この記事では、就業規則に「服務規律」について記載するときのポイントを、社会保険労務士 寺内正樹さんの著書『仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!』よりご紹介します。

【書籍】『仕事のあたりまえはすべてルールにまとめなさい!
【著者】寺内正樹 
社会保険労務士 / 行政書士

具体的なルールで共通認識を作る

世間で常識と言われていることから独自の決まりごとまで、会社には業務を行なうに当たって守ってもらいたい事柄が数多くあります。それらをまとめたものが「服務規律」です。「服務規律」は法律上、求められているものではありませんが、会社内の秩序を維持するためにも充実させておくべきルールのひとつです。

服務規律は具体的かつ詳細に

以前は、「服務規律」は日常業務における決まりごとであるため、社員に求める事柄が少なければ少ないほど経営がうまくいっていると考えられてきたこともありました。しかし、最近では、複雑化・多発化する労使トラブル防止の観点からも、より具体的かつ詳細に「服務規程」を定めておくことが望ましくなってきています

先日、ご相談があったホームページ制作会社での話です。ある社員が会社の業務と関係なく、個人的にブログを書いていました。最初は、自分の趣味のことなどを書いていたのですが、徐々に「協力会社AのIさんが会社に来ました」、「上司のSさんにこんなことを言われました」などの業務や会社の内情を書いた記事が目立ってきました。

確かに、イニシャルなので会社と関係ない人が見れば、どこの誰を指しているのかわかりません。しかし、同業者や関係者が見れば、誰を指しているのかわかってしまいます。
会社としては、何か悪影響が出る前にこのような記事を書くことを止めてもらおうとしたのですが、その社員も匿名で書いていることを理由に一向に聞き入れません。

この会社には就業規則がありましたが、服務規律には「会社の名誉または信用を傷つける行為はしないこと」という規定があるのみです。今回のケースでは、まだ実際に会社の名誉や信用が傷つくところまでいっていません。また、表現が抽象的であったため、社員自身も「自分の行動が服務規律に反しているか」という意識も持てませんでした。

ここで、就業規則により具体的な行動がイメージできる記載がなされていれば、結果は違ったはずです。例えば「ブログ、ホームページなど不特定多数が見ることのできる媒体で会社の名誉または信用を傷つける恐れのある記載はしないこと」としておけば、少なくとも記事を書く段階で、その社員も自分の記事が「会社の名誉または信用を傷つける恐れ」があるのかないのかを意識して、考えていたことでしょう。

共通の認識を作りトラブルを回避する

確かに、類似の行動をカバーするためにも、ある程度の幅をもった解釈ができる抽象的なルールも時には必要です。しかし、それでは自分の行動がルールに反しているのかの判断がしにくくなることもあります。それに対して、内容が具体的であれば、自分の行動がルール違反かを自己判断することができ、抑制効果が生まれるのです。

会社と社員のトラブルは、双方の意識の違いが原因となって引き起こされることも多いです。この意識を埋めるためには、ルールに具体的な記載をして、双方に誤解が生じないよう共通の認識をつくることが有効なのです。

会社の求める人材像を伝える

実は、「服務規律」には会社内の秩序を維持し、トラブルを防止するという意味のほかに、社員を「会社の求める人材像」へ導いていくという意味も持っています。

「社員にこんな行動ができるようなってもらいたい」という「想い」は、多くの経営者が持っていますが、伝え方がわからないという悩みもよく聞きます。そこで、服務規律を通して伝えていくのです。この服務規律をつくる時のポイントは2つあります。

①具体的な行動にスポットを当てる

求める人材像を考えた時に、「こんな想い」、「こんな考え」を持ってもらいたいということもあるでしょう。

しかし、服務規律では、「想い」そのものではなく、その想いから派生する「行動」を書いていきます。

例えば、「常にお客様のことを大切にする気持ち」を持ってもらいたいとします。その気持ちに裏打ちされた行動が何かと考えると「毎月1回はフォローの電話を入れる」という具体的な行動が出てきます。服務規律に書くのは、この「行動」です。なぜなら、「想い」は持てたかどうかは不明確ですが、「行動」はやったかやらないか明確に判断できるからです。もちろん行動の前提となる「想い」は非常に大事ですが、ルールを作ることを考えると、客観的判断ができるよう「行動」にスポットを当てていくことが必要です。

②「あたりまえ」だからこそ書く

時々、服務規律をつくるにあたって、「こんなことはあたりまえだから書かなくていいですよね」と言う経営者がいます。しかし、経営者が「あたりまえ」だと思っているからこそ書くべきなのです。

すべての人にとって「あたりまえ」は共通していません。「あたりまえ」は十人十色です。だからこそ、経営者の考える「あたりまえ」を書いて、社員と共通の認識をつくり上げていく必要があるのです。

さいごに

以下のページでは、「就業規則」を会社の成長拡大に役立つものにするためのチェックシートを公開しています。

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