」と考える経営者は多いのではないでしょうか。しかし、この「イノベーション」という言葉の正しい意味を聞かれてみると、案外答えに戸惑うものではないでしょうか。

一体、何をもって「イノベーション」と言うのでしょうか。

イノベーションとは

ウィキペディアによると、「イノベーション」とは、

物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すと誤解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。

イノベーション|Wikipedia

と書かれています。

つまり、「今までにない何か」を産み出し、価値を創造することと言えます。

イノベーションの事例

言葉の意味はわかりましたが、具体的にどのようなものが「イノベーション」と呼ばれるのでしょうか。

IoT

最近よく聞くIoTは、まさに「イノベーション」の一例です。

IoTとは「Internet of Things」の略称で、ウィキペディアには以下のように書かれています。

様々な「モノ(物)」がインターネットに接続され(単に繋がるだけではなく、モノがインターネットのように繋がる)、情報交換することにより相互に制御する仕組みである。

IoT|Wikipedia

ペットの見守りカメラ

例えば、「Petcube Bites Matte Silver PB913NVTD-MS [ペットの見守りカメラ]」は、外出先からスマートフォンなどを通してペットの様子を見たり、話しかけたりすることができる商品です。

いつでも、どこでもペットの様子を確認することができるようになったイノベーションです。

民泊

ここ数年でよく聞くようになった、「民泊」もイノベーションだといえます。

「民泊」とは、マンションや空き別荘を宿泊用に有料で提供することです。「使っていない部屋をビジネスに利用できる」「ホテルよりも立地がいい場所で泊まりたい」という、ホストとゲスト双方にメリットがあるイノベーションなのです。

どうすればイノベーションを起こせるのか

ここまででイノベーションの意味や実例はわかりましたが、一番知りたいのは「どうやってイノベーションを起こすか」ということではないでしょうか。

この問いの答えの一つとなるものが、金子智朗さんの著書『合理性を超えた先にイノベーションは生まれる』に書かれています。

合理性が邪魔をする

自由競争市場において、他人と同じことをやっていても、多数のプレーヤーが市場をわけ合うだけである。競争に勝てるわけがない。

競争に勝つためには、選ばれる理由を作らなければならない。そのためには、他人とは違うことをする必要がある。競争戦略においては、差別化が基本的な戦略だ。

ところが、ときとして合理的判断が差別化の邪魔をするのである。

合理的判断とは、多くの人にとって論理的に理解できる判断である。論理的に理解可能なことは、誰もが比較的容易に到達しうることでもである。

例えば数学の問題を考えてみればいい。さまざまな解法があるとしても、論理的に解いている限り、行き着く答えは同じだ。

企業における合理的判断にも似たところがある。投資の可否を評価する際に広く用いられている手法は、会計数値を用いた数学的手法だ。

これら会計と数学を用いた合理的な手法は、書物やビジネススクールなどを通じて広く普及するようになった。

最近は、日本国内にも多くのビジネススクールがあり、数多くの社会人が学んでいる。私も教員のひとりとしてそれに携わっている。ますます多くの人が経済合理的な計算をするようになり、また理解できるようになっているといえる。

それはそれで決して悪いことではない。経済合理性を無視して、ただ感覚に従い判断しているだけでは破綻してしまう。勝ち負け以前に退場だ。

しかし、誰もが知る合理的な分析手法に従って考えている限り、行き着く答えは似通ったものになる。教科書の公式にただ数字を当てはめて計算しているなら、なおさらだ。「投資すべき」という結論も、「投資すべきでない」という結論も、だいたい皆同じになってしまう。

(中略)

では、なぜサムスン電子は常識破りの投資ができるのか。

サムスン電子においても合理的な判断は行われているはずだ。主要なポジションにはMBAホルダーだっているだろう。数学的な分析が大好きな彼らが、経済合理性の評価をしないはずがない。

それなのに、一般的には正当化されようもない多額の投資が行われるのは、李健熙(イ・ゴンビ)会長とその長男である李在鎔(イ・ジェヨン)副会長という、創業者一族の存在によるところが大きい。

創業者であれば、合理的な分析結果がどうであれ、それが自らの直感に合わなければ合理的な結論とは異なる判断を下すことができる。やるものはやる、やらないものはやらないのだ。

創業者にとっては良くも悪くも自分の会社だ。そのコミットメント、腹の括り方は生半可ではない。自分の在任期間、大きな不祥事もなくつつがなく過ごせればいいと思っているサラリーマン社長とは比べようもない。

だからといって、合理的な分析結果を無視していいわけではない。合理的な分析結果には一切耳を傾けず、単に自分の好き嫌いだけで判断をするようでは困る。強力なリーダーシップと独裁的であることは紙一重とはいえ、それでは単なる専横だ。

合理的な分析結果を鵜呑みにするのでなければ、無視するのでもない。それを踏まえた上で、あらためて自分の頭と、そして心で最終判断を下すのである。合理性を無視するのではなく、合理性を超えるのだ。

『合理性を超えた先にイノベーションは生まれる』

ときには、思い切った決断が必要

このように、「イノベーション」を起こすには、大胆な決断が必要です。

しかし、重要なことは合理性を無視するのではないということです。合理性を踏まえたうえで、自分の直感を信じることが大切になってきます。

さいごに

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

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