五年、五億、 五十人の壁。年商五億円の壁を破るとは、この壁を乗り越えることです。

壁は突然やって来ます。今まで最高にうまくやってこれたのに、です。

その時に、今までの運営方針を全く変えられるか、考え方を180度変えられるかどうかで、これから大きな壁を越えられるかどうかが決定します。

そこでこの記事では「年商5億円の壁を越えるために必要な『社員とのコミュニケーション』」を、株式会社フロイデ会長兼シニアパートナー 坂本 桂一さんの著書『年商5億円の「壁」のやぶり方』をもとにご紹介します。

坂本桂一

㈱フロイデ会長兼シニアパートナー、事業開発プロフェッショナル、山形大学客員教授。アドビシステムズ㈱(当時社名アルダス㈱)を設立しページメーカーをはじめて国内に独占契約で導入、日本のDTP市場をゼロから創造した。専門は、新規事業創出、ビジネスモデル構築、M&A。㈱フロイデ

社長はあらゆる手段を使って社員とコミュニケーションを図れ

組織の端にいくほど、社長の発した情報の精度が落ちる

社長は自分の分身を育て、その分身がさらに自分のコピーをつくっていくというのが、ハブ&スポーク型組織の基本です。

ハブスポ2
※ハブ&スポーク型組織とは
社長というハブから、社長の分身となるような人へスポークが出ていて、その分身からさらにそのコピーとなるような人へスポークが出ている組織の型の組織をハブ&スポーク型組織と呼びます。詳しくは「年商5億円の壁を越えるために必要な『組織づくりの基本』」。

下の階層でハブの役目をする課長や係長も、理屈の上では社長の何代目かのコピーですから、末端の社員は直属の上司を通して、社長の考えやビジョンを教わっていることになります。

しかし、コピーというのは回数を重ねれば劣化は避けられません。とくに組織が大きくなるほど、トップと末端の間にたくさんのハブを挟むことになるので、どうしても組織の端にいくほど、社長の発した情報の精度が落ちることになります

そして、これを放置しておくと、社内の一体感はどんどん損なわれ、社長が望まないことや、ビジョンにそぐわないことをする社員が増える。つまり、それだけロスが大きくなって、効率の悪い組織になっていくのです。

あらゆる無駄や非効率は、年商五億円の壁を超える足かせとなるし、首尾よく壁を越えた後も成長を阻害する要因となるので、できるだけ初期の段階で対策を講じ、排除しなければなりません。

社員が社長の考えを知る機会を増やす

では、情報伝達の劣化を防ぎ、ビジョンの共有化を促し、一体感を高めるにはどうしたらいいのでしょうか。

私の考えは、社員が社長の考えを知る機会を増やす。これに尽きます。

サムスンを見てください。役付役員が全員出席の幹部合宿の数と量は世界一ではないでしょうか? 会長が全役員とミーティングを行っているといいます。

会社の隅々まで自分の考えを浸透させることの必要性は、みなわかっているのです。しかし、そのために何か具体的なアクションを起こしているか尋ねると、明確な答えが返ってくることはめったにないといっていい。せいぜい社員に積極的に声をかけるようにしているとか、メールアドレスを公開して、社員と直接メール交換をできるようにしているとか、その程度です。

ちなみに、社長と一般の社員とがメールのやりとりをすることや、社長がブログを公開することに対し、否定的な意見もよくききます。社員との距離が近すぎると社長の威厳がなくなるというのがその理由です。

もちろんそれなりにルールは必要ですが、これは考え違いもはなはだしいといわざるを得ません。

顔の見えない社長から、会社のビジョンや目的だけが伝わってきても、社員はそれを自分のことのようにリアリティーをもって受け取ることができると思いますか。私は無理だと思います。

体感を醸成することができたらその組織は、たいていのことを達成

一体感というのは要するに、ひとつのバスに乗り合わせているような感覚です。

同じ目的地に向かっているという認識はもちろんのこと、外は晴れているのか雨が降っているのか、道路状態はどうなのか、運転手は疲れていないか、などもそこにいる全員が理解している。それゆえ、バスが揺れれば悪路だから仕方がないと納得して手すりにつかまり、人が乗ってくれば詰めて席を空けるということが自主的にできるのです。

同じように社長が日ごろから社員とコミュニケーションをとり、自分の考えや会社の状況をオープンにしていれば、仮に業績不振で思うように賞与が払えない場合でも「この業績では賞与が出ないのは仕方がない。その代わり来期は今年の分ももらえるよう、もっと頑張って売上を伸ばそう」と、社員のほうが思ってくれるはずです。

