・会社・店舗の売上が伸び悩んでいる
・売上減少の原因が明確に特定できていない
・改善策に取り組んでいるが、思うように成果が上げられない

会社や店舗を経営している方の中には、こんな悩みを抱える方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実は、弊社のクライアントの「カフェ A店」も同じ状況に陥ったことがありました。某カフェチェーンZ店の出店により売上高が減少し、昨年対比も100%を切ってしまったのです。

しかし、データ分析をもとに立案したマーケティング施策によって売上高を大幅に伸ばし、昨年対比も100%以上にまでV字回復を遂げています!

ひとくちに「ライバル店の出店による売上高の減少」といっても、その原因には「新規顧客の減少」「リピート顧客の減少」「購入点数の減少」など、様々パターンが考えられます。そこで今回は、実際に「カフェ A店」ではどのような方法でデータ分析を行い、売上高を伸ばしていったのかをご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

売上のV字回復を実現した「カフェ A店」の事例

A店は駅前立地にあるカフェです。

まずは、下記の売上推移のグラフをご覧ください。売上V字回復の図

1月までは順調に昨年よりも高い売上を達成していましたが、その後2月、3月と売上高が数百万円落ち込み、昨年対比も90%台まで下がってしまいました。しかし、その後3月には売上高昨年対比を100%以上にし、売上高の減少に歯止めをかけるだけでなく、売上を増加させV字回復を果たしています。

売上をV字回復させるために行ったデータ分析の全手法

それでは、ここからはカフェ A店でどのようにデータ分析を行い、施策を行ったのか解説します。

Case Study
業種

カフェ A店
課題
某カフェチェーンZ店の出店により売上高が減少している。何がZ店より劣っているのかを明確にして、売上を増加させたい。

A店の売上高減少に歯止めをかけるため、以下のデータ分析のアプローチに沿って、現状を分析していきます。

データ分析のアプローチ
  1. 目的の明確化
  2. 仮説の洗い出しと絞り込み
  3. 分析方法の定義
  4. 情報(データ)の収集
  5. 分析

参考:データ分析の効果的なアプローチ

目的の明確化

このケースにおける目的は「売上減少要因を見極め、売上増加施策を構築する」ことです。

仮説の洗い出しと絞り込み

競合Z店の出現により売上が減少したという事実に基づき、ロジックツリーを使って仮説を洗い出します〈図表1〉。

図表1 このケースにおける仮説図表1 このケースにおける仮説

売上高は、「売上高 = 客数 × 客単価」で表されます。「何人のお客様がいくら買ったのか」というように、客数と客単価に分解して考えていきます。今回は、「競合店に商品力で負けているため、既存顧客を取られたことによって売上が減少している」という仮説が有力であろうと当たりをつけました。

分析方法の定義

以下の2つの視点で分析を行います。

1.売上減少要因の見極め
→ 客数および客単価のどの部分で売上が減少しているかを明確にする
2.競合店舗との競争力の比較
→ 競合店舗と比較した際の商品力の優劣を明確にする

情報(データ)の収集

「売上減少要因の見極め」「競合店舗との競争力の比較」のため、以下のデータを収集します。

  • 自店舗の売上推移(客数・客単価)
  • 自店舗と競合店の客数および展開商品

分析 / 売上減少の要因を深掘りし、原因を探る

ここからは実際に、データを整理し分析していきます。

(1)現状確認

まずは、大きな傾向をつかむため、実際にどのように売上が減少していっているのかを見てみます。

今回は「競合店舗が出店してきたことにより売上が減少している」という問題が発生しています。したがって、まずは実際にいつから売上が減少してきているのか確認します。その際に、図表2のように、月ごとに前年対比を表すグラフを作成すると、売上高が前年と比較してどのように変動しているかがわかります。

1月までは前年対比が100%を超えているのに対し、2月から減少傾向へと転じていることがわかります。

図表2 A店の月別の売上高前年対比推移図表2 A店の月別の売上高前年対比推移

(2)売上の減少要因を深掘り

売上高を客数と客単価に分解して、前年対比を見てみます。図表3の客数と客単価の推移を見ると、客単価に関しては、前年対比を常に上回っているものの、客数に関しては、11月以降は減少しています。

