あなたは「属人化」と聞いてどのようなイメージを持たれますか?

「属人化」とは「特定の人しか業務に関する知識やスキルを持ち合わせていない状態」のことを言いますが、企業の成長において、個人の知識やスキルに依存することは会社の成長に繋がりません。

個人の知識やスキルを会社全体で共有して、誰でもその知識やスキルを再現できるようにすることで、会社の成長を加速させることができます。

そのためには、個人が得た知識やスキルの正しいマネジメントが必要になります。

そこで、この記事では「属人化」から考える、「成果が出る営業マネジメントについて解説します。

株式会社 MCネクストの代表取締役である早川圭一さんが、著書『SFA・CRM 情報を武器化するマネジメント7つの力』で解説している内容をもとに編集しています。
【著者】早川圭一 株式会社 MCネクスト代表取締役

「営業の属人化」は2つの領域があるか

「営業の属人化」とは、具体的にどのような状態なのでしょうか。

営業活動をシンプルに表現すると、取引先を訪問し、自社の商品・サービスを提案し、商談を進めていく、という流れになります。

ここで重要なことは、「取引先を訪問するのは営業パーソンである」ということです。お客様とコミュニケーションをとり、ニーズを聞き出し、自社の商品・サービスの優位性を説明するのは、現場にいる営業パーソンです。

実際に現場でやりとりするのは営業パーソン。
お客様の生の声を聞いているのも営業パーソン。
お客様と信頼関係を築いているのも営業パーソン。

だから「お客様のことは担当の営業パーソンに聞かないと分からない」。もし、この状態のことを「うちは営業が属人化していて困っている」と考えているのだとすれば、そこには大きな勘違いがあります。

営業には「属人化せざるを得ない領域」と「属人化させてはいけない領域」があります。

「属人化せざるを得ない領域」とは、商談の場におけるコミュニケーション力やプレゼンテーション力などが該当します。

この「属人化せざるを得ない領域」のことを指して、「うちの営業は属人化していて困っている」といっても解決のしようがありません。本質的な問題は「属人化」にあるのではなく、「人材育成プラン」にあるということです。

勘違いが起こりやすいのは「属人化させてはいけない領域」です。「属人化させてはいけない領域」とは、「商談の場において知り得た重要な情報」と「営業パーソンの考え方・作戦」が該当します。

こちらは後ほど詳しく述べますが、「属人化させてはいけない領域」のことを指して、「うちは営業が属人化していて困っている」というのは、「本来やるべきことをやっていないだけ」であり、本質的な問題は「マネジメントの怠慢」にあるということです。

「お客様のことは担当の営業パーソンに聞かないと分からない」は、マネジメントの怠慢以外のなにものでもないということを認識してください。

「属人化させてはいけない領域」で営業をお膳立てする

「お客様のことは担当の営業パーソンに聞かないと分からない」という状態が、なぜマネジメントの怠慢になるのかを考えてみましょう。

例えば、プロ野球でバッターがピッチャーと対峙している状態をイメージしてください。

ピッチャーが投球した後、ヒットになるのか、アウトになるのかは、ほぼ100%バッターの属人的な力に依存します。戦局がどうだろうと、監督やコーチがどんなサインを出していようと、最終的にピッチャーの投球に対応するのはバッター自身です。

このバッターが営業パーソンであり、ピッチャー(お客様)の投球をヒットにできるか(商談が成立するか)どうかは、バッター自身のバッティング能力(営業スキル)で決まります。

そのため、この領域は「属人化せざる得ない領域」ということになります。ではこの場合マネジメントが必要になる「属人化させていけない領域」はどこになるのでしょうか。

それは「バッターボックスに入るまでの間にやるべき事前準備」に関する領域です。

具体的には、対戦相手の先発ピッチャーに関する情報や、試合展開に応じて想定される対戦相手の采配に関する情報を、選手たちに伝える部分がマネジメントです。

対戦相手の先発ピッチャーは、どのような球種を持ち、ストレートの最速は何キロか、ツーストトライクに追い込まれたときに決め球で投げてくる可能性が高い球種は何なのか、といった情報は、過去のデータをきちんと蓄積していれば容易に「事前準備」として活用することができます。

もし、このような情報がチームとして蓄積されていなかったらどうなるでしょうか。対戦相手のピッチャーに関する情報は「過去に対戦したことのあるバッター」のみが知っている状態で試合に臨むことになります。

「相手がどのようなピッチャーなのか分からない状態」でバッターボックスに入るのと、「相手のピッチャーに関する事前情報が頭に入っている状態」でバッターボックスに入るのとでは、結果が大きく違ってくることを容易に想像できると思います。

「対戦相手のピッチャーのことは、実際に対戦したことのあるバッターに聞かないと分からない」もしこのような状態でプロ野球チームの運営がなされていたとしたら「マネジメントの怠慢だ」と批判されても仕方がないのです。

営業活動も同じです。お客様とのコミュニケーションが展開される商談中の時間こそが、営業パーソンにとってのバッターボックスに入っている時間になるのです。

営業パーソンがバッターボックスの中で最大の結果を残せるように、お膳立てを整えるのが営業マネジメント、ということになります。

営業をお膳立てする「価値ある情報」とは

インターネットや『会社四季報』を使って調べることのできる情報や、外部の業者から購入できるリスト化された顧客情報は、営業活動における「価値のある情報」ではありません。

なぜかというと、そういう情報は競合他社でも「いつでも手に入れることのできる情報」といえるからです。

では、本当の意味で「価値のある情報」というのはどういう情報のことをいうのでしょうか。それは、「手に入れたくても容易に入手できない情報」「いくらお金を積んでも譲ってもらえない情報」 のことをいいます。

商談を通じてお客様と様々なやりとりをする中で見えてくる情報の中には、インターネットで100年かけて検索しても絶対に出てこない「価値のある情報」が山のように転がっています。

例えば、
・この企業の意思決定権者は誰なのか
・権限は持っていないが意思決定に大きな影響力を持つ人物は誰なのか
・翌期の予算を作り始めるタイミングはいつなのか
・どこの競合他社とどれぐらいの取引をしているのか
・ウチの会社にどれぐらい好感をもってくれているのか

など、挙げればキリがないほど様々な「価値のある情報」が存在します。

そして、残念なことに多くの企業が、この「価値のある情報」を会社としては管理せずに、営業パーソンの頭の中や手帳の中、ローカルのパソコン、整理されていない共有サーバのフォルダの中などに保有しているのです。

あなたの会社では「価値ある情報」を共有する企業文化がしっかりと形成されていますか?

さいごに

「営業の属人化」によって「価値ある情報」を埋もれさせてしまうと営業力の低下、さらには企業の成長を妨げてしまうかもしれません。

営業パーソンが獲得してきた「価値ある情報」を企業全体で活用していくことが大切になります。そして「価値ある情報」を企業内で活用するための仕組み作りとして、「SFA・CRM」というツールがあります。

「営業の属人化」や営業力の向上を検討されている方は、下にご紹介している本に参考になるヒントがあるかと思います。

SFA・CRM
情報を武器化するマネジメント7つの力


SFA・CRM 情報を武器化するマネジメント7つの力

AMAZONで見る