この記事では「航空会社のキャッチコピー」について、書籍『誰かに教えたくなる世界一流企業のキャッチフレーズ』よりご紹介します。

【書籍】『誰かに教えたくなる世界一流企業のキャッチフレーズ
【著者】
Lionel Salem/森田正康/月谷真紀

アメリカン航空
American Airlines

アメリカン航空は旅客搭乗数で世界第3位(2010年に1億500万人)、旅客輸送距離で第1位(1970億キロメートル)の航空会社で、本社はテキサス州フォートワースにある。

アメリカン航空の旅客機、ボストン発ロサンゼルス行きの11便、ボーイング767は9・11同時多発テロで二度のツインタワー攻撃の一度目に巻き込まれ、あの運命の日にノースタワーに激突した。2機目(ワシントン発ロサンゼルス行きの77便、ボーイング757)は午前9時43分に国防総省本庁舎(ペンタゴン)に激突した。9・11同時多発テロの直後、アメリカン航空はテレビコマーシャルキャンペーンを開始した。「私たちは航空会社です。しかしそれ以上の存在であることが明らかになりました。私たちは生き方そのもの、いつでもどこへでも、信頼と安心を胸に移動できる自由そのものです。“アメリカン”の名を冠していることを誇りとする航空会社、それが私たちです」という、最後は少々愛国主義的なトーンのメッセージだった。

2004年9月にAAの広告代理店TMアドバタイジングは、1984年から2000年まで使用されたキャッチフレーズ「Something Special in the Air特別な空の旅を))」に代わって「We know why you flyお客様の気持ちに寄り添って)」を発表した(1984年以前には「the on time machine(定刻マシン)」だった)。

ある短い(30秒)テレビコマーシャル(2006年10月1日公開)は、AAの旅客機が雲の中に下降していくシーンから始まる。スチュワーデスが東京発の夜間フライトである本機の着陸(おそらくシカゴに)をアナウンスする。そしてカメラは、乗継の案内をしているスチュワーデスのアナウンスの間も、かすかな笑みを浮かべて幸せそうに熟睡している一人の乗客にズームする。続いてキャッチフレーズ「American Airlines flies to Shanghai, Tokyo and Delhi every dayアメリカン航空は毎日、上海、東京、デリーに飛んでいます)」が映し出される。

ブリティッシュ・エアウェイズ
British Airways (BA)

ブリティッシュ・エアウェイズはイギリスのフラッグ・キャリアである。本社は同社のメインハブであるヒースロー空港に近いウォーターサイド。1999年2月にアメリカン航空、キャセイパシフィック航空、カンタス航空とワンワールド・アライアンスを結成した後、BAは2011年1月にイベリア航空と統合し「インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)」を発足させた。IAGは現在、規模にして世界第3位の航空会社である。

キャッチフレーズ「The world’s favourite airline(世界に愛される航空会社)」は1989年にサーチアンドサーチの制作で導入され、有名な「顔」のコマーシャルが公開された。コマーシャルは泳いでいる人々のシーンから始まり、彼らが陸に上がると人間の唇の形が形成される。次に耳が現れる。最後に何千人もの人々が集結し、上空から見ると人間の顔になる。2004年にキャッチフレーズ「The way to fly(空の旅ならブリティッシュ・エアウェイズ)」がサーチアンドサーチの制作で導入された。こちらのテレビコマーシャルでは、ニューヨークで一人の男性がタクシーを止め、ケネディ空港に向かう。機内では新しいクラブ・ワールド・クラスのフルフラットベッドで過ごし、最後にロンドンで家族に再会する。もちろんバックに流れるのはオーケストラ(なんと海の中!)の演奏による「花の二重唱」だ。

2009年にBBH(バートル・ボーグル・ヘガティ)が9本の30秒テレビスポット広告を発表した。広告の目的は人々に飛ぶ楽しさを知ってもらうこと(「チャンスは必ずしも目の前に転がっていません」がコンセプト)。最初のテレビスポット広告は間近に迫ったムンバイ・ファッションウィークを取り上げ、映画『スラムドッグ$ミリオネア』のヒット便乗を狙った。2本目はセレンゲティ国立公園の200万頭のウィルドビーストの大移動を取り上げている。