図表3 A店の月別の客数・客単価推移図表3 A店の月別の客数・客単価推移

その結果、売上高としては、2月には前年対比を下回る結果になっているようです。 よって、売上の減少要因は「客数の減少」であることがわかりました。

客数についてさらに掘り下げていきます。

(3)客数減少の原因を明確にするデータ分析

A店の売上減少の要因である客数減少の理由を細かく見ていきましょう。

朝の出勤前やお昼時、あるいは営業の合間や帰り道。いろんな場面で気軽に訪れることができるのがカフェです。カフェは時間帯によってお客様の層が変わることが多い業態です。朝方は出勤前のサラリーマンが多いですが、お昼時は軽食で十分という女性客でにぎわっています。競合店舗が出店したことにより客数が減少しているため、その中でも特にどの顧客層が減少してしまっているのか分析する必要があります。

そこで、客数の減少要因を分析するために、時間帯別の客数を調べる「実地調査」を行いました。競合店のZ店が出店して以来、客数が減少し始めていたので、自店舗と競合店舗の両方で時間帯別の客数を調べました。

その結果、図表4を見ると、日中は競合店舗であるZ店と比較して、自店舗A店は客数が取れているといえます。

図表4 A店とZ店の時間帯別の客数図表4 A店とZ店の時間帯別の客数

早朝の時間帯に関しては、Z店と比較すると、パンのみを注文する客数が少ないことがわかります。

また、夜の時間帯に関しては、Z店と比較すると、18時台から19時台の客数が極端に減っています。Z店は20時台にも客数がとれています。A店が20時に閉店してしまっているのもひとつの課題といえそうです。

このように、競合店舗と比較し、時間帯別に客数をカウントすることで、客数減少の原因がより詳細にわかり、適切な解決策を導き出すことができます。

(4)客数増加に向けた施策の構築

日中の時間帯は問題なく客数が取れているということから、早朝や夜の時間帯に客数が減少する原因は、立地条件や接客などによるものではないということが想定されます。 一方、早朝にはパンのみを購入する客数が少ないため「商品の品揃え」に課題があるのではという仮説が立ちます。

次に、図表5のように、早朝と夜の時間帯におけるA店とZ店の品揃えの比較をしました。

図表5 A店とZ店の品揃えの比較図表5 A店とZ店の品揃えの比較

パンの品揃えについてZ店と比較すると、A店は早朝では半分未満、夜でも3分の2程度の種類しか揃っていないことがわかります。特に早朝においては、パンのみ注文している客数が特に少ないため「パンの品揃えを強化する」ことで、客数の増加が図れるのではないかという仮説が導き出されます。

(5)仮説は実行して効果検証する

データ分析により、次の事実が把握できました。

◉売上減少の要因は客数の減少
◉客数減少は、早朝と夜の時間帯で起こっている
◉夜の時間帯においては、20時台の営業をしていない
◉特に早朝の時間帯においては、パンの品揃えが少ない

打ち手の実施 / 課題となっていた集客数を改善

今回のケースで導き出された、「早朝の時間帯におけるパンの品揃え強化により、客数増加が図れる」という仮説を検証していきます。実際に、早朝のパンの品揃えを増やし、店内外においてパンを訴求するPOPも出しました。

そしてその結果、早朝の7時台~9時台の客数を50人近く増やすことができました〈図表6〉。データ分析から導き出された仮説は正しかったということになります。

図表6 品揃え強化の検証❶図表6 品揃え強化の検証❶

なお、同様に夜の時間帯(18時台~19時台)においてもパンの品揃え強化を行ったところ、図表7に示したように、早朝と同様、施策の実施前と比較すると30人近くも客数を増やすことができました。

図表7 品揃え強化の検証❷図表7 品揃え強化の検証❷

この結果「カフェ A店」は冒頭でもご紹介したような、売上高のV字回復を実現しました。

問題解決の鍵は、明確な目的を持ったデータ分析

ここまで、弊社のクライアントの「カフェ A店」が、売上高をV字回復させたデータ分析の実例をご紹介しました。

企業の問題解決の鍵は、正確な現状理解と原因の見極めです。そして、今回の事例からも分かるように、正確な現状理解と原因の見極めに効果的なのがデータ分析です。社内のデータが一元管理されておらず、うまく活用できていないと感じる場合、まずは社内データを専任で管理する担当者を指名、または採用してみることをおすすめします。

また、データ分析を行う上で大切なのは「目的の明確化」です。「目的」を明確にしておかなければ、データ分析の進め方を間違えてしまい、大幅に遠回りをしてしまう可能性が大いにあり得ます。

あくまで、データ分析の目的を明確にした上で、データの整理、分析を行うことが重要です。

 

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【出典】齋藤健太問題解決のためのデータ分析