これが一体感であり、この一体感を醸成することができたらその組織は、たいていのことを達成できます

やれることは何でもやる

ただし、全社員が一蓮托生と感じるような、盤石の一体感を社内に醸し出すためには、社員とメール交換をしたり、ブログを書いたりするだけでは十分とはいえません。

結論を先にいうなら、社長は社員とコミュニケーションを深めるのに役立つと思うことは何でもやればいい、いや、やらなければならないのです。

よく、社員と意思の疎通を図るには、直接話すのとメールなどのツールを使うのとどちらが効果的かと聞かれますが、いうまでもありません。当然両方やるべきです。

やれることは何でもやる。

デジタル系企業ならメール、ブログ、ツイッターなどを使った情報発信は必須。それから、社員との食事会や飲み会にも社長はどんどん参加したほうがいいでしょう。

とくに創業期を知らない新しい社員は、社長というだけで自分たちとは別世界の人と思ってしまいがちです。けれどもそうなってしまったらコミュニケーションは成立しません。雲の上から下りてきて、社員と同じ目線で語って初めて話が通じるのです。

もちろん近くに行けばそれだけアラも見えてしまいます。そうすると社員のなかには、「社長といってもたいしたことない」と思う人間も出てくるでしょう。でも、それでいいのです。強さも弱さも見せるからこそ、社員は「この社長は信用できる」と思って、話に耳を傾けてくれるのです

社員旅行

そういう意味では、社員旅行も社員との距離を縮める絶好の機会かもしれません。

私も自分が社長のときは必ず社員旅行を実施していました。行き先はだいたい海外。旅行の前日に入ったアルバイトも全員連れて行きます。

最近の若者は社員旅行のような社外行事を嫌う傾向にあるといいますが、そんなことはないでしょう。その地域で最高のホテルに泊まって、いちばん評判のいいレストランで食事をするといえば、誰だって行きたいと思うはずです。

ただ、社員との距離を縮めコミュニケーションを円滑にするのが目的なのですから、社長だけがいい部屋に泊まるのはいただけません。社員と同じ部屋で一緒に時間を過ごすから、腹を割ったコミュニケーションができるのです。豪華な部屋で快適な時間を過ごしたいなら、別の機会にそうしてください。

それから、社員旅行には、部署間の風通しをよくするという効能もあります。

営業の人間は開発メンバーが普段何をやっているかなかなかわからないし、もちろん逆もそうです。

そして、そういう状態が長く続くと、自分の部署だけが苦しい思いをしているような気になって、必要なときに社内の協力関係がスムーズに築けなくなってしまいます。

ところが社員旅行では、基本的に部署の垣根を取り払って行動するので、日ごろ会話を交わすことのない人とも話をするようになる。あの部署ではこういう人が働いているのだということがわかるだけでも、相互理解は確実に深まります

社長が現場に足を運ぶ

社長が現場に足を運ぶというのも、社員とのコミュニケーションを考えたら、できるだけやったほうがいいでしょう。

ヤマダ電機の山田昇会長は、頻繁に店舗に顔を出し、時には自ら商品の並べ替えまで行うそうです

山田会長が商品の並べ順を変えたからといって、途端に売れ行きがよくなるかどうかは定かではないですが、それでもそうすることによって、会社のトップが売り場をいかに大切にしているかというメッセージは、確実に社員に伝わります。もちろん山田会長は、そういう効果をわかってやっているはずです。

私もたいへんお世話になったCSKの故大川功社長も、深夜SEが働いている部屋に突然現れ、一人ひとりに差し入れを渡して労をねぎらったといいます。これだって、社長は現場のSEを大事にしているという非常にわかりやすいメッセージです。

コミュニケーションをよくするのに役立つもの

社員とのコミュニケーションをよくするのに役立つものはまだまだあります。泥臭いようですが、社是や経営理念、社内報などは自分の考えを伝える格好のツールだし、思いを込めた社歌をつくったっていい。社史を編纂したり、一代記を自費出版して社員に配ったりするのも手です。

新聞や雑誌の取材を通して社員にメッセージを送ることももちろんできます。

ただ、社長個人があまりに有名になると、人に妬まれたり、悪意でスキャンダルを暴かれたりというように、必ずどこかで有名税を支払わなければなるので注意が必要です。マスコミを利用する際は、社長ではなく会社を有名にすることを念頭においておくといいでしょう。

社内の一体感が、会社の儲けにつながる

これ以外にも使えそうなものがあれば、何でも使ってください。社員とのコミュニケーションの機会は、多ければ多いほどいいのです。

社内のコミュニケーションがよくなって、社内の一体感が高まれば、それはそのまま会社の儲けにつながります。支払ったコストの何倍ものプロフィットを、会社は確実に手にすることができるのです。

年商5億円の「壁」のやぶり方をもとに編集)

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