ヒースロー空港
Heathrow

ヒースロー空港は利用客数でヨーロッパ一、海外から発着する利用者の数では世界一の空港である。ヒースロー空港を所有し運営しているのはイギリス空港会社(BAA)で、BAA自体が国際コンソーシアムADIリミテッドの子会社にあたる。ターミナル数は5つ。ターミナル5(ブリティッシュ・エアウェイズ専用)は4年前の2008年3 月にオープンしたばかりである。用者数は年間6600万人。1996年2月にコンコルドがヒースロー空港からニューヨークまで史上最短の2時間52分59秒で飛んだ。大西洋横断飛行の最速記録だった。

ヒースロー空港で使われたキャッチフレーズの中で現在までに最もよく知られているのは、空港で抗議デモをしていた環境保護団体の「気候キャンプ―空港拡張反対」(2007年8月)か「空港拡張をやめろ」(2008年3月)かもしれない。彼らのキャンペーンはどうやら成功したようで、2010年5月12日にデイヴィッド・キャメロギネス ヒースロー空港ン内閣が第6ターミナルと第3滑走路の建設計画を中止している。2009年6月にBAAのマーケティングディレクターとヒースロー空港コミュニケーションチームが「Making every journey better(すべての旅をより快適に)」を発表した。最近、T – モバイルという電話会社がヒースロー空港のターミナル5 に何本かのテレビコマーシャルを流した。乗客が楽しげなダンスや歌で迎えられるというものだ。コマーシャルの最初に出てくる静止映像には「ヒースロー空港ターミナル5。お帰りなさい」という文字が表示されるが、この後半部分は効果的なキャッチフレーズとなる可能性を秘めている。

ヴァージンアトランティック航空
Jaguar

ヴァージンアトランティック航空は比較的歴史の浅い航空会社(処女飛行は1984年6月)で、株式の51%をリチャード・ブランソンのヴァージン・グループが、49%をシンガポール航空が所有している。ガトウィック空港(当初は唯一のハブ空港だった)とヒースロー空港の両方に就航している。同社はこれまでキャッチフレーズを多産してきた。そのいくつかは、1990年代後半に浮上したブリティッシュ・エアウェイズとアメリカン航空の提携に抗議する「No Way BA / AA(BA・AA連合に反対)」のように、あからさまにライバル航空会社に向けられたものである。

2009年に同社の創業25周年を祝って発表された秀逸なキャッチフレーズ「Love at First Flight(一度乗ったら好きになる)」のコマーシャルでは、赤い制服姿の美人スチュワーデス軍団が初フライトに搭乗するためやってきて、そばで見ていた一人の乗客が「航空券を買い直そうかな」と言う。

しかし、中でも面白いのはヴァージンアトランティック航空の「アッパークラス」の宣伝に使われた「Je ne saisquoi. Defined(うまく言えない。でも絶対。)」と「Fear of not flying(飛べないのが怖い)」である。前者のキャッチフレーズはスチール広告用で制作はRKCR/Y&R。「ヴァージンを競合他社から際立たせる魔法の要素」を強調することを意図していた。大胆にもフランス語「Je ne sais quoi.(はっきりこれと言えない、といった意味)」を使い、そこに「defined(絶対)」というある意味矛盾する言葉を持ってきている。後者のキャッチフレーズはY&R ニューヨークの制作だが、多くの人にとって空を飛ぶことは恐怖だという既成概念に逆らうもの。このキャッチフレーズのために制作されたコマーシャルでは女性がこう語る。「この世で私が怖いものは4つだけ。蜂、クモ、オオカミ、それからヴァージンアトランティックのように通路に直接出られない飛行機に乗ること」。

最後に、「Your airline’s got it…(あなたの航空会社にはこんなサービス、ありますか?)」というキャッチフレーズのための大胆で挑発的なテレビコマーシャル(2010年)では、記憶に残りそうなシーンをいくつか見せる。例えばアイスクリームのトレーを持ってきたスチュワーデスに乗客が触れようとすると溶け去ってしまうシーン。最後は(上空をヴァージンの飛行機が飛んでいる)「あれはリンダ?」「ううん、彼女はマイアミにいるわよ」という会話の後にキャッチフレーズが登場して終わる。音楽は3人編成のロックバンド、ミューズがニーナ・シモンの「フィーリング・グッド」をカバーしたもので、こちらもすばらしい。

さいごに

記事の内容をさらに知りたい方はこちらの本をお読みください。

誰かに教えたくなる
世界一流企業のキャッチフレーズ


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